第1話 土地を見に行こう!
テーマパークを作るための土地確保は、本当に拍子抜けするほどあっさり完了した。
クソ国王は本格的に、私がどうしようがまるで興味は無いらしい。シーバーに問い合わせてもらったところ、城のある都市から少し離れてはいるが、テーマパークを作るには十分すぎるほどの平地を自由に使ってもいいという、そっけない内容の許可証を送ってきた。
元気にしてるか?とか、そういう細やかな気遣いができるほどの脳みそは、どうやらお持ちではないようだ。
あのクソ野郎め。
とにかく、土地が確保できたからには、まずは視察しなければなるまい。
私はあのクソ継母が馬糞を送ってきたときによこしてきた馬に乗り、土地を見に行くことにした。
「お待ちしております、姫様。夕食の時間までにはお戻りくださいませ。」
シーバはそう言って、快く私を送り出してくれた。
頼りになるぜ、シーバ。
だいぶ長いこと馬を走らせ、見えてきたのは、石だらけの本当に何も無いさら地だった。
本当にまっさらだった。
どこまでも平野が続いているため、遠くに都市や城などが見える。
それ以外の建物は見当たらず、道路らしきものも伸びていない。あるのは、そこそこに広い川と、だだっ広い平野だけ。
なるほど、今のところは、全く利用価値の無い土地というわけだ。こんな土地では何もできないだろう、という国王のクソッタレな考えが見え透いている。
きっと継母や異母姉妹も、そう思っていることだろう。
しかしこの平野は、私にとっては好都合だった。
石なんてどけてしまえばいい。建物を建てるのに邪魔な木も山も無く、しかも近くには川がある。
この川は城のある都市にまで繋がっているので、船をわたせば交通機関として上手く作動してくれることだろう。
そう考えていた時だった。
突然突風が吹き荒れたかと思うと、上空から何かが近くの地面に向けて、急降下して着地してきた。
口に入った砂を吐き出して、それを見る。それは、赤く巨大なドラゴンであった。
日本の一般的な家一軒ほどの大きさはあるだろうか。そのドラゴンはまっすぐに、私のことを見下ろしている。
「貴様、何をしにここに来た。」
ドラゴンが言う。
待って、とっても低くてめちゃくちゃ素敵なイケボ!
ってそうじゃない。ちゃうねん。
私は深めに呼吸をすると、できるだけ冷静に、はっきりと伝えた。
「ここに、テーマパークを作りたいんです。」