わたくし転生したはずですけれど…… (改稿版二稿)
『わたくし転生したはずですけれど……』
★
「なんで機械ですの~!?」
魔王城での最終決戦の場に至る前に、四天王等との戦闘であえなく命を落とした聖女。
転生によって再び目覚めることになると、わかってはいたが、
今までの姿とはまったく異なる、予想もしなかった自分の身体に、驚愕の叫びを上げていた。
有名な絵画の、何かの叫びを思わせる、頬に手を添えたポーズは、ちょっとシュールであった♪
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時間は少し遡って、
聖女が機械の身体で目覚めることになる前に、
勇者と刺し違えるようにして倒された魔王さま。
四天王の生き残りの手によって、今は復活を果たして既に目覚めていた。
「ほほう、これが新しい体か……」
手をニギニギさせ、新しい肉体の具合、
機械の身体の感触を楽しみつつ悦ぶ魔王さま。
「ほう、面白い……」
右腕を突き出した魔王さま。
開いた掌を顎のようなものに変形させてみる。
「これは何だ?」
側に控える部下、いかにも科学技術が得意ですというかのように、薄手の白い外套を纏い、片眼鏡を掛けた男が片膝立ちで平伏したまま答える。
彼は青龍と名乗る四天王の一人、科学者を自称する、今代の魔王に異世界召喚された男、優れた魔道技術者である。
要するに病的なマッドサイエンティスト好きのオタクである♪
青龍を名乗るただの人間だが、異世界召喚された時に、他人を機械に改造することができる能力を授かっている。
「魔王陛下、そちらは掌に魔力を溜めまして、雷光の一撃を敵に与えまする」
「城が吹き飛びますので、いまお使いになることはおやめ頂きたいと存じます」
表情は変わらず、でもちょっと不満そうな魔王さま。
手を戻して握りつつ、力を込めると、
肘の辺りに噴射口のようなものが現れて、
手首の辺りから幾つもの回転する刃物が現れる。
「ほう……」
「あ、魔王様、それは腕が飛んで魔王城に大穴が空きまする」
慌てた青龍は、素に戻った口調で魔王さまを急いで止めようとする。
なぜか魔王さまは嬉しそう。
「……おもしろい」
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「他の四天王はどうなった?」
魔王さまとの会話で、頭を上げて話していた青龍は再び平伏する。
「魂を回収できたのは、朱雀だけです」
「そうか、あとの二人はダメだったか……」
顔を上げ、青龍は言葉を続けた。
「陛下、実は、聖女の魂を回収しております」
「勇者の仲間のか?」
「はっ、朱雀と聖女は転生の秘術を身に宿しておりましたので、容易に回収できました」
「いかが致しましょう」
「ほう、面白い」
表情を変えず、興味深いような空気を醸す魔王さまであった。
◇◇◇
それからも魔王さまと青龍とのやり取りはまだ続いている。
「朱雀の身体はほぼ出来上がっておりまして、魔王陛下のお身体の試験用のものを、手直しして使うこととして、現在そう進めております。」
「ほう」
「聖女の身体ですが……、
被験体が女性ということで、魔王様方とは異なる仕様の身体を準備する予定です」
「ほほう」
「陛下や朱雀は、力強い機械という外見を前面に押し出した形の、全身が金属の強靱な身体を目指しておりますが、
聖女は美しい女性でありますので、外見は生身の美しさ、可憐さを魅せつつ、チャームポイントのように機械の魅力を出すことを計画しているところであります!」
魔王さまへと力強さ、美しさを力説するよう、胸で強く握り締めた拳を天頂へ掲げて開く青龍。
「それはまさに!宝飾品を身に纏い、美しく着飾るかの如き麗しさっ!」
力説する青龍は、上げていた手を胸に置き、優しくそっと重ね合わせて微笑みまで浮かべている。
ノリノリである。正直気持ち悪いのであるが(笑)
「美を纏い、戦い舞う姿には、敵すらも目を奪われ、頭を垂れること間違いございませんっ!」
次第に熱を帯びてゆく言葉で、
鼻息荒く、作り上げる聖女への熱き想いの言葉を重ねてゆく青龍。
はた目だとだいぶ危ない(・・;)
「魔王様のお身体とは対極をなす、そうした美しい形を目指したく存じます!」
見開いた目を魔王さまへ向け、身を乗り出す青龍。ヘタなことを言うと詰め寄ってこられそうな勢いである。
オタクの主張を否定してはいけない(^_^;)
「如何でございましょうか!!」
「ほう……」
「おもしろい」
「はっ。では、そのように進めさせて頂きます」
青龍は再び平伏し、
「お任せ下さり、まことにありがとうございます♪ 魔王様の強さと並び立つ美しさ。必ずや成し遂げてみせます!」
目を輝かせながら魔王さまへと誓う青龍。
マッドな科学者の血が騒ぐ!(本当は科学者ではないけれど)
こんな楽しげな研究に、
オタク四天王が心血を注がないわけがない。
「やるぞ~っ!」と気を吐く青龍。
魔王さまの前だということをすっかり忘れて、嬉しげな表情で行ったり来たりし始める青龍(笑)
「金属光沢を放つブーツとグローブに見せかけた箇所以外の身体は、なるべく美しい元のままの肉体を模して作り、
所々に見え隠れする金属部品は、美しい宝石の如き輝きと美しさを身に纏うように仕上げるのだ!」
思っていることが止め処なく口から漏れ出している。魔王さまの前なのに(笑)
まるで飲み過ぎた酔っぱらいのようにマシンガントークを続ける青龍。
「聖女の頭部や胴部は生前そのままに! その表情は精緻な美術品のように! いやっ、創り出すものこそ、美そのものにっ!」
「機械と融合する新たなる美を! この世界へとっ、降臨させるのだ!!」
迷惑千万な話である(^_^;)
とっとと通報して牢屋にでも拘留した方が世のためなのであるが、
ヘタに権力者側であることが全く始末に負えない男なのであった(・・;)
その狂喜乱舞する様子の青龍を見た魔王さまは、
「おもしろい♪」
と小さくつぶやいたとか。
◆◆◆◆◆◆
冒頭の叫びに戻る。
目覚めてから、自分の手を見てショックを受けた聖女は、
手足の様子や、全身を触った感触の違和感にメゲてしまったまま、
しばしの間、体育座りをして、貝のようにうずくまって現実逃避をつづけていた。
しばらくはブツブツと言いながら仕方なく過ごしていたけれど、
何とか、くだけちった心に応急の補修テープを貼ることに成功して、
聖女はふらりと立ち上がって、
独房とおもわれる石組みの暗い部屋を見回す。
-なにをされたのか、まったくわからないけど、わたくしが捕まったのは間違いないのね……-
-勇者さまや仲間たちを探すためにも、何とかここから出ないと……-
-どうしようかしら-
「何とかここから脱出できないかしら……」
聖女がそうつぶやくと、
ピッという電子音と共に、
目の前に、『起動します』という光る文字が浮かんだ。
状況のわからない聖女の腕が、
バンザイするように勝手に上がって、二つの手が合わさり、そこからたくさんの刃が出てきて組み合わさって、回転刃物を形づくってゆく。
それがかん高い音を立てながら、聖女の頭上で勢いよく回転を始める。
「えっ? な、何!?」
肩や背中からは刃物のような小さな翼ができて、幾つもの噴射口も現れる。
そのあとで頭や顔を護るようにして、肩や首元から現れた板状のものが、兜や面頬のような防具を形成していった。
噴射口から炎が吹き出した。
「なにが起こってるんですの~っ!!」
轟音の中で、ピッ!『脱出します♪』という文字が現れた。
急速に宙へと浮き上がる聖女の視界には、兜の内側に映し出されている映像で、飛び上がって天井を突き破る破砕音と共に、
細切れになり大きく貫通し巨大な穴を開けられた魔王城と、その先の、今の状況にそぐわない、さわやかな蒼空の景色の端が一瞬だけ見えていた♪
---
魔王城が大きく揺れて、上からパラパラと細かい瓦礫が落ちてくる。
身じろぎも見せず、玉座で落ちついた様子の魔王さまのところに、
改造を終えた聖女を連れに行ったはずの青龍が慌てて戻って来る。
「大変です!魔王様っ!
聖女が逃げ出してしまいました!」
「ほう……」
落ち着き無くおろおろ釈明を始める青龍には、日頃のエレガントなポーズは見る影もない(笑)
「申し訳ありません!
あの聖女は与えた能力で、魔王城へ甚大な被害を与えて空を飛んでゆきました!」
「ほほう、面白い!」
起きた想定外の事件が、実に楽しげな魔王さまであった。
☆☆☆☆☆☆
森の中でさ迷う聖女。
魔王城から逃げ出すことはできたが、今どこに居るのかは全然わからない。
「ここはどこですの?」
急に目の前に、光の地図が映し出されて自分の場所が光点で記される。
「これは何ですの?」
地図という文字が浮かぶ。
「わたくし、地図はよく読めませんのよ……」
広範囲に視界へと広げられた映像地図へと、いくつもの文字が追加されていって、
ここが魔の大森林であること、
魔王城の場所とわたくしの故郷の国の村や町、大神殿や王城の名前と位置が、それぞれ違う色の光点で記される。
「あら、便利ですわね……」
場所はわかりましたけれど……、と思いつつ、
「それにしても、疲れてお腹が空きましたわ」
そうすると、
チーンという音と共に聖女のお腹が開いて、
湯気を上げる温かい食事が、プレートに乗って出てくる。
目を白黒させて、
「……それに喉が渇きましたの」
そう言い終わるやいなや、
右手が変形して、手の中に透明なコップが現れて、
人差し指から液体が注がれる。
「わ、わたくし、
どうなっておりますの~っ!!」
ピッ、
『あなたは改造されました♪』
そうした文字が急に、聖女の目の前へと浮かんだ。
-おわじ- (つづくかな?)
ー予告ー
逃げだした聖女の追っ手に差し向けられた、捕獲命令を受けた転生朱雀!
「ふっ、美しい……」
機械の身体に身を包んだ、超音速の朱雀のツメが聖女へと迫る!!
迂闊なことをしゃべってしまい、あやしげな身体の機能を引き当てて、
自ら絶体絶命のピンチへと転げ落ちてゆく聖女!
「どうなっておりますの~!?」
いつもの叫び声を上げる聖女と、
映像盤ごしに観察しているにも関わらず、窮地に陥る聖女の状況を目にして、場所をわきまえずに歓声を上げ!
「ありがとうございます♪」
そう言ってお辞儀をする青龍。
「ほう、おもしろい!」
あいかわらず、同じ事しか言わない魔王さま。
ピッ!
『相手は強敵ですが、起死回生の策があります♪』
聖女の身体に搭載されている電子妖精のメッセージが、その視界の端に光る!
はたして聖女は魔王さまの追っ手を逃れて、青龍に再改造されることなく、無事に大聖堂までたどり着けるのか!?
「わたくし、これからどうなってしまいますの~っ!?」
次回! 『最強の敵!』
改造聖女の明日はどっちだ♪
(つづきません)
すみません、ちょっと書いてみたくて(^_^;)
-つぶやきと謝辞-
まずは読んでいだだきまして、どうもありがとうございました(●´ω`●)
この作品は、交流していただいている、
誰かさんとの雑談からできたお話です(*^^*)
※ 誰かさんとのやりとりをアレンジさせて使わせていただいておりますm(_ _)m
使用のご快諾をいただいた誰かさんに感謝を♪(^人^)
本文には、誰かさんと雑談したときの会話文章の一部を、お許し頂いて使用させて頂いております(*^^*)
こちらも600文字の文章を作る練習に書いた物語が発端でした。←全然600文字に出来ないままなのはもうお約束ですね(^_^;)
自分短いのは書けないのかも(・・;)←コンパクトなネタ選びをもっと考えないとです(^人^)
詩だとできるのですけど(^_^;)
600文字のショートショート文章のとして初期文章、ほとんど会話文だけの書き足していったものは、その段階で1000文字を優に超えてましたので、すでになんのための文章か判らなくなっておりました(・・;)
というわけで、今回こうした形で手直しして出してみました(^人^)♪←続きませんが(^_^;)
◆◆◆◆◆
ほほう、これが新しい体か → 手をニギニギ
魔王が滅ぼされますが、実は、密かに魂を機械の身体に移植する研究をしていて、ロボットになって復活します。
これ、意外と行けるかも。
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「他の四天王はどうなった?」
「魂をサルベージできたのは、朱雀だけです」
「そうか、あとの二人はダメだったか・・・」
「魔王様、実は、聖女の魂をサルベージしております」
「勇者の仲間のか?」
「はい、いかが致しましょう」
「ほう、面白い」
というわけで、聖女もロボットとなり復活して、その後に脱出、人間側にも正義のヒロインが誕生とともに、この技術が知られてしまう、みたいな。
↑魔王は、割と享楽主義です。
◆◆◆◆◆
機械の身体になった魔王さまはちょっと面白いです♪(●´ω`●)
異世界知識というか、前世のスーパーロボットの知識を持ってるキャラが召喚されていて、
魔道機械学に精通していたマッドな科学者と意気投合して、あやしい化学反応の結果で魔王さまの機械の身体ができたとか(*^^*)←機械転生した聖女の武器のアップグレードで、眼から怪光線とか、ロケットパンチとか、ロマン武器が勝手につけられて強化されてゆくとかいかがでしょうか?(●´ω`●)
その後に脱出とかになると。←聖女にあるまじき装備という、不当な改造に腹を立てて逃げ出す展開とか(*^^*)
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日常機能も好いです♪(^人^)
荒唐無稽な展開にも、絶体絶命な展開にも、
真田さん的なセリフで、「こんなこともあろうかと!」という、付いていた機能が功を奏して解決できるという、黄門様の印籠的リアクションで解決できるというお約束(●´ω`●)
いかがですか(*^^*)♪
◆◆◆◆◆
こんなこともあろうかと!
実に、いいですね。
さらに、そのあとで、なんてものをくっつけてんだ!って突っ込まれるまでがセットです。
あと、鉄板のネタといえば、自爆装置ですね。
首などのパーツが落ちるとか、不意に発射されるビームとか。
いかんいかん、思考がだんだん、究極超人あ~る、みたくなってきました。
ロボット魔王は楽しくなってきたので書いてみようかな、なんて。
みなはらさんも、書いてみるのはいかがですか?
◆◆◆◆◆
といったやり取りの経緯で使わせていただき、
600文字用の練習も兼ねつつ試してみたものでした(●´ω`●)←始めてはみたものの、伸びて収まらないのはいつもの自分の悪いクセですね(^_^;)
最後まで見ておつきあいいただいたみなさま、
どうもありがとうございました(^人^)




