2
マカは車椅子を押しながら、エレベータに乗り、部屋に戻った。
「悪いが車椅子はここまでだ」
「分かってるよ。マカ、抱っこ」
「はいはい」
車椅子を玄関先に置いて、マカはリウをお姫さま抱っこして、リビングに入った。
ソファーにゆっくりと下ろす。
「オレンジジュースで良いか?」
「うん。お願い」
人懐っこく、表情がクルクルと回るリウは、愛されやすい存在だった。
マカも何となく、面倒を見てしまう。
リウの両足は、血族のモノがどんなに頑張っても治らなかった。
リウの両親は一人息子であるリウを溺愛しているものの、両足のことで多少は負い目もあるのだろう。
リウの言うがままに育て、多少ワガママになっている。
「しかし本当にどうしたんだ? 息抜きか?」
「う~ん…。まあそうだね。本家は息苦しくてさ」
リウは両足のことで、本家からは扱いに困られていた。
能力者としては、高い力を持っているものの、それでも大きなハンデを持っている。
それゆえに本来なら幹部候補となるのだが、今はまだ未定となっている。
そのことを現幹部の両親も困っているらしく、本家が息苦しく感じてもしょうがないことだった。
「…そうか。まあゆっくりしていくといい」
「泊まってもいい?」
「ご両親に連絡をすれば、な」
「ぶ~」
リウはふくれながら、オレンジジュースを飲んだ。
溺愛している両親は、簡単には宿泊を許してはくれないのだ。