同属との再会
ピンポーン
「ん? 客か?」
ヒミカとアオイから裏切り者の存在を教えられてから数日後、マカの住むマンションに来客が訪れた。
インターホンには、意外な人物が名乗り出た。
『マカ、いる? 僕だよ』
「リウ!? ちょっと待ってろ」
マカは慌ててエレベータで一階に降り、玄関まで行った。
「アハハ、久し振りだね。でも何も降りてこなくても良かったのに。玄関だけ開けてもらえれば、一人でも上がれたよ」
「お前の場合、そうも行かないだろう? リウ」
マカがリウと呼ぶ少年は、車椅子に乗っていた。
彼は生まれ付き、下半身に障害を持ち、一度たりとも自分の両足で歩いたことはなかった。
マカのマンションはセキュリティはしっかりしているものの、障害者にはあまり優しくない設計だ。
マカはリウの後ろに回り、車椅子を押した。
「悪いねぇ。次期当主様にこんなことをやらせちゃって」
「悪態つくぐらいなら、来るな。そもそもお付きの者はどうした?」
リウは本家寄りの血筋な為、付き人が何人かいて、リウの身の回りの世話をしていた。
「今日は僕一人。マカに会いたくて」
「そりゃどうも。だが電話の一本ぐらい、入れてほしかったな。私が家にいなかったら、どうするつもりだった?」
「あっ、それは考えていなかった!」
本気で今気付いたという顔をしたリウ。
マカはため息をついてしまう。
今、リウは中学三年生。
本家の地元の中・高が続きの私立の学校に通っている為、受験はないものの、こちらへ来るほど暇ではなかったはずだ。