裏切り者の正体
マノンはとある家の前に来ていた。
「話ではここの女の子が能力者だって言うんだけど…」
すでに周囲は闇と静寂に包まれていた。
そんな中、マノンは家の電気が消えた家を見上げ、首を傾げた。
「なぁんかちょっと嫌な気がするのは、何故?」
眉をしかめながらも、家の敷地内に一歩を踏み出す。
すると家の姿がぐにゃりと歪んだ。
「やっぱり罠か」
マノンが呟くと同時に家は光となり、光は地面に集まった。
そして一つの模様を浮かび上げた。
「コレはセツカの能力だな」
マノンの存在が、その模様の力によって、その場にくい止められた。
「やれやれ。そろそろ潮時かなぁとは思っていたけど、行動が早いね。姉さん」
同時刻、場所は本家。
本家の邸の中で、カズサは一人でいた。
広間に座布団を敷き、虚ろな表情で座っている。
しかしその額には、浅黒く手形があった。
広間にルナとヒミカが入ってきて、そんなカズサの姿を見て、互いに顔を見合わせた。
「やっぱり…」
「マカの言う通りだったわね。カズサのおじさんは操られていたんだ」
「カズサ…」
ルナは不安げな表情で、カズサの前に立つも、何の反応も返さない。
「カズサのおじさんのことは、マカに任せましょう。とりあえず、運ばなきゃ」
ヒミカが視線を移動させた先には、シヅキとラゴウの二人がいた。
二人は難しい顔をしながら、頷いた。
「囮の方はセツカから成功したとの連絡が入ったわ。まあもっともいつまで持つかは分からないけどね」
ヒミカはルナの肩を掴み、カズサから離れさせた。
「…攻撃部隊は送らなかったのね?」
「マカは今回、マノンを足止めさせればいいと思っているらしいわ。問題は裏切り者の本体の方だからって」
「マカ…」
ルナは不安げに、空を見上げた。