雨中のタクシーにて・後編
後編の発表が大幅に遅れましたことをお詫びしたいと思います。
この後編での真実は、前編を見ればわかるようになっている…はずです。
ザアザア…
まだ雨は降り続いていた。
「では、もし。私が捜査官ではなかったとしましょう。」
そう運転手は切り出した。
「なぜこんなところをうろついているんですか?」
「そりゃあ、灯台下暗し的な……」
「では私を灯台下暗し的な犯人としましょう。なぜ事件のことを
話題にしたんですか?逃げ切ろうとする犯人ならばそんなことしないはずなのに」
「……」
俺は言い返せなかった。
「それよりも。あなたですよ。なぜ空港なんかに行こうとしたんですか?」
「離れたかったんですよ。悲しみが染みついたこの国から」
「そうですか。しかし――」
「なんですか」
「そうすると矛盾が生じるんですよ。あなたは悲しみが染みついた
この国を離れようとしましたね」
「…」
「ならばなぜ!現場の家に私が連れて行ったときに出て行こうとしなかったのか!
現場の家と言ったら”悲しみが染みついた”最たる土地じゃないですか」
「…」
「なぜ家へ行くときに抵抗しなかったのか。其れはあなたが、殺したからだ。
あなたは自分が犯した殺人の現場とはいえ、昔の自分の住んでいた家には
親近感を持っている!だから抵抗しなかった!違いますか!」
「100歩譲って私が犯人だとしましょう。では証拠は?
物的証拠はないでしょう?」
「いやいやあなたは先ほどあなたは話したじゃないですか自分が犯人だと」
「そんなこと言った覚えがないぞ!」
「いえ言いました。それは、
私が家族以外の指紋が見つからないことなどを話した時です。
その時あなたは、”良く知ってますね”と言いました。
しかしあなたは悲しみが染みついているからこの地を離れると言いましたね。
それほど深く傷ついた生き残りに事件の概要をそこまで詳しく説明しますか?しないでしょう?
なのに何故。あなたは”良く知ってますね”と言えるんですか?
事件を深く知らない生き残りであるはずのあなたが。
それはあなたが犯人だからです!観念しなさい!」
それからの一瞬の沈黙の中。
「…だからどうしたというのですか!あなたは最早一般人!生き残りである俺の言葉と
一般人のあなたの言葉!警察はどちらを信じるでしょうか!」
そう俺は切り返した。
「悪いですが―私はあなたにウソをついていました。
私は、警察官を辞めたと言いましたが、まだ辞めていません。
すいませんね」
「クッ!」
そういうなり俺は、ドアを開けて逃げ出そうとしたが、鍵がかかっていた。
運転手のほうに向きなおると、下から、ガラスが飛び出してきた。
「防弾ですよ」
俺は窓を割ろうとしたが、辞めた。強化ガラスだということを思い出したのだ。
「…何者だよあんたは」
半ばあきらめたような声で、俺は呟くように言った。
「しがない一人の警察官ですよ。定年間近の、ね」
「フフ!あんたはまだまだやってけるよ」
そう諦めたような声で俺は言った。
言われた一人のしがない警察官は、口角がわずかに上がった…ような気がした。
雨はまだ止んでいなかったが、確かに弱くなっていた。
キャスフィ・小説家になろう合わせても
初めての推理小説でしたが、どうでしたか?
これからも、文章力を磨いていきたいと思います
それと、感想・評価ぜひお願いします!
最後になりましたが、ここまで読んでくださった方々への感謝
をここに表し、終わりとさせていただきます。
皆様ありがとうございました!