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読書したい。

作者: ピヨ子

私の名前はリオ。

私には実は前世の記憶がある。

別にどっかの宗教に入れ込んで修行して生まれ変わりましたとかいうわけでもなく、せいぜい昔軽く読んだなろうの小説とかにそういう設定の主人公がいたなくらいの認識だった。

自分でもそれに気づいた時には何故私が、と疑問に思ったものだ。

色々なことに興味があり、それが手っ取り早く解決できる読書が好きだった普通の女子高生で特筆すべき点はなかったのだから。

しかし悩んでいても仕方がないのでこの世界に慣れるためにも歴史の本を読もうと思うのは私にとって当然の流れだった。



5歳になったあの日の出来事は忘れられない。

そろそろ本に興味を持っても許される年齢だと思い、母に「書斎の本を読みたい」と言ったら「(書斎の)本はあなたには(魔法書ばかりで危険だから)まだ早い」と言われ、ショックだった。

悔しくて「じゃあいつになったらいいの?」と尋ねたら母は「(学園で魔法を習うから)成人後ね」と答えた。


この世界では成人は学園を卒業したことを表す。

学園は8歳から始まりだいたい6年で卒業なのであと9年くらいは待たなくてはいけないことになる。

私はやるなと言われたら更に興味を持つタイプだったからテストを全て一発合格しすぐに卒業することをその日誓った。



学園では友人が何人かできた。

卒業理由を話した時は「(どういうことだ)?……ああ、(もしかしてリオの家はそういうしきたりなのか。リオの前では読書は控えるか)」と答えられた。

何やら納得した様子が不思議だったがその時はテストに向けて猛勉強していたので深くは聞かなかった。


卒業理由は皆おかしかったが目標は揃って卒業だった私達はお互い切磋琢磨しながら頑張り異例の2年で卒業した。

先生方には歴史に名を残せるだろうと言われたらしいが長年の夢を果たせた興奮でまったく聞いてなかった。



そして私は今王宮で働いているが自分でも何故ここで働いているのかはよくわからない。

第二王子に直属の文官にならないかと誘われた当初は本に触れる機会ができたと喜んでいたのだが今は違う。



仕事で本に触れる機会があるというのは間違いでむしろそれだけしか本(というか書類)に触れる機会がないのだ。

仕事が忙しく落ち着いて読書をする暇がまったくないなんて思いもしなかった。

小さいため他の人より早く仕事をあがれるが体は子供のため帰ったらすぐ寝てしまうし、休日も疲れがたまって起きたら午後で部屋の掃除などをしたら終わってしまうようなことを繰り返している。



そんな毎日を過ごしていて私は読書ができていない。読書のために早めに成人したのにも関わらずこれでは意味がないではないか。



王宮でできた少し年上のメイドのお姉さんや、時々手紙が届くまだ学校で勉強してるお嬢様な子達からは

「あの第二王子のもとで働けるなんて幸せじゃない」

「代わりたいわ」

なんて言われるけど代われるなら代わりますのでどうぞと言ってあげたい。

でも王子の文官なだけあって秘密事項が多くて代われないのだ。



私は切実に読書がしたい。

今日もそう思いつつ、気づいたらそこにあるチョコを口に放り込み、ペンを手に持った。

チョコは仲良くなりたい第二王子やその文官などが交代交代で補充している、という裏設定があったり。

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