さよならサヨナラ(序編)
この場所から、あと何回この景色を見ることができるだろう。あと何回、鳥の声を聞けるだろう。そんなことを考える日々は、何日あるだろう。そんなことを考えながら、あと何回眠るのだろう。
今日もベッドに横になりながら、外から聞こえる学生たちの声を聞き、そんな哲学じみた理論を展開している。
僕は今、人生の終結という大きな課題と向き合えずにいた。まだ僕は生き続ける予定だったはずだったのに。夢を叶えるため、東京へ向かう予定だったのに。応援していた歌手の武道館ライブにいくつもりだったのに。
そしてなにより、彼女と幸せな家庭を築くはずだったのに。僕が何をしたんだ。確かに、やんちゃをして親に迷惑をかけた。警察のやっかいになったこともあった。でも神様、命と引き換えにできるほどのことかい?
残りの時間はあとどのくらいあるだろう。この運命は変わってくれるだろうか。終わりのない哲学を考えていると今日もカーテンの向こうから、君が現れる。