表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワイシャツの口紅  作者: naomitiara-tica
14/15

置き土産

この物語はすべて創作です。モデルはありません。



フレンチレストランが閉店すると言う。



百子のいわば物書きとしての出発点となった店。



ケイとその仲間と行ってそのコラムを書いて、シェフから感謝され他の老舗も紹介して本になり、百子が注目されるようになったきっかけの店。



ジュンと2人きりで食事して奥の個室で初めてキスされた店。



そんな百子にとっての一番な思い出の店の閉店パーティ。それは貸切であり、そのフレンチ店を心から愛したお客だけの集まりであった。



百子のような、世の中に名前が知られているお客も何人か見かけた。



老シェフは最後まで毅然としていたが、百子はお気に入りのワインを一口飲んだ途端に泣いてしまい、他のお客も何人かは涙ぐんでいた。



これで、ジュンとの思い出も、いや微かなケイとの思い出もみんな終わりだ....



百子はこの閉店パーティの記事を、夫人雑誌の載せる事になっており、気になった事や調べる事をちょこちょこメモしていた。



そして終わる頃シェフが1人1人に挨拶して回り、最後の百子のところで、そっと耳打ちした。

『貴女宛に預かっているものがあるのですよ。やっと渡す事が出来ました』



と、嬉しそうに言い、封をしたDVDを帰り際に持って来た。



ジュンがある日1人で来て、

『自分はこれから結婚して、もう日本に1人で来る事はできません。恋人だった百子にこれを渡して下さい』

と置いて行ったと言う。



シェフが渡してもいいと思った時に渡して下さい....っと。



シェフがもし百子がその後来なかったらどうしたら良いのか?と聞いたら百子はきっといつの日かこの店へ来る....

と、言ったそう。




って事は、ジュンが結婚したのが5年前だからその頃か....



DVDをパソコンに入れる。



2人が代わる代わるスマホで撮った写真。お忍びのお付き合いだったからもちろん大した写真は無い。



全部ホテルの部屋で抱き合ったり笑ったり、中にはちょっと恥ずかしい写真もあった。



忘れていたが、一枚だけ、最初にフレンチ店の個室で撮った写真もあった。



一体いつの間に編集したんだろ。全く子供なんだから。奥さんに見られないように消しとかなきゃダメじゃないの!



それとも完全に消すのが惜しくて残したんだろうか?まさかね?



それに私にこんな画像渡してゆすられたらどうするのよ?小説にあげられたらどうするのよ?



いや、百子がジュンに対しては牙を剥かない事をジュンは分かっていた....



全く甘ちゃんなんだからぁ。



百子は2人で笑ってるその画像を見て泣いた。号泣した。何でこんな事するの?残酷だよ、酷過ぎる。



これじゃ、私、何年たっても貴女の事忘れられないじゃないの?前に進めないじゃないの?



百子は、ネットのニュースで、ジュンの百想芸能賞で表彰された鮮やかなスーツ姿を見ながら、本当に自分はこの男と関係してたんだろうか?全て私の妄想だったのだろうか?と危ぶんで見るのだった。


ジュンが残した愛の残り香に苦しむ百子。これからも苦しみ続けるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ