表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学者だって魔法を使いたい!  作者: メガ・ウルトラギガ
勇者の目覚め 出会い編
7/16

再会後 ハルトside

夜の訓練場。

誰もいない石畳の上に、カムイ・ハルトは立っていた。


剣を構え、無音で振り下ろす。


一太刀、また一太刀。月に照らされるその姿は、影すらも揺るがぬように静かだった。


(やっと……戻ってきたな、タケル)


広場でのあの姿。暴走した魔力に、臆さず飛び込んで制御しようとしたあの背中。


(お前の中に、まだ“あの頃の魂”は生きてる)


けれど――


(なぜ……俺のことを忘れてる?)


静かに、剣を下ろす。


(ユリのことも、過去のことも、全部……)


それは、自分を殺したあの上層部すら覚えていないということ。

“今のタケル”にとって、自分、カムイ・ハルトはただの“最強の魔法士”の一人でしかない。


「……クソが」


苛立ちを抑えきれず、拳で壁を殴った。


ガラガラと石造りの壁が崩壊する。やがてジンジンと拳が熱をもつ。


だが、その痛みが逆に彼を落ち着かせる。


(今は、それでもいい)


(あいつは必ず思い出す。そういう男だ)


彼の目には、確信があった。


(お前は、誰よりも諦めの悪い天才だったじゃないか)


(過去に抗い、未来を変えようとした。命すら惜しまなかった男だ)


「早く思い出せ、タケル。お前は“科学者”で、俺の……親友だった」


ハルトの目に、静かに決意の火が灯る。


「――そしてもう一度、一緒に世界を変える」


俺はお前のためならいくらでも待てる。


夜の訓練場に、一人の男の背中だけが浮かび上がっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ