おこぼれの仕事
この物語はすべて創作です。モデルはありません。
百子が元彼とのスキャンダルを利用してのし上がろうと決心したのは33歳の時だった。
元彼氏....と、いう訳でも無い。
正確には仕事をしたついでに何回か寝た事のある男。
かと言って、その男に他の女との噂は他に無かったから、何回もツイッター上を騒がせたように、百子と元彼氏....アイドルのケイは世間から見るとやはり恋人と言えたのかもしれなかった。
別にホテルから出てきたところをスクープされたわけでも、マンションに入るところをスクープされた訳でも無い。
そもそもKとはホテルに行った事も、個人的にKのマンションに行った事も無いのだからスクープされなくて当たり前だ。
百子は残念だが、けっして美しい女では無い。素顔や身体など人様にさらせたものでは無い。
しかし、独特の話術と人を惹きつける雰囲気を持っており、昔から周りにいつも仲間や友達はいた。
世の中は悲しいかな、見た目が左右する事が多い。
なので、昔から百子は同じ事をしても何となく人様より下の扱いを受ける事が多かった。
百子は駆け出しのweb作家だった。
作家など、簡単に成功するはずはなく、書かせてもらえるものは何でもやった。
新聞のコラムに、雑誌の一言。グルメの案内。芸能人のインタビューの下書き。地方フリーペーパーの特集など。
生活が苦しかったので、スナックでバイト。つまらない男に引っかかって金と身体をむしられて泣かされる日々。
そんなどん底を這いずり回っていたにいた百子とケイの出会いは、まさに神様のいたずらだった。
ある日、フリーライターをしてる先輩の戸川が、旦那が出張先で緊急入院したので、芸能人のインタビューに行けなくなったと、連絡があった。
百子に言わせると戸川は、普通にいろいろなものを持っている。
車やマンションとかお金の意味だけでは無く、そこそこ安心して出来る仕事や愛する家族....というようなものだ。そうだ可愛い愛犬もいたっけ....
そのせいなのか、戸川は妙に家族優先の傾向があり、しかも気の向かない仕事は適当に断るワガママさを兼ね備えていた。
最もそのおこぼれで、百子はどれだけ助かったか分からず、今回もどうやら旦那の具合はただの疲れから来る過労だでいつもの事らしかったが、インタビューする相手に興味が無いらしかった。
『百りん。私、日本のアイドルだったコとか別に興味無いわけよ?ほら今絶好調のWO3のメンバーってなら話は別よ?』
と、ここ数年、日本でもコンサートだけで無く雑誌の表紙やテレビのバラエティに急激に名前を売り出して来た韓国若手グループの名前をあげた。
『今度、彼らのライブのリポート書くから忙しいのよ、これでも。百りんも一緒にいく?特別席だってよ?百りんにも次回はその仕事も回すわよ!』
はっ。百子だって、そっちの仕事の方が華やかそうで良かったが、まぁ、ありがたく、戸川の申し出を受ける事にした。
それに、個人的に生のケイを見たいと言う、好奇心もあった。
全く中身は知らないが、百子はケイの顔やスタイルは好みだったからだ。
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偶然に元アイドルの仕事をすることになった百子。