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五話ある日~、森の中~

 三度目の異世界に降り立った。

 強制送還させた神に対して思う事や言いたいことは幾らでもあるが今は先ずは移動だ。


「ナビ、左手方向で良かったんだな?」


 声に出す必要はないが体の調子を確認も兼ねて声を出しつつ少し体を動かす。


『ええ、それで問題ないわ、マスター。

 でも、移動は走るんじゃなくて普通に歩いてね』


『何でだ?』


 特に死に戻りによる体調の変化や今回はレベルアップがないことを確認してから、言われた通りに左手の方向に歩きながら質問する。


『貰った情報だと、何でか知らないけど覚醒して直ぐに走ると追ってきて殺されるらしいわよ』


 熊と遭遇したら背を見せて逃げると追ってくると聞いたことがあるので、それに近いものだろうか。


 とは言え、確認はしていないがあの主神様からの指示なのだから間違いはないだろう。


 今歩いている左手側の方は、先程走った場所と比べて気持ち木々の間隔が狭く足元も悪い。

 ジャイアントタイガーのあの大きな体では、この辺りを通るのは難しい気がするが象の様な大きさとは言えネコ科の虎なら上手くすり抜けることも出来そうな気がするし、なんならその辺にある木など薙ぎ倒すことも簡単そうな気がするから一応は、後ろにも気を配っておこう。


『なぁ、今の内にさっき引いたスキルの説明してくんない?』


 黙って歩くのも何なので新たに獲得したスキルについて聞いてみることにした。


『いいわよ、マスター。

 何から聞きたい?』


『氷魔法適性がいいな』


 何から聞きたいかと聞かれて俺は先ず氷魔法適性と答えた。

 やはりファンタジーと言ったら魔法だろう。


『氷魔法適性は魔素を消費して氷に関する魔法が使える適性が上がるのよ』


『どうゆうこと?』


『基本的に魔法の適性は先天性の物で、努力では後天的に習得出来ないのよ。

 だから適性ということね。

 勿論、幾つかの例外はあるけど努力によって習得出来るようになればスキル名から適性がとれるでしょうね。

 そしてマスターの死に戻りガチャも運次第だけど後天的に適性を習得出来るトンデモスキルなのよ』


 なるほど、死という条件があっても普通は努力では習得出来ないスキルですら習得出来るのは確かにチートスキルの性能としては申し分ないな。


『それで氷魔法適正はレベル1の状態で冷たい風を出せる《冷風(フリーズ)》と氷を飛ばす《氷破片(アイスフラグメント)》の二つが使えるけど、今は使わない方が良いわよマスター』


 説明を聞いて早速試してみようと思ったが水を差された。


『何でだよ?』


『前提として全てのスキルは使用すると体内の魔素を消費するのだけど、その量は個人差はあれどレベルに比例するのよ。

 剣術みたいなちょっとしたアシストくらいならそんなでもないでしょうけど今の低いレベルの状態で魔素を多く使う魔法やら使えば直ぐに枯渇して動けなくなるし、最悪の場合死ぬわよ』


『そっか、じゃあもう少しレベルが上がって落ち着いてからだな。

 そう言えばレベルを上げるのに魔素を使って更に魔法やスキルを使うのにも魔素を使うんだな。何か優先順位とかあるのか?』


 今直ぐに、魔法を使えないのは残念だが後の楽しみにとっておくとして、一つ疑問に思ったことを聞いてみた。


『レベルアップが優先よ。

 でも魂が時間辺りに吸収できる魔素の量はそれ程多くないから魂に吸収しきれない分は体に蓄積されてそこからスキルや魔法に使う魔素は捻出されてる』


『成る程、でもそれだと生き物を倒したりジョブでの魔素を獲得してもレベルアップが早くはならないんじゃないか?』


 レベルアップに使う魔素の吸収量に上限があるなら他の手段で獲得してもレベルアップは早くならないのではないだろうか。


『流石はワタシのマスター、良い所に目をつけたわね

 ジョブで得る魔素は魂に直接与えられるものだし、生き物を倒した時に獲得する魔素は一度、魂に吸収されレベルアップに使われた魔素は通常獲得する魔素と比較して非常に吸収しやすい状態なのよ。

 例えるなら通常の空気中に存在する魔素が普通の食材でジョブが点滴、生き物を倒した時に獲得するのは既に調理済みの料理ってことね』


 解るような、解らないような説明だったが空気中等から吸収した魔素をレベルに変換するためには調理工程がいるから時間がかかるが、ジョブや生き物を倒した時に獲得出来る魔素は既に調理済みだから一気に吸収可能であるっていうことだろうか。


『話が逸れたけどスキルの説明に戻るわね。

 次はどれがいい?』


『どれでもいいよ』


 残るスキルは4つだがこれについてはそこまで氷魔法適性ほど惹かれないので順番は任せた。


『そう、じゃあ後は、引いた順番で説明しましょうか。

 受け流しは攻撃を受け流すスキルで武器や防具に関わらず攻撃を受け流して衝撃を減らすか完全に無効にするスキルね』


『所謂パリィ的な感じか?』


『ちょっと違うわね』


 何となく説明を聞いた感じはゲーム何かでよくある、相手の攻撃を弾いて隙を作るパリィの様な物かと思ったがどうやら違うようだ。


『マスターの今言ったパリィは、そのままズバリ同じ名前のスキルがあるのよ。

 パリィは受け流しと違って相手の攻撃に対してタイミングを図って攻撃で無力化するスキルでマスターの世界風に言うなら、パリィは毒を以て毒を制す、受け流しは柔よく剛を制すと言った感じね』


 パリィは、それはそれで別にあるようだが実際に使ってみないと何とも言えないな。


『次は鎧術ね。

 鎧術は剣術の鎧版と言ったところね』


 鎧術は鎧を着た時の動きのアシストとかをしてくれるのだろうが、残念ながら今は鎧ではなく着ているのは、ただの服だから直ぐに使えないから脇に置いておこう。


『三つ目は隠密ね。

 隠密は他者に気づかれないようにする動きのアシストね、足音を出さない様にする歩き方とか、何となく相手の視界が分かる気がするなんてものね』


 今のところ、スキルは少し上の動きをアシストしてくれる物が多いように感じる。

 魔法適性もガチャを引いて獲得したから、いきなり使えるが本来は魔法に適性のあるジョブなりで修練した結果スキルを習得出来るのではないだろうか。


『最後は疲労耐性ね。

 このスキルはマスターに掛かる疲労が軽減されるのよ』


『もっと分かりやすく』


 アシストが多いと思った直後に毛色の違うのが出てきたでござる。


『例えば1キロを歩くのに一般人が十の疲労が蓄積するとしたらマスターはそれより少ない五しか疲労が溜まらなくなるのよ』


 成る程、単純に疲れにくくなるのか。


『そうか、ところで疲労耐性だけ今までのスキルと何か違うな』


『アタシも全てのスキルを把握しているわけじゃないけど、剣術や鎧術の様な技術的なアシストが受けられる物と疲労耐性みたいに持っているだけで強化されれる物、そして、その他の三種類に別れる感じね』


『アシストは幾つか引いたけど、疲労耐性だけしか引いていない強化とその他はどんなスキルがあるんだ?』


 ナビ曰く、スキルは大別して三種類に分けられるらしいが、今まで獲得したスキルの殆どが当てはまる技術的なアシストがもらえるのと持っているだけで自動で発動するされる疲労耐性の様なスキル、そしてまだ引いていないがそれ以外があるらしいが仮名として補助系、強化系、その他と呼ぶとしよう。


 そして一つしか引いて強化系と、引いていないその他にどんなスキルがあるのか気になったので聞いてみた。


『そうね、強化するスキルは疲労耐性以外だと同じ様に何かしらの耐性をつける物で例えば毒耐性や熱耐性、後は単純に身体能力を上げる筋力強化や感覚を強化する視力強化や聴覚強化なんてあるわね。

 その他のスキルはあくまでも先の二つに当てはまらない物だからかなり色々あるけどアイテムボックスや鑑定とかのマスターの世界の異世界転生の定番なスキルがあるわね』


『何、ラノベとかわかんの?』


『アタシはマスターをサポートするために造られた精霊だからね、マスターの世界の文化とか常識とかも知識としてはある程度は持ってるわ』


 へー、ラノベとか言うから聞いてみれば、アフターサービスっていうか細かい所は気が利いているのにスタート地点は悪意のある場所だったりちぐはぐだな。

 スキルについては一応聞いたが引けるかどうかは運次第である以上、そういうスキルがあるんだな位の参考にしかならないだろうな。


『それでさ、神を殴る方法って何?』


 それなりに歩いただろうか、ジャイアントタイガーの縄張りを抜けたからか気持ち木々の感覚が狭くなった気がする。


 もしかしたら直ぐに使うかもしれない獲得したばかりであるスキルの説明を聞いた後に俺を転生させた神を殴る方法をナビに聞いた。

 この危険な場所に転生させて二度も死ぬはめになった報復として一発殴らなければ気がすまない。

 ガチャ空間では方法はあるらしいと聞いたが、その時は関係ない話だったから後回しにしたがジャイアントタイガーも追ってきていないようだし聞いても問題ないだろう。


『神を殴る方法はね、ズバリ、ダンジョンを攻略することよ!』


 ダンジョン。

 直訳すれば地下牢を意味する英語であり、現代ではファンタジー小説等でモンスターが住まう洞窟だったり魔王が作る防衛施設だったり神様が作った試練だったりと色んな種類があるが共通するのは敵となるモンスターがいることだろう。


 そんなダンジョンを攻略すれば神を殴れるとはどういうことだろう。


『この世界のダンジョンは神様が用意したもので、人類のレベルを上げるために作られて攻略すると普通は特別なお宝を貰えたり、ダンジョンを用意した神様の力が及ぶ範囲で願いを一つ叶えて貰えるのよ』


 なるほど神が用意し願いを叶えるなら確かに可能な気はするが、世界の為に違う世界の人間をこの世界に転生させることを任される程の力を持つ神なら性格は置いといて神の中でもそれなりに序列が上だったりしそうだが本当に殴れるのか?

 そう疑問に思ったことをナビに告げると、顔は見えないが自信満々な雰囲気を醸し出した。


『ここから距離があるけど、主神様が作られたダンジョンを中心とした街があるんだけど、なんとここを攻略したらマスターを転生させた神様をぶん殴っていいって、貰った情報に主神様のサイン付きで載ってたわ』


 おいおい、主神様は神かよ……神だったわ。


 偉大な主神様に感謝の念を捧げるが、それだけでは感謝しきれないので何か方法がないか聞いてみた。


『主神様マジやばいわ。

 この感謝を表したいんだがどうしたら良い?』


『日々、祈ることじゃないかしら。神様に対する感謝の祈りが糧になるらしいから。

 後は、多くの人がレベルを上げることかしら』


 レベルを上げる? 祈りやらの思念が上位存在の糧になるみたいなのは創作とかでみたことあるので、なんとなく理解できるが俺個人ではなく何故多くの人がレベルを上げるのが感謝を表すことになるのだろうか?


『この世界自体が主神様より更に上の存在から兵士を育てるために作られたものなのよ。

 レベルを上げて魂の強度? 総量? の多い魂を死後に許可を取ってから専用の肉体に移して兵士として運用するんだって。

 あっ、喋ったけどこの話は一般には伝わっていないから他の人に話しちゃ駄目よ』


 このポンコツ精霊、いきなり世界の真実的な爆弾を落としやがった。

 気になって聞いたのは確かに俺だが、せめて教える前に一言ぐらい注意があってもいいじゃないか。セキュリティがガバガバガバナンスかよ。


 とは言え、レベルの高い人間を増やすのが主神様のお仕事の一つと言うのならダンジョン攻略の際に人数を増やしてパーティーを組んで攻略すれば一人で攻略するよりは主神様の助けになりそうだ。

 まだ、この世界での転生者の扱いとか死に戻りのスキルについての扱いが分からないから確実なことは言えないが頭に片隅には置いておこう。


 と、考えながら歩いていたのが悪かったのだろう目の前の藪を掻き分けて進み藪を抜けると目の前に目の前に緑色の何かが居た。


「ゲ、ゲギャー!」


 一瞬だけ変な空気が流れたが硬直が解けたのか奇声を上げ飛び上がりながらこちらに襲い掛かってきた。

死亡数0

残りライフ104

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