始まりの物語 ~Wokn~ 個人ギルド結成 3
いつもお読み戴き有難うございます。
「この紙がどうしたの?」
月海さんが聞いてきたので、簡単に説明した。
「これ。ココロお姉さんと食べ歩きツアーしてた時に、露店で偶然見つけたんだけど。これに、二種類の候補のギルドの名前とメンバーをそれぞれの紙に書いて、冒険者ギルドの窓口でギルド登録申請する際に、窓口の受付している方に好きな方の紙を取って貰おうと思う。」
「それって受付業務の迷惑になるんじゃないの。それにそんなノリは怒られるんじゃない?」
「それに関しては大丈夫だと思う。先に事情を説明して、四つ折りにして中身が分からない状態で取って貰うんだけど。こういうノリでも多分大丈夫だと思う。」
「大丈夫ってどうして?」
「こういうノリが駄目だというなら、この支部の支部長であるヴォルグ・ロードっていう見た目幼女なおっさんの存在も否定する事になると思うから。」
「まぁ。確かにあの人の存在がこの街の冒険者ギルドにおいてギャグぽいし。」
月海だけでなく、ココロお姉さんもみかちゃんも納得したみたいに頷いたので、二枚の紙にそれぞれの候補のギルド名とそこに所属するボク達四人の名前を書いた。
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個人ギルド: 【D・alchemy】
ギルマス: タツヤ
サブギルマス: ココロ
ギルドメンバー: みか ・ 月海
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個人ギルド: 【MidnightKnight】
ギルマス: タツヤ
サブギルマス: ココロ
ギルドメンバー: みか ・ 月海
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これらの紙を丁寧に四つ折りしてポーチの中に収納した。
さて、どちらになるのかは時の運。ボク達四人は酒場を後にし、冒険者ギルドの二階にある個人ギルド専用受付前に向かった。冒険者ギルドの二階には高ランク専用受付と個人ギルド専用窓口の2つしかなく、また高ランク冒険者がこの始まりの街を主要拠点にしているはずもなく、一階に比べて人は凄く疎らだ。
疎らというか、高ランク冒険者受付付近に3人程しかいなく、ボク達が立つ個人ギルド専用窓口には誰もいない。窓口にいるのは、支部長に似た雰囲気を持つ蒼い髪の少女だった。
「ここって個人ギルド専用窓口であってますか?」
「うむ。個人ギルドの開設ならここであっている。依頼を受けるならそこの掲示板から達成可能な依頼の書かれているモノを手に取って、一階の冒険者窓口に向かうとよかろう。」
「あのぅ。もしかして...ヴォルグさんの身内の方でしょうか?」
「うむ。あやつはワシの婿じゃ。それがどうしたのか?」
「婿...?!」
個人ギルド専用窓口の幼女(?)は、ボク達の驚きをよそにさっさと自己紹介を始めた。驚きつつも何とかこちらも自己紹介を返す事が出来た。
その幼女(?)の名前は、【アルルゥ・S・ロード】というらしい。聞くところによると、なんでも元セルフィナ王国の王城で宮廷魔術師をやっていたらしいのだが、旦那であるヴォルグ・ロードがドジって幼女化したのをキッカケに、ヴォルグと同じ、冒険者ギルドの職員に転向したとの事。見た目が幼女なのは、ヴォルグと違い、魔導を極めた弊害というか....ぶっちゃけ、趣味との事。最近の趣味は、休みが取れた日には旦那であるヴォルグと一緒にファンシーなモノを買いに行くのだとか...うん。どうでもいいな。この情報は...(-_-;)
さておき、こちらの事情を説明すると快く引き受けてくれた。それで、決まったのが....
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個人ギルド: 【D・alchemy】
SP依頼ネーム: 【MidnightKnight】
ギルドランク: E
ギルマス: タツヤ
サブギルマス: ココロ
ギルドメンバー: みか ・ 月海
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.....えっ。こんなのあり....?
アルルゥさんに詳しく聞くと、個人用ギルド名以外にSP依頼ネームというのがあり、冒険者ギルドからの緊急依頼や勅命依頼等といった依頼を受ける場合に必要な名前で、ギルドランクがCランク以上でないと普通は付けないらしいのだが、個人ギルドを開設した時点からSP依頼用ネームを付けるのは問題なく、100組に1組の割合でボクらと同じくSP依頼ネームを始めから名乗るグループもいるとの事。
__『【特殊依頼:個人ギルド作成および登録】を達成しましたので、特典としてギルドメンバー全員にSTPを100ポイント付与させて戴きます。このSTP付与特典は1アカウントに1度のみとなっています。』
ついでなので、ボク達のギルドランクでも受ける事が出来る依頼を幾つか見積もって貰った。
アルルゥさんに見積もって貰ったギルド依頼は、【畑を荒らす害獣:イノ30頭の討伐】と【ギルドの貯蓄事情:薬草を30株納品】、【スライム研究家のお願い:スライムの核を10個納品】の3つで期限は受注から五日間で、ランクの低い依頼の為、失敗時のペナルティはなしという有難いモノだ。