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28:占い師には騙されるもの



■セイヤ・シンマ 基人族(ヒューム) 男

■23歳 転生者



 綺麗なお姉さんから「占わせてくれ」と言われたら、それはもう確実に霊感商法だ。

 絶対によくない事を言われ、「この壺を買えば」とか「これだけ寄付すれば」とか言われるに決まってる。

 だから俺は無視したかったんだが……



「ご主人様、星面族(メルティス)の占い師は滅多に会えず、よく当たると評判です」


「樹界国にも森林保護と農地選定の為に星面族(メルティス)の担当官がおりました」


「是非とも占って頂きましょう」



 ノリノリなんだよね。

 確かに前世のうさんくさいのと違って魔法やら神やらある世界だから本当に占えるのかもしれないけど。

 ともかく嫌な予感がするし、余計な金はとられない事だけ注意すればいいだろう。

 あとはどんな悪い事を言われても「へぇ」で済ませればいい。


 そんなわけで星面族(メルティス)の女性に連れられて俺たちは組合の一角に来た。

 いつも占いをしているスペースのようだ。

 ……でも丸見えなんですけど。

 ……組合員どもが遠目でガン見してますけど。



 俺は女性の対面に座り、その後ろを侍女軍団が包囲する。ナイス壁だ。

 机の上には黒いマットが敷かれ、色とりどりの小さな宝石が置かれる。

 これが夜空と星を表し、その星の動きで占うらしい。



「では始めよう。両手を上に、ここへ置いてくれ」


 

 マットの両側に手を乗せると、女性は手を重ねてきた。

 俺と彼女に囲まれた空間が夜空になったようだ。



「【運命神リンデアルト】よ、【大地の神ディール】よ、我、星詠みの民フロロ・クゥの名において問う。この者の先、運命の脈はどこへ向かう。何を為し、何を手にする。星は何を視る。いかに輝き、いかに消えるか。星の地脈は何を知る。我は求める。我の声に応えを―――」



 呪文と共に魔力を込めると、宝石は次々に浮き上がり、飛び回ったと思ったら星座っぽい何かの形を作ってまた飛び回る。

 まるで小さなプラネタリウムだ。

 星座の名前は俺のもらった知識に全くないので分からないが、所々有名な星座があるようで、後ろから色々と聞こえる。



「王冠座……鳳座……大樹座……」


「ん? 女神座か今の……やはりご主人様……」



 やはりって何だよ。分からないんだよ、こっちは。

 前世もそうだったが、やっぱ星座に物語みたいなのが付いてるのだろうか。

 それとも形だけで適当に名付けられているのだろうか。


 そうして幾度も動き回った宝石はマットの上に落ちた。

 どうやら終わったらしい。女性の手が俺から離れる。

 さて何を言われるか、と身構えていたが―――



 ―――彼女は席を立ち、俺の横へ来ると跪いたのだ。



「やはり汝は我の探し求めていた人に間違いはなかった。どうぞこの身を汝の僕として欲しい」



 ……嫌な予感がするって言っただろうが!


 いや、考えてたやつと違うけど!

 なんで占ったら僕になるんだよ!



「お、おい! あのフロロが跪いてるぜ!」


「なんだ! 何があったんだ!」


「なんかとんでもない占いが出たのか!」



 ああああ! 何か見られてるし!

 と、とりあえず席に座らせて話しを聞こう。

 ちょっとみんな! バリケードしっかりして! イブキ、近づくやつ居たら威嚇しちゃっていいから! なんなら全部投げ飛ばしちゃっていいから!



 さて、改めてどういう事なのかと聞く。


 どうやら彼女――フロロさんはかつて族長に与えられた神託めいた星詠みによって、十年もの間、星の滅亡を救える【黒き者】という人を探していたらしい。

 十年ってまたとんでもないな。運命神と大地の神、無茶ぶりだろ。


 しかし確かに俺は【黒の主】とか言われてたけど……



「はっきり言って俺に星を救うとか、世界を救うとか無理だぞ。見ての通りただの基人族(ヒューム)だ」


「汝のようなただの(・・・)基人族(ヒューム)などおらぬ。そして先ほどの星詠みで確信した。やはり我が幼き頃より受けていた神の声、そして族長に下りた声に間違いはなかったと」


「俺が救うと占いで出たのか?」


「どのように滅び、どのように救うかは分からん。だが汝がこの先幾度となく困難に会うも、それを打ち払う力と術を有していると。そして汝だけでなく周りに幾人もの人の支えがあり、我もその一員となるよう改めて告げられた」



 なんだよそれ! そこまではっきり言う神だったら滅亡と救世について話せよ!

 俺に何しろってんだ! あの女神がまた何かしやがったのか!?


 俺が一人頭を抱えていると、後ろの侍女軍団が何やら盛り上がっている。



「やはりご主人様は女神様に選ばれし存在という事でしょう」


「ああ、よもや星を救う定めにあるとはな」


「ご主人様なら当然ですっ!」


「つまり彼女……フロロも私たちと同じく奴隷侍女となるのですね」


「……初めての後輩……私もがんばらないと……!」



 えっ、僕=奴隷じゃないでしょ?

 なんかサポート要員的な感じじゃないの?



「ああ、我も奴隷となり汝――ご主人様のお傍にありたいと思う。先達の方々、よろしく頼む」



 だから奴隷になるのが軽すぎるって言ってんだろうがあああ!


 ……と言っても無駄なんだよな。

 さすがに俺もパターンが読めてきたよ。

 よしよし、大人しく腹をくくって、良き主人を演じようじゃないか! この野郎!



「……分かった。ではフロロ、これからよろしくな」


「うむ」


「フロロ、ご主人様への返事は『はい』です」


「……はい」



 よろしい、って頷くエメリーさんマジ侍女長。

 フロロ、とりあえず何かあったら俺じゃなくてエメリーを頼れ。

 がんばってくれ。俺にはそれしか言えない。



 何か遠目で見られながらヒソヒソと陰口を叩かれる居心地の悪い空間を抜け、改めて受付へと行く。

 とりあえず拠点変更申請しなければ。

 あと街の地図があれば手に入れたいし、家を持つにはどうするのかも聞きたいし、フロロの奴隷契約の為に奴隷商を教えてもらうのと、あ、フロロもパーティーに入れないといけないのか。



「フロロは組合員なのか?」


「一応登録はしてあるが迷宮に入ってはいない。土魔法くらいしか取り柄がないのでな」


「まぁそれはこっちでどうにかするけど、そうしたらパーティーどうしようか。六人までなんだろ?」


「クランを作れば良いのでは?」



 イブキがそう言う。

 七名以上の場合、パーティーではなくクランという扱いになるらしい。

 だから別に七名以上で探索しても問題ないとか。


 じゃあなんで呼び方変えるんだと聞くと、大人数で魔物を倒しても成長しないのだとか。

 回復職などが戦闘で全く攻撃を与えずに成長する為には、最大六人で戦闘するのが限界らしい。


 これはつまり経験値が入らないってことだな。

 俺は<ステータスカスタム>のおかげでこの世界が経験値制・レベル制だと分かっているが、今まで散々戦っていたイブキもそれを知らなかった。

 魔物を倒して経験値を得るって発想自体がないんだと思う。


 だから別に七人以上で戦ってもいいけど、魔物を倒さなかったら成長しませんよってことか。

 だったらクラン作って、七名を三名・四名に分けてパーティー編成したほうがいいな。

 一人残して迷宮に潜るってわけにもいかないだろうし。

 パーティー編成の仕方がよく分からんけど……。

 まさか組合のパーティー申請じゃないよな。



「ご主人様、クラン名はどうしますか?」


「えっ、パーティー名とかなかったのにクランは名前がいるのか?」


「はい。パーティーでも有名なパーティーは名をつけている所もあります。クランの場合、登録の際に名付けの義務があります」



 うわぁ……想定してなかったな。

 これ、みんなに意見を求めても「ご主人様にお任せします」的な事言われるんだろうなぁ。

 主人っぽくビシッって決めないといけない場面なんだけど……。


 ああ、もう受付の前じゃん。

 時間がない! ええと、どうにか考えないと!




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