第32話 中級魔術までだけど
「顕現し 焼灼させるは 紅く烈しい 魔なる火よ」
詠唱と共に、手のひらほどの魔法陣が、発現する。そこからは紅い火の玉が召喚される。親指くらいの。
「ちっさ」
「聞こえてるからな」
「聞こえるように言ったのよ」
こやつ…
確かにちっさいけども。他の人は握りこぶし位は普通にあるし。
「その、詠唱って恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいです。でもこっちの方が発動が楽なんだよ。それに詠唱してるとこ見せた方がいいかなって」
今さら、中級魔術を詠唱する高校生はほとんど居ないだろう。でも魔法陣の維持が楽になるから使うしかない。
「それで魔法陣は見れたか?」
「ギリギリね。発現時間が短かったから」
「それはすまんな」
リンネ曰く中級魔術の魔法陣に書いてあるのは、[火][錬成][放出][魔術持続][収束][追従]の6個だそうだ。俺は4つくらいしか分からなかった。
「模様は見れたか?」
「見えたけどあんまり分かんなかったわ」
やっぱりリンネはこっち系の事が苦手らしいな。
「だったら魔法陣を覚えてもらうしかないな」
「あれを覚えるの?」
「別に詠唱でもいいけど、自分で魔法陣を描く方が圧倒的に早い。上級魔術になってくると比にならないくらい詠唱の量も増えるしな。それに何より詠唱恥ずかしいし」
「分かってるけど…」
「主様はこういうのただ覚えるってのが苦手だからな」
数字2つを覚えるよりも物語2つ覚える方が楽だしな。
「だったら俺に提案がある」
「何よ?」
「戦術対抗戦まで後3週間あるだろ?それまでに俺が模様のことを分かりやすく、全部教えるよ。
今からいけば中級全部と出来たら上級までは教えられる。それに自分で魔法陣を組めるならアレンジができるしな。 」
「それはいいけど、それまで付き合ってもらっていいの?」
「その代わり、1日だけでいいから、俺に文字を教えてくれ」
魔法陣は級が上がるにつれ文字の数が増える。それに対応して模様の数も増える。上級からは魔法陣も大きくなる。
中級魔術から増えた、[収束]のような工程もあるしな。だからこそ模様の研究は進んでいなかった。
ただ文字がわかるなら俺は模様は組める。
「あと3週間で俺と魔術を極めようぜ」
「分かったわ。あんたにかけてみるわね!」
次回から戦術対抗戦に入ります




