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マカが部屋を出て行った後、二人はため息をついた。
「マカ…きっとリウのご両親のことを思って、会おうと思ったんでしょう」
「だろうね。リウの両親、大分ダメージ受けていたみたいだし」
リウの両親は、子供の裏切りを知らなかった。
その事実を教えられ、しかもリウが去ったことを聞くと、泣き崩れてしまった。
リウの両親も幹部から除籍される。
そして裏切り者の親というレッテルを、血族から張られてしまったのだ。
「リウのヤツ…。気持ちは分からなくはないが、あんなに可愛がってくれた両親まで裏切るとは、ね」
「…案外、リウにとってはそうじゃなかったかもよ? ご両親、リウの両足にかなりの負い目があったみたいだし」
「だけどそれはしょうがなかったことでしょう? いつまでも負い目に思ってちゃ、そりゃ逃げ出したくなるわね」
「本当の愛情かも、疑わしく思っちゃうものね」
しんみりしていた二人だが、不意に二つのケータイの着信音が響いた。
「あっ、キシからだ」
「こっちはアオイからだわ」
二人は顔を見合わせ、深くため息をついた。
「ウチの血族は男運、ないわね」
「言わないでよ。かなり気にしているんだから」
二人はブツブツ言いながらも、電話を受けた。




