初恋?
中学生後半かな。
あまりにもマンモス中学だったので、僕が2年の時に分校ができた。そして新しい校舎に僕は移った。一番に落書きして、先生に思いっきり殴られた。その熱い拳はいまでも覚えてる、って青春ドラマは無い。3年になって初めて好きな女の子ができた。小学生の時にも好きな子はいたが、そんなんじゃない。胸が張り裂けるってのはこういうことなんだ、ってのを覚えた。
ダラダラと続けていたクラブ活動。さすがに3年ともなると多少は本気。6人しかいない3年生。バスケは5人、補欠は僕1人。情けなかったね。仕方ないか、中途半端だったもん。でも好きな子がずっとそこにいたから休まなかった。彼女は女子バスケのキャプテン。だから僕は毎日クラブに行った。コンプレックスマンだったから気持ちは伝えなかったけど、見てるだけで幸せだった。これが初恋、自分で覚えてるリアルな恋。
「この学校は新設校だ。お前が一番に仕切ってやれ」と担任に言われた。まぁどうでも良かったが立候補してやったんだよ、生徒会長。するともう1人立候補が。小学校からの仲間で学校一のモテ男だった奴。同じバスケ部のキャプテン。なんでやねん、邪魔すんなよ。仲間だろ?
僕は選挙を待たず身を引いた。勝てるわけない、そう思ったから。「やってみなきゃわからん!」と担任は怒ったが、中途半端な僕は身を引いた。こっちはお笑いキャラ、あっちはイケメン。惨敗は目に見えていた。友達は「選挙にならんからお前も立候補しろっていわれたぜ」みたいな事を言ってやがるが、その勝ち誇った顔が妙に腹が立つ。でも人を嫌いになれない僕は「じゃお前生徒会長やれよ」と言って笑いながら身を引いた。
先生は泣きながら僕を殴った。お前を男にしたかった、そう言って殴った。なんでやねん、俺だって辛いんだよ、マジで。