愛しい
この物語は全て創作です。モデルはありません。
『コマタモモの小説の今流行ってる内容って上手にアレンジしてるけど、あれ絶対韓国のNがモデル。
あまりにも話が詳し過ぎるけど、どうやって情報仕入れたんだろう?』
『でも、コマタモモって、昔ケイと噂あった作家でしょ?あの時もケイとの事で売名したって話あったよね?』
『あった、あった。昔はレストラン紹介とかチマチマ書いてたけどケイとの恋愛話書いて急に名前売れたんじゃ無かった?』
『あの頃、本当にケイと付き合ってたのかな。結構ブスじゃなかった?』
『いやいや、今の見て見なって。この前インタビューされてて、整形してメイクして今やタレント気取りだってば』
『ケイなんて、あれからすっかり落ち目じゃん?バカっぽいグラドルと結婚したし』
『とにかく、これからアップされる小説の内容見て、Nの話に間違いなかったら、ふざけるなってクレーム入れるわ』
百子はまたまたオタクファンのおかげで、小説が妙に売れた。
しかも、メインの時間帯では無いのだがテレビで放送される事になった。
百子は気づいたら、結構名の売れた作家兼脚本家になっていった。
ジュンとはジュンが日本に来るたびに会っていたのだが、ジュンも海外遠征に忙しく、百子も売れっ子になったので、次第に会わなくなった。
でも最後に別れる時、ジュンは言った。
『百子。小説のネタ切れたらまた連絡して!』
日本語が出来ると言っても、いくらGoogle翻訳使えても、百子の小説をジュンが読んだとは思えないのだが....
ジュンは知っていたのだろうか?百子がジュンから聞いた話を小説としてリメイクしていた事を?
その後百子は、医者、大学生、イケメンだけが取り柄の売れないモデル、カリスマ美容師、大工などなどと付き合い、自分との恋愛をweb小説にアップしまくった。
百子に題材にされて別れた男達は不思議に運が落ちて行った。
百子がどうしても書けなかったのがジュンとの日々だった。
もしかして自分はジュンを愛していたのだろうか?ジュンを裏切ったのに。
百子は小説のネタ探しだけに男漁りする事にいい加減嫌気がさしていた。
ジュンに会いたい、もう一度抱かれたい。今や百子など手の届かないアイドルになってしまったけど。
百子は自分の小説が売れれば売れるほど、ジュンを求めてむせび泣いた。
ジュンから聞いた話をリメイクして有名になって行く百子。しかし自分が売れるほど、本当に愛したジュンが愛しくて堪らない....