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大人になる

作者: Emi's

 大人は変だ。何を考えているかよくわからない。忙しそうにみえて、ない。責任感があるようで、ない。ものごとを深く考えているようで、ない。彼らの人生は充実しているようで、ない。僕は大人になりたくない。


 僕が初めてであった大人は、せかせかしていた。時間がないようだ。ぎりぎりの電車に乗っては、ぎりぎりの時間に会社、ではなくオフィス近くのカフェでコーヒーをテイクアウトする。ぎりぎりのくせして、提供が遅いと、怒鳴る。

「会社に遅刻したら責任をとれるのか!」

「誠に申し訳ございません。」

 スタッフは形だけあやまっている。さっさと会社に行けばいいのに、と僕は言う。すると大人は

「社会人の朝は貴重なんだ。クソガキにわかるか。」

 と言ってきた。僕は大人なんかになりたくない。彼の価値観を理解できる能力より、僕は大人にならないことを選ぶ。もしそこに選択肢があるのなら。そもそもぎりぎりに生活しているあたり、それは時間を貴重にしていないことの十分な説明である。

 

 次に出会った大人は不倫をしていた。彼には奥さんと二人の子供がいるが、そんなのおかまいなしだった。出張の回数が増え、シャツには女物の香水の匂いがして、夜ご飯も家で食べなくなっていた。奥さんはもちろんしっている。二人の子供は勘づいている。彼はこのことは知らない、どうやらしらを切れていると思っているようだ。奥さんは

「子供が社会人になるまでは、経済的な理由で離婚はできない。」

という。夫婦は、少なくとも子供の前では明るくふるまっている。どうやら夫婦仲の悪さが子どもにとって悪影響があることは理解しているらしい。彼は社内でそこそこの地位があり、夫婦仲の良さをよくアピールしているため、まさか誰も不倫なんて疑わない。不倫相手は彼に離婚を求めているが、彼はあいまいな言葉ではぐらかしている。どうやら離婚する気も、不倫をやめる気もない。まるで子供のような無責任さである。


 三番目に出会ったのは時代遅れな大人である。セクハラ、パワハラ、モラハラ、ハラスメントの世界大会があったら、彼は連覇するだろう。ハラスメントは職場でも家でも変わらない。彼にとっての対等な関係とは、昔からの友人だけである。部下や家族は自分を支える存在であり、自分のために彼らがいると無意識で考えている。彼にとって子供が髪を染めたり、ピアスをあけたりするのは絶対に許されざることだが、言われるまで気づかない。社内で怒鳴るのは日常茶飯事であり、新入女子社員に膝カックンするのが彼の十八番である。部下が自分の飲みを誘うと、怒鳴る。一応奢るぐらいの気前の良さはあるが。僕は聞いた。

「どうして人の嫌がることをするの?」

「嫌がってなんかないさ。すべて彼らのためだよ。彼らにとって僕は必要不可欠なんだ。」

 逆である。彼にとって彼らが必要不可欠なのだ。


 最後に出会った大人は僕自身であった。つまり、目の前の責任やリスクを避けたいがために、その粗を探し否定し続け、ただ年齢だけ重ねていく僕自身であった。

「どうして、否定しかしないの。経験すらしてないのに。何も知らないのに。」

「....」

「どうして、目の前の問題から逃げ続けるの。」

「....」

「逃げるだけじゃ解決しないよ。」

「....」

「相手を否定しても、それは自分の正しさの証明にはならないよ。」

 それでも僕は、大人になりたくない。

初投稿で拙いので生暖かい目で見てください

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