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人や動物に自分の気を込め、思い通りに操るのが能力だった。
思い通りに動かせる内容や時間は、込めた力の分量による。
だがリウはその力を使いこなしており、自由自在にいろいろなモノを操作できるようにまでなっていた。
おそらくカズサは最初に強い力を込められた。
その後、用がある時だけ『操作』され続けたのだろう。
『操作』された相手は、その間の記憶を失う。
つまり証拠が残らない。
しかし今回は幹部から情報が洩れていることが分かっていた上、『操作』能力を使うリウが、疑わしい人物の側にいれば、そんなに難しい推理でもなかった。
「…いつからマノンに協力していたんだ?」
「実はマカがマノンを見つける前、だったりして」
つまり昔の【擬態】事件の始まりの頃には、二人は出会っていたのか。
「僕も彼も体が足りない存在だからね。何となく、気が合ったんだよ」
「マノンは約束してくれたんだ。情報を与えれば、僕の足を動くようにしてくれるって」
そう言ってリウは嬉しそうに、その場を飛んだり、数歩歩いたりした。
「やっぱり足が動くっていいよね! 生きているって気がする」
「―それで? お前はこの後どうするつもりだ?」
「う~ん。とりあえずはマノンのところに行くよ」
リウの言葉が言い終わった途端、影が動き、リウを包み込んだ。
「くっ…! 足止めの時間が切れたか!」
「じゃあね、マカ。同属の中でも、キミのことはキライじゃなかったよ」
「ぬかせ! 次に会った時は、マノンと共に狩ってやるからな!」
「ふふっ。楽しみにしてる」
そうしてリウは姿を消した。




