始まりの物語 ~Wokn~ 陽那姉妹の日常1
いつもお読み戴き有難うございます。
ちょっと時間を戻して....タツヤが喫茶・夢織亭に食事に行っている頃の陽那家はというと.....。
キッチンの前で黒髪ツインテールをぷらぷらさせつつもお昼の準備に勤しむ姉妹の姿があった。
姉妹の妹の名前は陽那 美夏。夢見ケ丘高校の1年生。ご存知の通り、Woknにおいて【みか】と同一人物。背丈などはゲーム内アバターと然程変わらないが、印象はゲームないよりも更に幼く感じる雰囲気を持っている。多少人見知りはするけど、一度信用に値すると思った者にはとことん甘えてくる。甘えっこ。
妹美夏とは対象に、ちょっと大人びた雰囲気を醸し出す彼女の名前は、陽那 沙織。美夏と同じく夢見ケ丘高校の2年生であり、竜弥とは同級生であり共にクラスの委員を務めている。凄い頑張り屋さんなんだが、ドジッ娘属性を持つ為、努力が無となる事もしばしば。Woknはというと...。
「そういえば、美夏。何処まで進んだの?」
「ふえ。何が?」
「Woknのこと。」
「う~んと。猪っぽいのを討伐した所まで。」
「えっ。イノを討伐出来たの?」
「うん。心音お姉ちゃんとタツヤお兄ちゃんに手伝って貰ったけど。」
「心音お姉ちゃん...Woknやってたんだ。...ん?....タツヤお兄ちゃん?」
「え~と。お姉ちゃんと同じクラスの人で、お姉ちゃんと同じクラス委員してるって言ってた。」
「同じクラスで、私と同じクラス委員...? それって、結城君の事?」
「結城っていう苗字かは知らないけど、心音お姉ちゃんの喫茶店によく行くって言ってた。それと、タツヤお兄ちゃんがお姉ちゃんにお世話になってますとも言ってた。」
「やはり結城君だ。」
「じゃあ。お姉ちゃんの知り合いさんであってる?」
「うん。クラスで一番仲の良いお友達。委員会の事とかでいっぱい助けてくれるし凄く頼りになる人。」
「へぇ~。お姉ちゃんが男の人を頼りになるっていうのって初めての事だよね。」
「こら。揶揄わないの。って事は、心音お姉ちゃんと結城君とパーティー組んでるって事?」
「うん。フレンド登録も済ませたよ。」
「.....よし。ねえ、そのパーティーに私も参加出来ないかな?」
「心音お姉ちゃんに聞いてみないと...。でも、お姉ちゃんだったら大丈夫だと思う。」
沸騰した鍋に素麺を投入しようとしたところで、タツヤお兄ちゃんから右腕に着けた付属タグに電話が掛かってきた。あとはお姉ちゃんが残りを一人で作ってくれるというので任せて、タツヤお兄ちゃんのコールに繋いだ。
『ちょっと遅くなったけど、タツヤです。』
『は~い。ココロお姉さんです。』
『...みか...です。』
『って、タツヤ君。何か聞き覚えのある曲が聞こえるんだけど、タツヤ君は今何処にいるの?!』
『はい。ここで問題です。今、ボクは何処にいるでしょう? ヒントはこの曲と筋肉マッチョな方が見れる場所です。』
『えっ?! もしかしてだけど....ウチの店舗?』
『ニヤリ。はい。正解は....喫茶・夢織亭にお邪魔しています。現在、サンドイッチ待ちです。正解者に拍手ゅ~。』
『ちょっ。ちょっと、どうしてタツヤ君がウチの店にいるのよぉ。』
『昼ごはん作ろうと思って冷蔵庫を開けたら、お腹の足しになりそうなモノがなかったので、食べに来ました。』
タツヤお兄ちゃんは、心音お姉ちゃんのいる喫茶・夢織亭にいるみたい。いつもならお姉ちゃんと二人で、タツヤお兄ちゃんと同じく夢織亭にお邪魔するのだけど、ここ数日は学校のない時は家で素麺を食べている。
未だ夏休み前かつお中元とは言えない時期なんだけど、東北(日本海側)に住むお父さんの親戚や四国(瀬戸内海寄り)に住むお母さんの親戚から大量の素麺セットが贈られてきた。
三日後から始まる夏休み全てを使い切っても食べきれないほど多くの素麺が冷蔵庫の野菜室に大量に眠っている。具体的にいうと50束セットの箱が10箱以上。郵送されてきた時点では30箱以上あり、とてもじゃなく食べきる事が出来そうになかったので、お父さんの会社や近所におすそ分けをしたけど、未だ未開封で10箱も残っている。
『...........』
お姉ちゃんがご飯の用意が出来たと合図を送ってきた。
『みかちゃん? どうしたの?』
『....あ...。....お姉ちゃんがご飯が出来たと呼んでいるので、ちょっと通信切ります...。』
陽那家の家族ルールで食事をする時は家族全員(または家にいるメンバーだけで)揃って手を合わせて戴きますというのが家訓な為、タツヤお兄ちゃんと心音お姉ちゃんとのやり取りを切り上げると食卓テーブルにお姉ちゃんと二人分のお箸や素麺用の器と素麺汁、オカズを数品並べると自分の座席に座った。
お姉ちゃんと二人仲良く対面に座ると、手を合わせて戴きますをしお昼を食べた。
15分程で食べ終わった。残ったオカズは違う容器に入れサランラップで蓋をし密閉した後冷蔵庫にかたずけた。食べ終わった食器は流し台の横に設置された温水式自動食器洗浄機に入れ、スイッチを押した。
全てを終えた後、心音お姉ちゃん宛てにフレンド間通信を送ると、タツヤお兄ちゃんはほんの数分前に帰ったと聞いた。タツヤお兄ちゃんはいないけど、心音お姉ちゃんに、お姉ちゃんもパーティーに参加するという事を伝えると了解と返ってきた。
あと。お姉ちゃんは未だ、正式版のキャラクター作成を終えていないという事なので、お姉ちゃんと一緒にログインするために、ちょっと遅れる事を伝えるとタツヤお兄ちゃんと露店の食べ歩きツアーをすると聞いた。
更新が1週間も空いてしまいごめんなさい。今回の話は【みか】と姉の話です。更新直前読み返したらちょっと話がおかしかったので大幅修正してたら遅くなりました。何度か書き直したので多分本編と矛盾してないはず。