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本家の邸を見下ろせる山の上に、リウはいた。
車椅子に座りながら、騒ぎ出した邸の様子を無表情で見下ろしていた。
「―で? お前は何と引き換えに、本家の情報を売っていたんだ?」
背後からマカに声をかけられ、リウは笑顔で振り返った。
「僕を本家から出してもらうことを、だよ」
その言葉に、マカの顔がよりいっそう険しくなる。
「お前の能力を使い、カズサを操り、情報を洩らした結果がその望みか? 随分と安いものだな」
「普通の血族ならば、難しい問題でもないかもね。でも僕にはホラ、ハンデがあるから」
そう言ってリウは自分の両足を叩き、そしてゆっくりと立ち上がった。
「なっ!?」
「―まっ、本当の対価はこっちの方なんだけどね」
「お前っ…どうやって立っているんだ?」
「それは秘密♪ でもマノンの力が作用しているんだ。彼の体もまた、足りないモノだからね」
「チッ…!」
どうやらマノンは戦う以外の力の使い方も、学んできているらしい。
「あっ、ちなみにカズサのおじ様を利用したのは、前からキライだったから。その理由は話さなくても、分かるよね?」
リウは笑顔で語るも、その心中が黒く染まっていることにマカは気付いた。
カズサは前にリウが言った通り、ハンデ付きの能力者を毛嫌いしている。
リウも生まれた時から何かしら難癖をつけられ、顔を見合わせるたびに心無い一言を言われ続けてきた。
同じくハンデ付きの能力者であるヒミカはそのせいで、本家へ寄り付かない。




