第肆話
謙吾サイド
さて、水に関してはホワイトスネークがどうにかしてくれる。
今は魚の下処理が優先だ
「下手に腐らせたくないいからなぁ…」
自分でも思うが俺は独り言が多い、まぁ俺の超能力を聞かれても大した障害にはならないが、
そんなことを思いつつ、アジに似た青魚を素早く三枚おろしにした。
「燻製できればいいんだがなぁ…ドラム缶ぐらいはあるだろ」
俺は砂浜を散策することにした。
一応ホワイトスネークとは逆方向に、あいつは多分俺に必要亜物を色々持ってきてくれるはずだからな。
散策開始30分。不思議なことに誰とも会わなかった
「おっかしいな…誰かしらは砂浜に居てもいい気がするが…!」
右横腹に感じた鋭い殺気をサイドステップで交わす
「あら、仕留めたと思ったのに」
(ぜってぇそんなこと思ってねぇだろ!)
声の主はレミリア。右手には禍々しい槍を持っていた
「流石にそれで横腹を切られると死にかねんが?ってか一人くらい殺してね?」
「いいえ、これを使ったのはあなたが最初よ」
「面倒くさいことをするもんで…」
「フフ、私の目的はあなたの強さを図ること…争いを好まないあなたがどれほどの実力を持っているか…調べさせてもらうわねッ!」
言い放った瞬間、詰め寄ってきたレミリアに対し俺は…
「うお!?」
危機一髪で避けていた
(今、ホワイトスネークを呼び戻すのもなぁ…)
レミリアは完全に遊んでいる。彼女が本気を出せばこの島くらい余裕で破壊でくるだろう。
それをしないのは試験だから、俺の強さを知りたいから。
俺は迫り来る吸血鬼の異常な攻撃を交わしながらなんとか考えていた
「あら?思ったより弱いのね」
「挑発か?」
「いえ、事実よ」
と、抜かしながらも攻撃を続けてくるレミリア
「あぁそうかい、じゃあ終わってくれるんだな?」
「あら、そう聞こえたかしら」
「終わってくれてもいいじゃあないか…」
「残念、私が本気を出していないように、あなたもまた本気を出していない…そんな状態で終わらせれるとでも?」
「はぁ…ほんまに面倒い」
「なら本気を出して欲しいわね」
「はいはいわかった、一度だけだぞ」
もはやこれ1条長引かせた方が面倒いので、ささっと必殺技を繰り出すことにした
「あら…案外素直なのね」
「あ?面倒なだけだ」
「フフ、楽しみね」
余裕の笑顔と共に槍…グングニルに魔力を溜め込むレミリア。
俺は魔法を使えないが魔力が視えないわけじゃあない
その禍々しさは体感でわかる
ーくらったら死ぬー
だから俺も出し惜しみはしない
「ホワイトスネーク、回収」
「?」
「顕現 世界」
「…何をしたのかしら?」
「これが視えてない時点でお前の負けだ」
「やっすい挑発ね」
「最も、お前は避けられないだろうが」
「フフ、でもあなたにこの速度は見えないんじゃない!?」
投げた槍と同時に突っ込んでくるレミリア
槍の投擲はかなり珍しい、自分の武器が無くなるだけじゃあなく、ナイフなんかよりずっと投げづらいからだ
だが、どうでもいい
「世界時よ止まれ」
この瞬間、俺以外のものは静止する、どんな人物だろうが…ね
「殺しはしないさ、ただ腹パンはさせてもらうけどッ!」
流石にラッシュを叩き込みはしない…
「だが、痛いぞ?貫きはしないけど」
そして時は動き出す…
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レミリアサイド
「ッ!」
見えなかった!彼の攻撃が!
気づいたら腹に強烈な一撃をくらって、十数メートル吹っ飛ばされた!
(そんな…私が見えないなんてッ!)
「ゴホッゴホッ!」
もらった一撃が重すぎる…すぐに体制が立て直せない…!
「どうした?やっぱり見えなかったか?」
彼の冷たい視線が降り注ぐ
「い、いえ…まだよ!」
投げたグングニルの軌道を変えて彼に当てる
「あ〜それね、速度出し過ぎ」
当てるはずだったグングニルは彼のサイドステップによって華麗に避けられ、地面に刺さった
(しまった、制御が!)
「だから言ったろ?」
「ッ!」
「はぁ…お前さぁぬくぬく育ちすぎだ、グングニルの軌道も一直線で避けやすかったぞ」
「チッ!」
私はなんとか立とうとするも、力が入らない
「くっそ…」
「てか冷静になれよ、今俺は日に焼けるためにビーチに来たのに日焼け止めを塗るぐらいのミスをしたぞ」
(な、何か彼に一撃を与える方法は…)
「おい、聞けよ」
(ッ…だめ、多分どれも彼には効かない…せめてグングニルさえあれば…)
「ッ!」
「お、気づいたか」
「な、なんで…グングニルのことを…」
そう、私はグングニルについてこいつに話してない、なのに!こいつはグングニルという名前を口にした!
「それは俺のアメリカ国籍を見ればわかるんじゃあないかな」
「どういうことよ!」
私は声を荒げた、地位や立場なんか忘れて、ただ目の前の怪物を知るために
「さぁ、終わってから調べればいいじゃあないか?」
「ッ!」
「じゃあな、また会おうや」
そう言って彼は砂浜の奥へと消えていった