表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

3

「でもマノンは簡単に利用させてくれるヤツじゃないでしょ?」


「そりゃそうだ。利用した後、喰らうのがオチだな」


「恐ろしい人ですね」


アハハと苦笑するアオイを見ながら、マカは二度目のため息をついた。


「アレは簡単には心を許さないだろう。私の対であり、あの両親の子供なんだからな」


「…でもマサキさんもカノンさんも、今は動けないんでしょう?」


「監禁しているからな。絶対に何もできないように閉じ込めている」


元々マノンがよみがえったのも、あの両親の身勝手からだった。


自分の死んだ子供を近くにいてほしいと望んだ母親と、それに加担した父親。


今思い出しても、苦々しい思いだ。


「でもさ、原因はマカにもあるんじゃない?」


「何がだ? 言っとくが二人の側にいられなかったのは、祖父のせいだぞ? 生まれてすぐ、引き離されたんだからな」


「それは知ってる。けどその後、会おうと思ったら会えたんじゃないの? アンタ、少し避けてたでしょう?」


「…否定はせんがな。しかし精神を病んだ母親に、好んで会おうとする子供はなかなかおらんぞ」


「それでも寂しかったと思うわよ? カノンさん。ただでさえ、会える者は限られていたんだし」


「ふんっ」


ソッポを向いてしまったマカを見て、ヒミカは肩を竦めた。


「まあまあ。とにかく裏切り者のことは今、キシさんとルナの二人で調査を続けています。僕とヒミカさんも調査に戻りますね」


アオイは立ち上がり、ヒミカの腕を引っ張った。


「…そうね。それじゃあ新しい情報が入ったら、また連絡をするから」


「ああ」


二人が出て行った後、マカは深く息を吐いた。


「裏切り者、か。…本当に何が目的でマノンに協力しているんだか」


マカは立ち上がり、窓を開けた。


生温い風が、マカの頬を撫でる。


暗くなる空に、赤い三日月が浮かんでいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ