接話 それぞれの行方(三人称視点)
初めての三人称視点だからどっか変かも
正村姫音の場合
アルスが使った煙幕により逃げた姫音は現在1人で岩に身を隠していた。あの状況で少し魔術を食らった程度で済んでいるのは、姫音の魔力感知が高いのもあるがそれ以上に運が良かった。
姫音は自分が逃げきれたことを喜ぶと同時に端末を見て悲しくもなっていた。
戦術対抗戦ではイデアル端末は基本、使用が出来ない。唯一使えるのは味方の生存確認だけである。同じクラスに限り生存しているかどうかを確認できるのである。
これによれば現在Cクラスで生存してるペアは
7ペア中4ペアのみだった。他のペアは運悪くやられてしまったようだ。
残っているペアは自分達のペア、アルスとリンネのペア、夏鈴のペア、そしてレンジとロウカのペアである。
レンジのペアが生き残っているのは、戦闘がまだ続いている証である。
姫音は1人でここに居るので、もし他クラスに襲われてしまった場合はまずい。息を潜めて夏鈴のエニグマから手に入る回復ポーションを飲んでいた。この戦術対抗戦は一定のダメージを越えなかったらいいので、回復ポーションをたくさん持ち込めた夏鈴の存在は大きいだろう。
だが姫音の隠れたい意志とは裏腹に姫音の方に歩いてくる者がいた。
「隠れても無駄だぞ、正村姫音」
「何故ここが分かった、連道!」
「お前には特別に教えてもいいぞ、お前は多分選抜者だからな」
「選抜者?なんの事だ」
「知らなかったのか?なら教えてやろう。毎年それぞれのクラスの1組には、クラスを諦めさせない、クラスの実力を引き出させる目的で、良い成績の生徒の中から4人選ばれるんだよ。
選ばれた4人は選抜者と言ってな、本来Sクラス相当の実力がある、または将来的にそうなる可能性が高い生徒が選ばれるんだよ。姫音、お前は本来SクラスだったのにCクラスにされた訳だ」
それは姫音には衝撃の事実だった。姫音は試験官のせいで自分がCクラスに落とされていたと思っていたので、自分は正しく評価された上でCクラスに所属していると知ったからだ。
「本来はSクラスに所属するはずだったお前がCクラスのような扱いを受けるのは辛いはずだ。
だが俺はお前をSクラスまで連れて行ける。どうだ俺と手を組まないか?俺はAクラスの選抜者足りうる実力がある。損はさせない」
姫音にとってそれは魅力的な相談だった。自分かいるはずだったSクラスに早く行けるかもしれないからだ。Sクラスに行けば自分をもっと強くする為の施設も揃っている。
だが姫音がとった選択は
「ありがたい提案だが断らせてもらう。私にSクラスの実力が本当にあるなら自分の力で手に入れるさ」
(それにまだ1ヶ月しか経っていないが、共に上を目指したい仲間もできたしな)
「そうか、やっぱり断るか。まぁ分かっていたが」
連道の言い回しに違和感を覚える姫音だったが、提案を断ったらこれから起こることは1つ。
「ペアのためにも負ける訳にはいかないのでな、倒させて貰うぞ」
「俺に勝てると?俺とお前の相性は最悪だぞ?」
「?やってみないと分からないだろ」
そしてここに1つの戦いが始まった。
☆☆☆
エアリアル・シルフィード・リンネの場合
リンネが逃げた先は見晴らしのいい草原のような場所だった。魔法を使うリンネにとって厄介なのは奇襲である。それを防げる草原に来れたのは不幸中の幸いだろう。
「本当にここにいたんだ」
「!?誰?」
「初めまして。私はAクラス所属のトリネ」
「なんでここが?」
「教えて貰ったの。私たちのクラスのリーダに。相性は普通だからちょっと渋られたけど」
トリネの装備は一般的な魔術使いが好む格好だった。魔術を底上げする服装と武器。これから起きるのは魔術士同士の戦いだった。
「いいわ。私も自分の今の実力が知りたかったし」
「随分強気ね。私は王級魔術をほとんど使えるのに」
「あのCクラスたちに加勢しなくても良かったの?」
「あいつらは元々使い捨てる予定だったからいいの。Bクラスをあんなに倒せたし、もう少しであいつらは失格するしね」
「??よく分からないけど手加減しないから」
「しなくてもいいわよ」
そこからは無言で互いに魔法陣を構成する。魔術士同士の戦いは静かに始まった。
☆☆☆
涼宮 夏鈴ペアの場合
「峯田君、何とか逃げれたね」
「煙幕で俺のスキルが上手く噛み合って出来て良かったよ」
ペアの2人は現在、フィールドに、幾つかある家に隠れていた。
「あ、また欠片見つけたよ」
「そろそろ浄化しに行こう。マップを見るとあっちかな」
本来の地図は地形変更してしまい当てにならないが、対抗戦専用の地図を使えば黒いところを埋める形で地図が使用出来る。参加している生徒はこれをみて戦闘エリアの収縮を確認する。
「やられた人も多いけど私達のやることは変わらないしね」
「俺達は俺達で敵を避けながら欠片を探そう。さっきも上質なポーションが手に入ったしね」
夏鈴、峯田ペアは方針も変わらず、欠片集めに集中していた。
能力故に、Aクラスに狙われず、放置されたことを2人は知らない。
☆☆☆
シロナ・フェルニールの場合
「みんなとはぐれてしまった。ん?こっちにいい匂いがする気がする」
煙幕で逃げたシロナは1人、フィールドをさまよっていたが、とりあえず匂いのする方へ走っていった。
この場所にシロナを倒しに来たAクラスの生徒が、誰もいないことに気づくまであと5分。
三人称初めてだからどこか変かも




