科学者だって魔法を使いたい！

目覚めたその世界は、魔法がすべてを支配していた。
文明も、国家も、命の価値さえ――すべてが魔力で決まる世界。

突如として異世界に放り込まれた15歳の少年ヤマト・タケルは、自分の名前と科学者であった事以外の記憶を失っていた。
ただ胸に残るのは、「何かを救わなくてはいけない」という勇者としての強い使命感と、忘れてしまった誰かの存在。

魔力が一切使えない“落ちこぼれ”と蔑まれながらも、タケルには唯一無二の力があった。
それは、魔法を解析し、変換し、融合する《サイエンス》のスキル。
魔法学園の最底辺・Dクラスに配属されたタケルは、科学の知識で“魔法の常識”を塗り替えていく。

出会い、ぶつかり、共に戦う仲間たち――
明るく元気なミーナ、情熱的な炎使いジルベール、冷静沈着な水魔法のウル、そして謎多き天才カイラス。
彼らとともに、タケルは己の道を切り開いていく。

だが、魔法学園の最上位クラス・Sクラスに在籍する2人の存在が、タケルの眠れる記憶を揺さぶる。
白髪の少女と、圧倒的な力を誇る青年――その2人の瞳を見た時、タケルの胸が痛んだ。

なぜ、自分はこの世界に来たのか。
なぜ、彼らを知っている気がするのか。
そして、自分は本当に“勇者”なのか？

科学と魔法が交錯する世界で、少年は「過去」を思い出し、「未来」を賭けた戦いへと踏み出す。
すべては、“救えなかった何か”を救うために。
これは、世界を救った少年の物語。