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「そういえば、マカはいつ本家に帰るの? そろそろお盆だから、早く戻って来た方がいいよ」
「…あと2・3日後には戻るさ。今はやることが山のようにあるからな」
「ああ、マカは受験生だもんね。宿題とかは?」
「受験生、だからそんなにはないんだ。まあ力を受験の方に入れろってことだな」
「難儀なものだね。まあ僕も中学受験ではちょっと苦労したけど」
リウは成績は優秀なものの、両足のことで、普通の学校には嫌がられていた。
だが障害者の学校に通うことを嫌がり、結果血族の者が経営する学校へと入ったのだ。
「苦労しているのは、お前のご両親だろう? 感謝は言っているのか?」
「まあ気が向いたら。マカこそ、そろそろ両親に会った方が良いんじゃないの? カノンさん、ちょっと悪化しているみたいだし」
「…そんなに噂になっているのか?」
思わずマカの顔が、複雑に歪む。
「嫌な噂ほど広がりやすいからね。まあちょっと、だよ」
リウも苦笑し、肩を竦めた。
「はあ…。まあ家に帰ったら、顔ぐらいは見せるさ」
「そうしなよ。カノンさんの一番の薬って、やっぱりマカだと思うよ?」
「逆に悪化しないと良いんだがな」
「アハハ」
リウは笑った後、不意に真面目な顔になった。
「あの…ね、マカ。もしかしたらもう聞いているかもしれないんだけど…」
「何だ?」
「ウチの同属に、裏切り者がいること」
リウの言葉に、マカは目を細めた。
「…そっちも噂になっているのか?」
「こっちも細々とは、ね。ただ、信憑性はこっちが強いみたい」