第1話 入学と幼馴染
「ここでお別れだな」
「えーー」
「早くしないと電車に乗り遅れるぞ」
「うーー」
目の前で幼馴染のミリアがぐずっている。
ここはアルタ王国の学園都市にある駅の1つ。
「だいたいなんでアル君が違うクラスなの?」
「しょうがないだろ。試験でそうなったんだから」
「納得出来ないよー」
今日からアルタ王立学園に通う俺たちだが俺とミリアのクラスは違っていた。
俺がCクラスなのに対して、ミリアのクラスはSクラスである。
まぁミリアの実力と実績だと、Sクラス以外になるのが難しいくらいである。
イデアル端末を通してミリアの実績を見てみるとそこに並ぶのは輝かしい実績ばかりである。
非表示設定が出来ない実績ポイントだって有り得ないほど高い。
一方俺の実績は、中学校までのテストで1位を取ったのが並んでいるだけである。評価されやすい学外活動がない俺の実績ポイントは雀の涙程しかない。
「アル君だってSクラスに行けたもん」
「いや俺は実績もほとんどないし、そもそも魔術がある限り無理だって」
魔術が試験にある限り俺は一生Sクラスには行けないと思う。
俺の魔術は、あれば生活に困らない程度の物しか使えないのである。
まぁ魔術が無くてもSは無理だと思う。主に実績のせいで。
「そろそろ時間だから行くぞ」
「はぁい…」
アルタ王立学園はアルタ王国にいる15歳~20歳までの学生のほとんどが通っている学校だ。
Cクラスだけでも俺の中学校の何倍もの校舎が何個も並ぶほどなので、俺とミリアはまず会えない。
そもそもCクラスとSクラスは結構離れてるから学校が終わるまでは確実に会えないだろう。
Sクラスから1番離れてるのがCクラスなのである。
ミリアと話してるうちにどうやらミリアが乗る電車が到着したようだ
「じゃあ気をつけて行ってこいよ」
「分かった。アル君も気をつけてね!」
笑顔で手を振るミリアが見えなくなるまで俺も手を振り続けた。
ほんとに辿り着けるか心配になるがああ見えてしっかりしてるし大丈夫だろう。
「さて、俺の乗る電車まで後15分もあるしゲームでもしとくか」
イデアル端末を使いゲームを起動した俺だが、ゲームに熱中しすぎて乗り遅れそうになったのは言うまでもない。
☆☆☆
「ここがCクラス第1校舎なはず…」
改めて見てみるがほんとに大きい。大きすぎて視界に収まらない。これに加え巨大な体育館にプール、演習場にお店まで、その他色んな施設がある。しかもそれが第20校舎まであるのだから国の気合いの入りようが分かる。
割合が少なめなCクラスでこれだからBクラスは想像も出来ない。
学園都市の広さはアルタ王国の領土の3分の1を占めている。世界て1番面積の多いアルタ王国の3分の1である。もう訳が分からない。
「入学式まで時間もあるしのんびり歩いて行くか」
第1校舎はCクラスの中でも1番小さい。何故なら第1校舎に通う生徒はCクラスの中で1番優秀な者が集められるからである。
それでも正門に向かうがそれだけで一苦労である。学内にはバスもあるらしい。これからの学園生活を考えると少し心配になってしまうのも無理はない。
正門が近くなるにつれて人通りも多くなってきた。みんなが同じ制服を着ている。当たり前だがこれから一緒の学園で過ごしていくのである。なんかドキドキしてきた。
だが周りの生徒の表情は暗い人が多い。まぁそうなる気持ちも分かる。それは何故かというと、俺たちが今から通う校舎はいくら1番優秀な第1校舎とはいえ、それはCクラスの中でなのである。
そう、落ちこぼれのCクラスの。