表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類滅亡学者の旅路  作者: さくら
人類滅亡
7/58

ネームド

 今更だけど、僕には僕自身の記憶は無い。


 漠然と社会生活を営んでいた日々の記憶と、経験した際、感じた印象の記憶はあるにはある。

 実に中途半端だ。でも、それで困ることは無いので、まあ、いっかという感じ。


 だから名前も思いだせない。

 まあ、必要ないしね。一人だから。

 でも、それでは味気ないかも知れない…人生には彩りが欲しい。


 ちなみに、今、僕は歩いている。


 雨が降ったり止んだり。

 梅雨だから、仕方ない。

 天候は、自由自在とはいかない。

 社会も、天候と同じ感覚ならば争いもなかったはず。


 まあ、やられたらやり返すのも、自然現象の一種なのかもしれない。人間も自然の一部だ。忘れがちだけど。

 中道と中途半端は違うし、やられたら徹底的に完膚なきまでやり返した方が、相手の為。

 心を折るまでは止めてはいけない。


 でも、もはや必要無い考え方だ。

 だって戦う相手は、もう何処にもいないもの。


 さて、僕の名前の話し。

 自分の身体をアチコチ探ってみる。


 僕は男の子だと分かった。

 ちょっとホッとする…良かった。

 男女差別の意識は無いです。

 ただ記憶では、僕、男だから、その通りであると確認できて、安心したのです。女の子だったら、それはそれで問題は無い。…多分。


 雨が降ってきたので、傘を差して、空を見上げる。

 そうだね、男ならば名前は、…ソラとか。

 安直?


 雨粒が地面を濡らす。

 人類滅亡しても雨は降るのだな。当たり前だけど。

 雨は変わらず、あの雲から落ちて来るのだ。

 空は灰色の雲ばかり…グレイだ。


 名前は、ソラ、姓はグレイでいいんじゃないかな、どう?


 まあ、仮の名前という事で。

 どうせ、僕が没すれば煙のように消えて無くなる名前だよ。





 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ