ついに
あらら。
そしてしばらく悩み続けた。今思い出そうとしても中々思い出せないが、もう凄く苦しんだ。親の顔が見れなかった。もちろん婚約者の顔も。ダラダラと何も出来ず時間だけが流れていく。男のくせにメソメソして、そして痩せていく。そして結婚式まで1ヶ月を切った。あのとき病室で本気で決めた決断。僕は結婚をやめる。それがまた揺らいでた。ほんとダメな奴。いつもそう、後悔ばかり。
でもこの時初めて僕は男になった。婚約者を呼び出し「結婚できない」と告げた。呆然とする婚約者。「何ゆうてんの?」ってな感じ。そらそうでしょ。でも僕は言い訳とかしなかった。本当の事を告げた。
「好きな人がいる」
崩れ落ちる婚約者。それを見る僕。人生で一番辛い瞬間だったかもしれない。
女性にコンプレックスを持ち、中途半端で女性に意見したりすることがなかった僕。生まれて初めて恋愛という感情の中で、自分を主張した。もうどうしようもないくらい泣き叫ぶ婚約者。僕はまた自分を責めだした。でも、でも初めて自分に素直になろうとしたんだ。別れであろうと付き合いであろうと、自分の心の意見を口にする事ができたんだ。ここは自分を信じて乗り越えなきゃ。そう思った。
そして僕はそのまま婚約者の親の所へ行き、全てを告げた。当然相手の親にも泣かれた。自分のわがままでこれだけ周りが悲しんだのは初めてかもしれない。でもここで止まっちゃだめなんです。自分は変わるんだ。そして中途半端な気持ちで別れを告げるなんて失礼じゃないか。その日のうちに式場や貸衣装屋、神社全てにキャンセルを入れた。もう止まっちゃだめなんだ。止まれないんだ。
僕が別れたからって、あの子と一緒になれるなんて保証はない。だって言ってなかったもん、こうするって。温泉から帰ってからは連絡を取ってなかったし。あの子はもう僕から離れ、誰かと新しい恋してるかもしれない。そんな不安もあったけど、僕はまず婚約者に真実を告げる事を選んだ。間違いだらけで狂った選択をしてるのはわかってる。婚約者を捨てて浮気相手の所に行くんだからね。
僕は最後に婚約者に「ありがとう」とだけ告げ、高校時代からの思い出を全て捨てた。
自分の親に全て話した。泣き叫び殴られた。僕はすごい苦しかったよ。でもこれを乗り越えなけりゃ、本当に好きな物が手に入らないんだ。初めておこした自分からの行動。責任は重かったが、中途半端な僕が少しだけ成長できたかもしれない。そんな気持ちが僕を支えた。そして数日後、僕はあの子に電話した。「俺、結婚辞めた。付き合ってほしい」ってね。彼女、驚いて声も出なかった。恐らく自分を責めていたんだろう。「私のせいで・・・」なんて思ってたのかもしれない。そして彼女の答えは保留のまま、翌日会う約束をした。
しかしその日の内に、僕はまた倒れた。なんでやねん。
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