朝の町と依頼⑶
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前回のつづきです。
魔獣を吹き飛ばした光の束は、細かい粒となっていく。そして、風に吹かれて消えていった。それは言葉では表しきれないほど神秘的で、美しい光景だった。
「…。な…なんだ…?…今のは…。」
たった今 目の前で起きた出来事に、俺は立ちすくんでしまった。
「ヴォルテ、大丈夫?怪我してない?」
心配そうにシエルが駆け寄ってくる。
「ああ、大丈夫…。これで依頼は達成できるな。」
落ち着きを取り戻した俺は、依頼されていた『魔物の牙』を回収する。
「町に帰ろう。シエル、ステラ。」
町へ向かう途中でのこと。シエルが突然切り出した。
「ヴォルテ、さっきの魔獣を倒したの、驚いた?」
「ああ…。あれは何なんだ?」
「精霊術師は、精霊と契約を結んでいるんだ。そうすることで、お互いの力を共有できる。
ステラは星の精霊だから、僕は星の力を借りてその技を使ったんだ。」
「それだけのことが出来るってことは、ステラは凄い精霊なのか。」
「そうみたいだね。5大精霊の1人らしいんだ。」
それを聞いたステラが、少し誇らしげな顔をしている。
「知らなかった。きっと他の精霊も、この世界のどこかにいるんだな。」
俺はふと、澄んだ空を見上げる。
太陽は白く輝き、町へ向かう3人を照らしていた。
ひと区切りです。
次回もお楽しみに。