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神社  作者: 赤羽こうじ
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貴子②

 急に怖くなった私は貴子からハンディカムを受け取ると、貴子と共に神社を後にする。理由なんかは無い。真っ暗闇で静けさが支配する様な世界。その場にいる事が無性に怖くなったのだ。


 足早に森を抜け、森の外へと出た所でようやく一息をついた。


「ふぅ、良かった。出て来れた」


「ふふ、何言ってるの? 出て来れるに決まってるじゃん。檻の中に閉じ込められてる訳じゃないのに」


 振り返り森を見つめる私に貴子は笑いながら問い掛けてくる。

 

 そんな事はわかっている。だが、あの神社にいると

『自分達は一生森の中から出られないんじゃないだろうか?』

と非科学的な事さえ頭をよぎってしまう。

 平然と笑っていられる貴子を見て私は信じられない気持ちになっていた。


「まぁ、今日はありがとう。正直貴子が来てくれて助かったよ」


「姫華の力になれて良かった。じゃあまたね」


 そう言って私達は森の前で笑顔で別れた。


 翌日。

 私は学校へ行くとお昼まではいつも通り大人しく過ごしていた。お昼休みになったら二人に話し掛けよう。昨日の夜神社に行った事を話そう。そう決めていたのだが私はどう話し掛けたらいいのだろうか? いきなりそんな事を話し掛けたら『コイツは本当にやばい奴だ』とか思われるんじゃないだろうか? 私がそんな風に悩んでいた時だ。


「藤村さん、昨日は散々だったね。あれからちゃんと帰れた? 私、家帰って体痒いと思ったらあちこち蚊に刺されてたよ」


 なんとクラスメイトの方から私に話し掛けて来たのだ。私は驚いたがすぐに笑顔で返す。


「あ、私も帰ってからシャワー浴びてたら胸元とか刺されてたのに気付きました」


「えっ? めっちゃエロいじゃん、その蚊」


 そう言って笑顔を見せるクラスメイトに対して私も笑顔で返していた。私はここで意を決して本題に入る事にした。


「あの、ちょっとだけいいですか? 私あれからどうしても気になってもう一回行ったんですよ……そしたら神社に辿り着いたんです」


 私は少しおどおどとしながら上目遣いでクラスメイトを見ると二人は顔を見合わせて驚きの表情を見せていた。


「えっ? 藤村さん本気で言ってるの? あれから一人でまた行ったの?」


「あ、いや、一人でじゃなくて貴子と行ったんだけど、あのこれ、見てもらってもいいですか?」


 私はハンディカムを取り出し二人に手渡すと二人は不思議そうな顔をしてハンディカムを受け取った。

 私は二人の手にあるハンディカムを横から操作すると夜の森が映し出され、その後映像は森の中を進んで行く。


 やがて森を進んでいた映像は朱色の鳥居を映し出した。


「えっ? なんでこんな物があるのよ?」


 先程まで笑顔を見せていたクラスメイトも今は食い入るように画面を見つめている。

 その後映像は神社を映し出し、手水舎で手を洗う私を映し出した後、私が参拝して慌てて神社を後にし、森を出た所で映像は途切れた。


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