1/1
プロローグ
音が聞こえた。
奇怪な文様が絵描かれたお札と包帯に包まれた女性はそう思った。
不規則で聞いているとどことなく不安に駆られその場から離れたくなるような、そんな音だ。
耳を塞いで見るが効果はなく、その場でみじろぐ。
叫び声を上げるが、声が出ず、さきほどから聞こえる音が大きくなる。
不安に駆られさらに大声を上げようとするが自分の発した音は口からはでず、音が先ほどよりも大きくなった。
そこで、気づいた。この不安感を感じる音は自分から聞こえることに。
そとことに気づき苦笑した、といっても笑ったと感じるのは本人だけでこの場に他の人物がいれば小さな音が聞こえただけだろう。
問題が解決したことで、瞼を閉じ、すぐに静かな寝息を立てる。
しかし、彼女が起こされるのはそれからすぐのことだった。