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リウはそのまま、とある住宅街の公園へと移動させられた。
そこにはマノンがいた。
「やあマノン。どうやらハメられちゃったみたいだね」
「そうだね。相変わらず姉さんは手が早くて困るよ」
セツカの力を破り、マノンは脱出してしまった。
「足はどう?」
「おかげさまで、よく動くよ。まだ違和感はあるけどね」
そう言ってリウはズボンの裾を上に捲くった。
すると真っ黒に染まった両足があらわになる。
しかしリウは微笑み、両足を撫でる。
「馴染むまでにはもうちょっとかかるかな?」
「そうだね。それまではムリに動かさない方がいいよ」
「だね。もうしばらくは車椅子生活かな」
「こっちで用意するよ。とりあえず、この場を離れようか。嗅ぎ付けられると厄介だ」
「そうだね」
二人の姿が影に呑み込まれる。
「あっ、そうだ。一つリウに言っておきたいことがあったんだ」
「ん? なに?」
マノンはちょっと拗ねた顔をして、リウを指さした。
「ちょっとボクの姉さんに、甘え過ぎじゃない? 姉さんはボクの獲物なんだからね!」
「マノン…」
リウの笑顔が固まる。
「キミ…ちょっと思っていたけど」
「何だよ?」
「重度のシスコンだろう?」
ガンッ!
マノンの怒りの鉄拳が、リウの頭上に落とされた。
「あいたっ! …暴力的なところは、血のつながりを感じるよ」
さっきよりもよりいっそう拗ねたマノンと、涙目になりながらも苦笑しているリウを呑み込み、影は消えた。




