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転生ではなく、異世界転移なのに、前世の記憶があるのですが? (改稿版)



『転生ではなく、異世界転移なのに、前世の記憶があるのですが?』




 -君は召喚された-


 そんな声があたしの心に響いた。

緑の光で綴られた幾つもの円の真ん中に、

今あたしは立ってる。


 身体が動かない。


暗いホールのような場所。

地下なのかな?

誰も居ない。でも声は聞こえた。

夢にしては妙にリアル。


 「誰っ?」


 大声を出したら目覚めるかと思ったけれど、そうならない。

あたしの声だけが、この広い場所へと響いている。周りの空気を震わせている。


 「ここはどこ!、家に帰してっ!」


 パニックを起こして、大きな声でそう叫ぶけれど、

頭の片隅で、下から照らされてるあたしの顔って、ブスに見えてるんだろうな。とか、

キャラクターものの描かれた部屋着のスウェットの色が、光の混ざったせいで汚く見えるんだろうな。とか、

妙に冷静な気持ちで、そんな関係ないことを思っていた。



 -君が召喚される転移の過程で、どんな力を得たかは調べて判っている-


 -君は有益だ-

 -だから道具として利用できるように、従属支配の因を付与する-


 周りに反響もせず、たくさんの声は聞こえるのに、誰の姿も見えないのが気持ち悪い。


小さい頃に見た子供だましの物語みたいに、ああいうマンガの魔法みたいに、あたしを攫ったの??

何か変な力で、あたしに言うことを聞かせるの?

あたしにも力があるの!?



 額に気味の悪い色の光が伸びて当たる。

切り裂かれるような頭痛。


い、痛い! うあぁっ!


「やだぁっ、いやぁ~っ!」



 -?-


 -因が付与できない-

 -何かが邪魔している-



「や、やめて!」


内にある何かがはじけそうになる。


 -これか?-


 光が強くなり、

頭の中が燃えるように熱くなる。


「い、いやぁっ!」


あああっ!



 何かが軋みを上げて、内から引き裂かれるようにはじける。

頭の中が急に、すっきりする。


 -おかしい-

 -何が起こったのか?-


 戸惑う彼らの様子を感じて、堪えきれぬ可笑しさが込み上げてくる。


 愚か者共め。



 -まさか!-


 -戻せっ!あの女をもとの世界へ!-


 忌まわしい緑色の、あたしを拘束するための魔法円が消える。今あたしが消した。


彼奴らの騒ぎ立てている声が内に響き聞こえるが、もう気にはならない。


 心の内へと潜る。深く深く。

巧妙に隠されていた内なる扉へと手を掛けて開く。


 全ての音が消えた。

あたしは、ずっと昔のことを思い出した。



 あたしは昔、紅く大きな竜だった。


ここを訪れて、

彼らの世界を滅ぼしかけて、

人の姿に封じられて、

別の世界に捨てられたのだ。



 新たな魔法陣、さっきのものよりも強く身を縛る赤と緑のものが幾重にも現れる。


すこし煩わしくて直ぐには消せないが、もうそこまで気にするほどのことも無い。


 -信じられん!なぜ奴を召喚などしたのだ!-


 捨てられるとき、

あたしはこっそりと、人の姿にある仕掛けをした。


 彼らがいつか道具としての人を、あたしの捨てられたあの世界からの誰かを召喚するとき、あそこで転生を続けている、あたしのことを召喚するような、そうした割り込みを仕掛けたのだ。


 あたしは彼らのことも、

忌々しい彼奴らが、今も住んでいるところも知っている。


そしていまは、彼らが衰えてしまったことも。



 騒ぎ立てる声を心から閉め出す。


心が解放されれば、彼らから受ける力を封じることも、

以前にあった力や身体の再生なども簡単だ。


 閉じ込められていた心が身体を求め、

あたしのちっぽけな姿は膨らみながら、

人のときに好きだったキャラクターのスウェットを引き裂いて、

大きく大きくなりつづけて、

あたしを押さえ込んでいた魔法陣が描かれていた大きな部屋を壊し、

あたしは部屋のあった巨大な屋敷を突き破りながら壊し尽くして、

どんどんどんどん大きくなって、

夜空に浮かぶ二つの緑と赤の月を地上から覆い隠すほどに巨大になっていった。




 ああ、お腹がすいた。

彼らの街へゆこう♪


たくさん食べて、

元気な子どもが育つ、たくさんの卵を産まないと。



 あたしは背に生えた大きな翼をひろげて羽ばたかせる。


災厄の時が訪れる。




 その夜、一つの街が消えた。


そのとき地平に新たな太陽が生まれ、

真夜中に夜明けが訪れたかのようだったという。


挿絵(By みてみん)



 夜が明ける。

滅びの朝が始まる。


挿絵(By みてみん)




-おわり、そしてはじまり-








 子どもたちが育ったら、

つぎはどこに行こうか……



-つぶやきと謝意-


この作品は、交流していただいている、

誰かさんとの雑談からできたお話です(*^^*)


雑談では、本文無しのタイトルだけだったものであり、タイトル使用のご快諾をいただきました(●´ω`●)

ですから誰かさんに感謝を♪(^人^)


もともと無かった本文は、みなはらオリジナルのものとなっております(*^^*)


ご笑納くだされば幸いです♪



実は、600文字の文章を作る練習に書いた物語が発端です。←全然600文字に出来ませんでしたけど(^_^;)

下記の初期版は1003文字でしたね(笑)←自分どうしても長くなるんです(苦笑)


これは交流相手の方との雑談であった話の、そのタイトルから生まれた物語でした。


交流してる、誰かさんの考えたタイトルで、

お願いして使っていいとご快諾いただけたので、

彼が企画を考えている、リレー小説600文字の練習に使おうかと書き始めたら、

なろう風のタイトルとはちょっと違う雰囲気になったという(^_^;)

始めに思った形にもサイズにもならなかった、そうしたお話でした。


リレー小説には使えなくなりましたが、そのまま捨ててお蔵入りにするのはどうかな?と感じて少し直してみました。


誰かさんにはいつもいろいろとお世話になっておりますm(_ _)m

どうもありがとうございます♪(^人^)




※ 以下はその時の会話や、プロットメモ、初期版の文章です↓

★★★★★★★★



-リレータイトル プレモデル-



◇◇◇


(雑談メッセージ抜粋)

『転生ではなく、異世界転移なのに、前世の記憶があるのですが?』

気になりますね~♪(^人^)

異世界転移の特殊ギフトの他に、実は前世の知識や能力がチートっぽいとか(*^^*)

転移時のギフトは他の転移者やライバル、敵の幹部とかに知られてるけど、前世のことは知られてないから、それで裏をかける展開でしょうか?(*^^*)


◇◇◇


(プロットメモ)

『召喚前世』(プロット仮題)

召喚、従属

失敗、解析

解除、記憶

解放、再生

暴君、狩り


◇◇◇


(600文字文章初稿) ※改稿断念して中断

『君は召喚された』(仮題)



 -君は召喚された-


 そんな声があたしの心に響いた。

緑の光で綴られた幾つもの円の真ん中に、

今あたしは立ってる。


 身体が動かない。


 「ここはどこ!家に帰して!」


 パニックを起こして大きな声でそう叫ぶけれど、

頭の片隅で、

下から照らされてるあたしの顔って、ブスに見えてるんだろうな。とか、

キャラクターものの描かれた部屋着のスウェットの色が、光のせいで汚く見えるんだろうな。とか、

妙に冷静な気持ちで、

そんな関係ないことを思っていた。



-君が召喚される転移の過程で、どんな力を得たかは調べて判っている-


-君は有益だ-

-だから道具として利用できるように、従属支配の因を付与する-


 額に気味の悪い色の光が伸びて当たる。

切り裂かれるような頭痛。



-?-


-因が付与できない-

-何かが邪魔している-



「や、やめて!」


内にある何かがはじけそうになる。


-これか?-


 光が強くなり、

頭の中が燃えるように熱くなる。


「い、いやぁっ!」



 何かが引き裂かれるようにはじける。

頭の中が急に、すっきりする。


-おかしい-


-何が起こったのか?-



-まさか!-


-戻せっ!あの女をもとの世界へ!-





 全ての音が消えた。


あたしは、ずっと昔のことを思い出した。


あたしは昔、紅く大きな竜だった。


彼らの世界を滅ぼしかけて、

人の姿に封じられて、

別の世界に捨てられたのだ。





-信じられん!なぜ奴を召喚などしたのだ!-



 捨てられるとき、

あたしはこっそりと人の姿にある仕掛けをした。


彼らがいつか道具としての人を、あたしの捨てられた世界から召喚するとき、

ここで転生を続けている、あたしのことを召喚するような割り込みを仕掛けたのだ。



 あたしは彼らのことも、

住んでるところも知っている。


そしていまは彼らが衰えたことも。


 騒ぎ立てる彼らの声を心から閉め出す。


心が解放されれば、身体の再生など簡単だ。


 閉じ込められた心が身体を求め、

あたしのちっぽけな姿は膨らみながら、

人のときに好きだったキャラクターのスウェットを引き裂いて、

大きく大きくなりつづけて、

あたしを押さえ込んでいた魔方陣が描かれていた部屋を壊し、

あたしは部屋のあった大きな屋敷を突き破りながら壊して、

どんどん大きくなって、

夜空に浮かぶ二つの緑と赤の月を覆い隠すほどに巨大になっていった。




 ああ、お腹がすいた。

彼らの街へゆこう♪


たくさん食べて、

元気な子どもが育つ、たくさんの卵を産まないと。



 あたしは背に生えた大きな翼をひろげて羽ばたかせる。


災厄の時が訪れる。




★★★★★★★★★


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― 新着の感想 ―
[良い点] こういったど真ん中ファンタジー系も書かれるんですね。 詩で鍛えておられるからか、短い文章でも背景が思い浮かびました。 素晴らしいです。 皆様に感化され、私も最近ちょっとファンタジー系を 書…
[一言] う〜ん 転生とかメルヘン、ファンタジーは難しい 正直、感情移入が出来無いから 史実に沿った物語なら パラレルワールドとして面白いかも 最近では 天草四郎が豊臣秀頼だった 何てなんちゃって歴…
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