第29話 私なんかやっちゃいました?
午後の授業は科学と剣術だった。殆どの授業は自己紹介位で終わったが、剣術は担任の桂先生だったこともあり、剣を持って打ち合いをした。ここでも姫音が活躍してたのでCクラスにいる疑問は増えるばかりである。
そして今俺は訓練場にいる。放課後リンネに呼ばれたからだ。リンネは先に来てジュースを飲んでた。
「やっと来たわね」
「悪い少し待たせたか?」
「お前、主様を待たせるとはいい度胸じゃないか」
「お前久しぶりに喋ったな」
「学校では不思議がられるから、あんま喋んなって言われたんだよ」
「そういう事ね。で、なんで俺は呼ばれたんだ?」
「特訓よ!」
「特訓?」
「戦術対抗戦に向けて鍛えるのよ」
「なるほどねー。特訓って言っても何するんだよ?」
「魔術の特訓に決まってるじゃない!」
決まってるのか。あんまり気は進まないな。それよりも聞きたいことがあったんだった。
「魔術と言えばさ、リンネはなんで初級魔術しか使えないんだよ?」
「うぐ。逆に聞きたいわよ。なんであんな上級とかみんな使ってんのよ?」
「そうだぜ。主様が使えねーのをあんなポンポンできるのは可笑しいだろ!」
「なんでって言われてもな?俺が言える訳じゃないけどそんな難しいか?」
あんなに魔術の成績がいいならリンネも使えると思うんだけどな。俺でも時間はかかるが上級くらいなら使えるぞ?
「私なんてまだ初級を3つくらいしか覚えてないのに」
「あんなのを3つも覚えてるんだから主様はすげぇよ!」
「慰めになってないわよ」
「そんななら1回使って見してくれよ。なんか可笑しいとこあるかもしれないし」
絶対なんか可笑しい。俺はイデアル端末で申請して訓練場に人形を設置させる。ついで訓練場もちょい弄っておこう。
「分かったわ!見してあげる」
「見せてやれ主様!」
「分かったからはよしろー」
リンネが魔術の準備に入る。リンネの周りに魔法陣が浮かぶ。リンネは詠唱しないタイプか。
ここで俺は違和感を覚える。あの魔法陣なんかおかしい。そう思ったのも束の間、魔法陣から魔術が放たれる。その魔術は人形ゆっくり燃やし尽くして消えた。
「…」
「どう?何かおかしいとこあった?」
「主様が聞いてんだろ?黙ってるけど、どうなんだよ?」
「いや可笑しいとこしかないでしょ!?」
「え?何処が?私何かやっちゃったの?」
こいつ本当に分かってないの?あんなの使っておいて?
「普通初級魔術はあんな威力ないよ?中級に届く勢いだったぞ?」
「威力高くしすぎたの?でも出力は等倍になるようにしたわよ?」
「じゃあ尚更意味わかんないんだが?」
初級魔術って使えても料理の中火くらいなんだけど。いくら魔質Sって言ってもあの威力は無理があるだろ。それにあの威力で魔術出力等倍ってのも意味わからん。
「どうやってあんな威力出してんだよ?」
「え?普通に文字で威力高めただけよ?」
「???」
「なんで黙るの?また私なんかやっちゃった?」
「主様の凄さに気づいたようだな。ハッハッハ」




