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六十一話「その一言を、欲しかったんだよな」
「もう、笑ってないよ」
竜苑寺は事実として真顔で、しかし周囲の暁成や実は周りの男たちや神仔までもがかなり派手に笑っていたが。
なのに仁は、
「笑う、な――――――――――――――――っ!!」
竜苑寺の胸板を、ひと際強く、叩いた。
それに竜苑寺はやれやれ、と肩を竦める。
「……気が、済んだかい?」
無反応。
沈黙。
そして、
「……わたし、」
「済んでないか?」
無反応。
沈黙。
そして、
「……でも、」
言いたいことは、わかる。いいのか? 泣いても? 叫んでも? 胸板を叩いても? 関係無いのに? 八つ当たりに近いのに? それなのに?
「関係無いって」
たった一言。
それだけで、仁は崩壊した。
「あ………………わ――――――――――――――――――っ!! お……お父さん、おかあさんおとうさんおかあさんおとうさんおかあさんおとうさんおかあさんおとうさんおかあさんおとうさんおとうさんおかあさんおとうさんおかあさんおとうさんおかあさんおとうさんおかあさんおとうさん、ん……ぅ、くっ、ぐ……う、ぅう……あ――――――――――――――――ッ!!」
心が爆発したようだな、と他人事のように心の片隅で思ったような気が、したかもしれない。




