序章 起動
【起動】
――これは、もう一度“未来”をやり直すための物語。
20XX年。文明はエネルギー危機により崩壊寸前。空は灰色に曇り、希望は失われていた。
15歳の科学者候補ヤマト・タケルは、薄暗い研究所の地下で、一台の機械に最後の電力を注ぎ込む。
それは彼と“誰か”が共に作ったタイムマシン。
けれど今、タケルはその“誰か”の顔も名前も思い出せない。
「俺が、やるしかない……を、……を!!…あの未来を変える……!」
画面に映るのは、死にゆく初恋の人。
そして、命令違反を理由に上層部に殺された親友。
手が震える。だが、押した。
起動ボタンを――。
「やめろっっっ!!!!!タケルっ!!!!!」
懐かしい声が聞こえた気がしたーーー
暴走―。白光。衝撃。
音も色も重力さえも失った無の中で、タケルの意識は溶けていく。
ーー気がつけば、そこは草原だった。
空は蒼く、風は暖かい。
そして魔物の咆哮と、少女の悲鳴が響いていた。
「悲鳴っっっ!!???」
声の聞こえる方向に駆け出していた。
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