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リウは目は笑わず、口元だけ笑って言った。
「僕が思うところでは、カズサのおじ様じゃないかと思う」
「カズサの…。確かにありえなくはないな」
カズサは古くからの幹部の血筋のモノだった。
彼は見た目は50過ぎの男性ながら、すでに300歳は過ぎている。
長く生きている彼は、かなりの頑固者として有名だった。
血と掟を何よりも重んじ、それゆえに敵が多かった。
「だがヤツがそんなことをするか? 確かに口うるさいヤツだが、それも全ては血族の為。反することはヤツにとっては、死をも意味するだろう」
「どうだろうね? 最近では僕やヒミカのようなハンデ付きの能力者が多く生まれることは、中途半端な結婚をしているせいだと言い触らしているみたいだし?」
「まぁだそんなことを言っているのか? まっ、ウチの両親の結婚も、ヤツに推し進められたようなもんだしな」
マカの実父、マサキには恋人がいたのにも関わらず、血の近さからカノンとの結婚を推し進められた。
おかげで厄介な家系図となっていることに、マカは頭を痛めていた。
「マカも苦労するよね。まあ昔ながらの幹部の考えなんだろうけど。今じゃ、彼の考えに賛同する者も少ない。そこで裏切りという道に走ったとしても、不思議じゃないと思うけど?」
「だが相手はあのマノンだぞ? とてもじゃないが、あのジジィが取り引き相手に選ぶとは思えん」
何よりも血と掟を重んじるからこそ、異形のモノと化したマノンと取り引きするとは思えない。