語尾・人称によるセリフのキャラ付け考察
語尾・人称によるセリフのキャラ付け考察
日本語には、多様な表現があり、主語や語尾などに特徴を付けることで口調から、どのキャラクターが喋っているか判断できることがあります。
このようなものを役割語などというそうです。
このエッセイでは、様々な語尾をその話者の特徴とともに紹介します。
しかし、現実の世界では、同僚、後輩、上司、家族、友達と会話する相手により話し方を変える人が多数です。小説でもそうしたいところですが、場合によって誰が話しているか訳が分からない状態になるので、難易度が高くなります。
語尾以外にも、人称、呼び方、あだ名、親族の呼び名などの種類についても書きました。
※イメージなどは筆者の個人的な物です。地域、生活環境などによりかなり差異があると思われます。
注意。本来語尾はニュアンスなどを表すために使用されるもので、「男性」とか「女性」とかを直接表すものではありません。ここでは役割語的なステレオタイプを紹介しますが、それが本来の使い方とは異なることがあります。
例えば「ですわ」は典型的お嬢様とされますが、「やってらんないですわ」は男女などはニュートラルです。
「そうだ。京都へ行こう」の「だ」も「だ」系とか男性的とか関係なく、断定的、思いついたぞ、という意味しかありません。
◆語尾
■ですます系
「私はアルパカです」
「ご飯を食べに行きましょう」
「何でもいいですよ。できれば楽しんで食事できるところがよいです」
「そうですか。何でもありません」
「納得ですか?」
「そうします」
普通の女子中学生からOLおよび、サラリーマンなどの成人男性です。
敬体といいます。
いわゆる「ですます」系で丁寧な言葉遣いで喋ります。
一見簡単そうですが、最適な表現をするのは難しいです。
「ないです」より「ありません」のほうが好ましく感じる人がいたり、二重敬語などの諸問題もあります。
使い慣れていない作者の場合、「のです」に限りなく近くなり、社会人なりたての幼稚な雰囲気になる場合があります。
■だ系
「俺(僕、私)はアルパカだ」
「ご飯食べ行こう」
「何でもいい。できれば楽しく食べれるとこがいい」
「そうだ。なんでもない」
「納得するか?」
「そうする」
小説では「である調」と呼ばれますが、あまり「である」は使いません。
敬体に対して常体といいます。
「だ」「だった」「○○る」「体言止め」などで終わります。
無口系、サバサバ系、無関心系、無個性系などの人物の喋り方です。
■だよ系
「私(僕、俺)はアルパカだよ」
「ご飯食べ行こうよ」
「何でもいいよ。できれば楽しく食べれるとこがいいな」
「そうだね。なんでもないよ」
「納得なのかな?」
「そうするよ」
優しい感じの人物の場合、男女問わず「だよ」「ないよ」「だね」「○○な(ぁ)」などを使用します。
主に若い人物が使用する話し方です。
「食べちゃう」「死んじゃった」などの若干崩れた表現をします。
「頑張ってんだよ」は男性。「頑張ってんのよ」は女性。「頑張ってんだもん」は女性より。
「わたしだよ。みんな、楽しんじゃお。そんなんじゃハピハピできないぞっ」
■だぜ系
「俺はアルパカだ」
「ご飯食べ行こうぜ」
「何でもいいぜ。できれば楽しく食べれるとこがいいな」
「そうだな。なんでもないぜ」
「納得なん?」
「そうするぜ」
少年漫画風主人公、青年、少年系。多くのなろう小説の主人公の一人称の喋り方です。
すこし悪ぶっている風な感じで喋り「だぜ」「るぜ」「ぜ」などを頻繁に使用します。また、綺麗な表現ではなく、短縮形の表現や「喋ってんじゃん」のような「ん」「じゃん」などを多く使います。
■っす系
「俺はアルパカっす」
「飯、一緒に食いに行きましょう」
「何でもいいっす。できれば楽しく食べられるところがいいっす」
「そうっす。なんでもないっす」
「納得っすか?」
「そうするっす」
「っす」「っすか」などを用います。
部活の後輩などが先輩に対して喋る表現です。
■のです系
「私はアルパカなのです」
「ご飯を食べに行きましょう」
「何でもいいのです。できれば楽しく食べられるところがいいのです」
「そうです。なんでもないのです」
「納得なのです?」
「そうするのです」
です系に近いものの「のです」系は、若干幼いまたは可愛い感じの女性が主に使用します。
バカっぽいとか幼稚といわれることもあります。しかし通常の文章の部分を固めにすると、バカっぽさを軽減することができます。
「のです」系の亜種に「なのです」系も存在します。
■ですキャラ語尾系
「私はアルパカです」
「ご飯を一緒に食べに行くですか」
「なんでもいいです。できれば楽しく食べれるところがいいです」
「そうです。なんでもないです」
「納得なのです?」
「そうするです」
普通のデスマスと比べて不自然にですを付けるのが、ですキャラ語尾系です。
丁寧ではあるものの幼い感じを出すことができます。
■のじゃ系
「ワシはアルパカなのじゃ」
「ご飯を一緒に食べに行くのじゃ」
「何でもいいのじゃ。できれば楽しく食べられるところがいいのじゃ」
「そうじゃ。なんでもないのじゃ」
「納得なのじゃな?」
「そうするのじゃ」
ひとつはおじいさん系。もうひとつはのじゃロリ系です。
「のじゃ」「なのじゃ」「じゃい」「じゃわ」「じゃよ」「じゃな?」に加え「おる」「いたす」「たまえ」などを使用します。
■である系
「私はアルパカなのである」
「ご飯を一緒に食べに行くのである」
「何でもいいのである。できれば楽しく食べられるとこがいいのである」
「そうである。なんでもないのである」
「納得なのであるか?」
「そうするのである」
「である」「のである」を主に使用します。王族や貴族の男性などが稀に使用します。
■ですわ系
「私はアルパカですわ」
「ご飯を一緒に食べに行くのですわ」
「何でもいいですわ。できれば楽しく食べられるところがいいですわ」
「そうですわ。なんでもないのですわ」
「納得なのですか?」
「そうしますわ」
「ですわ」「のですわ」「なのですか?」を主に使用します。王族や貴族、高貴っぽい女性が主に使用します。
文脈により異なりますが「わ」で終わっているため関西系に見えることもあります。
「ですの」を使用する一派もいます。この場合「行くですの?」のように前の「の」は省かれる傾向があります。
■だわ系
「私はアルパカだわ」
「ご飯を一緒に食べに行くのだわ」
「何でもいいわ。できれば楽しく食べられるところがいいのだわ」
「そうだわ。なんでもないのだわ」
「納得なのですか?」
「そうするわ」
「だわ」を主に使用します。ですわ系に近い少しだけ尖った感じの女性が主に使います。
「だわ」自体は男性でも「正解だわ」のように使うこともあります。
「だわ」は「よ」と半分半分で使用されることも多いです。
■よ系
「私はアルパカよ」
「ご飯を一緒に食べに行くのよ」
「何でもいいのよ。できれば楽しく食べられるところがいいのよ」
「そうよ。なんでもないのよ」
「納得なのですか?」
「そうするのよ」
ですわ系と同じくお嬢様などが使用します。
■であります系
「私(自分)はアルパカであります」
「ご飯を一緒に食べに行くであります」
「何でもいいであります。できれば楽しく食べられるところがいいであります」
「そうであります。なんでもないであります」
「納得でありますか?」
「そうするであります」
「であります」を用います。
軍隊において、階級の低い人物が上官に対して使用します。
■だお系
「私はアルパカだお」
「ご飯を一緒に食べに行くお」
「何でもいいお。できれば楽しく食べられるところがいいお」
「そうだお。なんでもないお」
「納得なのですお?」
「そうするお」
「だお」「お」「ですお」を主に使用します。もともとは幼い印象を指すものでした。
しかし2chのイメージによって、サブカル系のオタクのイメージが強いものになりました。
■あるよ系
「私アルパカあるよ」
「ご飯一緒に食べに行くあるよ」
「何でもいいあるよ。できれば楽しく食べれるとこ、いいあるね」
「そうあるよ。なんでもないあるよ」
「納得なのであるか?」
「そうするある」
「ある」「あるよ」「あるか?」を主に使用します。似非中国人が使用します。
この喋り方は「てにをは」が抜けていたりするところに特徴があります。
■ござる系
「拙者アルパカでござる」
「ご飯を一緒に食べに行くでござる」
「何でもいいでござる。できれば楽しく食べれるところがいいでござるな」
「そうでござる。なんでもないでござるよ」
「納得なのでござるか?」
「そうするでごさる」
「でござる」「ござる」「ござるか」「ござるよ」を主に使います。男女ともに武士や忍者、くのいちが主に使用します。
一人称は「拙者」「某」が多いです。
■にゃ系
「私はアルパカなのにゃ」
「ご飯を一緒に食べに行くにゃ」
「にゃんでもいいにゃ。できれば楽しく食べれるとこがいいにゃ」
「そうにゃ。にゃんでもにゃいにゃ」
「納得なのかにゃ?」
「そうするにゃ」
「にゃ」「のにゃ」「かにゃ?」などを使用します。ネコの獣人などが主に使用します。
たまに、主人公などがふざけて使用することもあります。
「な」がほぼ「にゃ」に変化する場合があるのも特徴です。「にゃ」のかわりに「にゃん」の場合もあります。
「にゃ」はネコですが同様に、イヌ「ワン」ウサギ「ウサ」「ピョン」ウシ「モー」「ウシ」ウマ「ウマ」クマ「クマ」ブタ「ブー」魚「ギョ」のようにだいたい名前の一部か鳴き声が語尾になります。
これは動物系のキャラ語尾の一種だと思われます。
■さね系
「私はアルパカさね」
「ご飯を一緒に食べに行くのかね」
「何でもいいさね。できれば楽しく食べられるところがいいさね」
「そうさね。なんでもないのだわ」
「納得なのかい?」
「そうするさね」
例文に自信がありませんが、おばさん、おばあさん系の話し方です。一応方言系らしいです。
■だべ系
「おらはアルパカだべ」
「ご飯一緒に食べに行くだべさ」
「何でもいいだべ。できれば楽しく食べれるとこさがいいだべ」
「そうだべ。なんでもないだべ」
「納得なのだべか?」
「そうするだべ」
方言系。とりあえず「だべ」をつけてみました。東日本が該当地域のようです。
■ずら系
「俺はアルパカずら」
「ご飯を一緒に食べに行くずら」
「何でもいいずら。できれば楽しく食べられるとこがいいずら」
「そうずら。なんでもないずら」
「納得なのずら?」
「そうするずら」
方言系。とりあえず「ずら」をつけてみました。山梨、静岡、長野が該当地域のようです。
■大阪系
「俺はアルパカや」
「ご飯、一緒に食べに行こうや」
「何でもいいわ。できれば楽しく食べられるとこがいいわ」
「そうや。なんでもねえわ」
「納得なんやな?」
「そうするわ」
大阪弁系。関西弁系。
語尾「や」「わ」「やで」「なんや」や形容詞が「はやい」→「はよう」のように末尾が「ウ段」に変化するなどの特徴があります。「そやかて」「ごっつう」「あかん」「ほんま」「さかい」などをよく使用します。
私のようにネイティブではない場合は、だいたい似非が前に付きます。「似非」は比較的簡単に使用可能ですが、正確な大阪弁にするのは難しいです。逆に関西圏の人は、認知度の低い大阪弁の単語をうっかり使用してしまいがちで、それ以外の地域の人には意味が通じなくなっている場合があるので、注意が必要です。
■わっち系
「わっちはアルパカと申す」
「ご飯一緒に食べに行ってくりゃれ」
「何でもいいのう。できれば楽しく食べれるとこがいいと思いんす」
「そうじゃ。なんでもない」
「納得じゃろか?」
「そうするんす」
おいらんとは正確には違うそうなので「わっち」系としました。
「くりゃれ」「じゃろ」「思いんす」「できんせん」「だめかや?」などを使用します。
使用するには、若干難易度が高いので、頑張ってください。
「のじゃ」系や方言系の一種ですが、おのぼりさん的な人物が使用します。
■ごろつき系
「俺はアルパカだ」
「飯一緒に食い行きやしょう」
「何でもいい。できれば楽しく食えるとこがいいぜ」
「そうだ。なんでもない」
「納得なんか?」
「そうしやす」
この場合は、例文があまりよくないですが、江戸の下町の言葉を話します。
色々なところがなまっていて「わかんねえ」「しちまう」「てめえ」のように話します。
なまっているので、IMEでの変換が比較的難しく、入力がそれなりに困難です。
◆人称
日本語には多くの人称代名詞があります。
一人称のモノの多くは、親しい間柄で二人称にも使われた結果、現在では両方の意味で使用することがあります。
現代でも、小さい子に対して「わたし」「僕」と呼びかけることもあります。
小説では「わたし」とひらがな書きされる場合があります。人物により漢字、ひらがな、カタカナが使い分けられることも多いです。
「ワタシ」とカタカナで書かれることもありますが稀です。
■私、わたし
もっとも一般的な一人称です。
女子は小学生から、男子は社会人になってから大人が使用します。
男子は私的な場合には「俺」などを使用して、会社では「私」を使用することが多いです。
個人的には、小説において、成人男性が一人称視点で使用するのは、筆者はじゃっかん違和感を覚えます。貴族や議員、研究者などは例外です。
中高生なら、筆者と同様に感じる人も少なからずいると思われます。
■俺
男子小学生からおじさんまで、多くの男性が使用します。
男子は年少期は「僕」を使用することも多いですが、かっこよく見せようとしたりして、俺に転向していく人たちが年齢が上がるとともに増えます。
女子の中にも「俺」を使用する人が少ないもののいて「俺女」と呼ばれます。
「俺」はぞんざいな言い方なので、公的な場ではほとんど使われません。
変化形として「俺っち」などがあります。
表記としては「オレ」「おれ」「俺」と書かれます。「私」にくらべ、カタカナで書かれることも多いです。これは2010年までは俺の字が常用漢字ではなかったからだと思われます。
逆にひらがなで書かれることは、それほど多くないです。
■私、わたくし
「わたし」の正式な言い方です。一部の高貴な女性や、格式ある公的な場などで使用されます。
「わたし」と「わたくし」は同じ字なので、小説では毎回ルビを振るかカタカナで「ワタクシ」のように表記される傾向があります。
■僕
元は自分が格下であることを表す一人称です。
小さな男の子から大人まで、幅広く使います。やや私的な言い方ですが、会社などで使用してもそれほど問題がありません。
まじめ、ひ弱、幼いなどのイメージがある人もいます。
これを使う女子を「ボクっ娘」といいます。多くの場合「ボク」とカタカナで書かれます。
普通の男性の場合は、漢字で書かれることが多いと思います。
■あたし
女性の人物が一人称で使用します。「わたし」がなまった言いかたです。
口語では「わたし」より「あたし」よりに発音している人も多いです。公的な場所では、「『わ』たし」としっかり発音するのがマナーとされています。
やや頭が悪そうな、軽い印象もあります。
■自分
男女とわず、一部の人が使用する一人称です。
関西を中心に、二人称でも使用されるため、紛らわしいことがあります。
体育会系、軍隊系での一人称によく使用されます。
文章上では、反照代名詞として一人称、二人称、三人称の区別なく使用されます。
■わい
関西圏を中心に主に男性が使用します。
■うち
関西圏を中心に主に女性が使用します。
近年では、関東などでも使用する場合があるようです。
■おら
田舎っぽい、主に男性が使用する一人称です。
■あたい
田舎っぽかったり、暴走族っぽかったりする女性の一人称です。
あたしよりワイルドだったり野暮ったかったりするイメージです。
■わし
主に年寄り、およびのじゃロリが使用する一人称です。
なまって「わす」と言う場合もあります。
■わっち
いにしえのオオカミの神様が使用する一人称です。
■おいら
童謡か昔話などの子供が使用する一人称です。
■妾、わらわ
王族や神様など身分の高い、女性が使用する一人称です。
■吾輩、わがはい
猫と悪魔の一人称です。現代では、一般にはほとんど使われません。
尊大なイメージがあります。
■俺様
吾輩とならんで、ぞんざいな俺の言い方です。
調子に乗っているいけ好かない勇者やチンピラなどが使用します。
■某、それがし
ちょっと漢字が読めないかもしれません。
戦国時代、武士、忍者などが「ござる系」と合わせて使用します。
■拙者、せっしゃ
某との使い分けは良く分からないが、武士、忍者が使用します。
■小生、しょうせい
男性が、手紙などで使う、らしい一人称です。目上の人に対しては使わないそうです。
■我、ワレ
小説ではもっぱら「我々」「我ら」として使うか、魔法の呪文で「我の名に置いて、癒しの力を与え賜え」のように使用します。
関西圏では「なにすんじゃわれ」のように二人称にも使用します。
■朕、ちん
王様、皇帝が使用する一人称です。
■予、余、よ
王様、領主、神様、魔王などが使用する一人称です。
■己、おのれ
古い言い回しで一人称として使用します。
「おのれ、こしゃくなやつめ」のように二人称にも使われます。
■ミー
英語的な一人称です。ごく稀に使用されます。
■作者、筆者
その文章を書いた本人を指し、人称問わずに使用します。
この文書では、作者はなろう小説を書く人一般、筆者はこの文章を書いている個人を指すことにしています。
■あなた
一般的な二人称です。
口語で一般的な二人称として使用するのは現代では限定的な感じがします。
固めの女性が道端で、人を呼び止めるときなどです。
主に使用するのは、夫を呼ぶ場合が多いと思います。
「貴方」「貴女」のように漢字で書かれる場合もあります。
■あんた
「あなた」の少しぞんざいな言い方です。
そのへんの人に対して二人称として使用します。
また夫を呼ぶ場合を指して使用することもあります。
■貴○、御○
「貴社」「貴紙」「御社」などのように使用します。
相手を敬う表現です。小説ではあまり使用されません。
ちなみに自分が所属している組織については「弊社」「弊学」などのようにいいます。
■貴公、貴殿
騎士などが、相手を敬うときに使用します。
騎士や領主が書状で呼び出すときや、成果をほめるときによく目にします。
■君
格下や同僚に対して使用します。
偉い先生や社長が、生徒や部下を呼び止めるときに、よく目にします。
先輩が下級生などを呼ぶとき、とかにも使います。
親しみを込めて、近い間柄の人もいうときがあります。
なまって社長とかが「ちみ、ちみ、ちょっと待ちたまえ」のようにも使います。
■お前
格下や同僚に対して二人称で使用することがあります。
知らない人に対して使用する場合は、格下で呼びつけるようなイメージがあるので、不愉快で敵対的ととられることもあります。
逆に同僚など、仲間意識の表れでもあり、親しみを込めて使われます。
ただし、基本はぞんざいな言い方とされることが多々あります。
■手前
二人称としては、お前に近い使われ方をします。「なにすんだ、てめえ」ですね。
一人称としても使用することがあります。やや変わった人などが使います。ちょっと江戸っぽい気がしないでもないです。
■貴様
ちょっと偉い人などが敵対的な人に対して二人称として使用します。
歴史的には、尊敬表現だったそうです。
■先輩
学校やバイト先で、上級生を呼ぶときに使用します。
■お主、おぬし
のじゃ幼女などが使用する二人称です。
「主」単体だと「あるじ」になるので、漢字で書くと微妙な気がします。
■汝、なんじ
碑文とか、古代の文章などで使用する二人称です。
■お前さん
若干古い言い方なイメージだが、親しい人に対して使用します。
■お客様
フォーマルなマニュアル対応のお店の客を呼ぶ二人称、および三人称です。
■お客さん
居酒屋、異世界の宿屋、お客様より緩めのお店で客を呼ぶときの二人称、および三人称です。
■ご主人様
屋敷の主人や、奴隷が主人を呼ぶときの一般的な二人称、および三人称です。
客などが家の家長を呼ぶときに「ご主人様」「ご主人」と呼ぶこともあります。
自分の夫を三人称で「うちの主人」のように呼ぶこともあります。
■マスター
さんとか様とかはあまり付きません。
喫茶店、バーの店主または、奴隷の主人を呼ぶときに使用します。
■先生
学校の先生の他、医者、議員、小説家、作詞・作曲家、画家などでの二人称および三人称として使用されます。
■師匠、お師匠さま、お師匠さん、師範
道場などで師を呼ぶときの二人称および三人称です。
■ユー
英語風にミーにしたして、ユーと呼びます。
かといって、ハー、シー、などはあまり使われません。
◆呼び方、あだ名
この節では「○○ちゃん」のような呼びかたについて記述します。
例として「安倍くるみ」とします。
■安倍さん
フォーマルな、問題の少ない一般的な呼び方です。
小学校では、女子は苗字さん、男子は苗字君として呼び分けていましたが、近年では男子でもさん呼びするようになりつつあるようです。
■安倍君、くん
主に男児を対象として、偉い先生が男女問わず生徒などを呼ぶときなどに使用されます。
■安倍ちゃん
親しい、または可愛い対象にたいして使用します。
主な対象は、女児一般ですが、年下の女性などにも使用します。
親しい範囲であれば、男子に対しても、わりと使われます。
■くるみさん
名前さんづけは、学生の女子同士などで使用される傾向があるように思います。
■くるみくん
名前くんづけは、偉い先生が生徒を呼ぶとき、親しい児童同士などで呼ぶときに使用されます。
彼女が彼氏に対しても使用します。
■くるみちゃん
親しいもの同士が呼び合うときに使用します。
また小学校くらいまでは、男女問わず友達同士でもちゃんづけにすることがよくあります。
また、可愛い女性などに対しても使用します。
■くーちゃん
特に親しい人同士の場合、名前から1文字だけ取って、伸ばして使用します。
■くるちゃん
かなり親しい人同士の場合、名前から2文字だけ取って使用します。
■くーさん、くるさん
あだ名的に、一文字だけとってさん付けする場合もあります。
これは年上に対してや大人同士でも使用することがあります。
■くー君
あだ名的に、一文字だけとって君付けする場合もあります。
彼氏をこのように呼ぶ女子もいます。
■くる君
男子の子供同士などの友達的な関係では、2文字君が使われる傾向があります。
■くるみたん
萌えっぽい対象を〇〇タン、と呼びます。また掲示板では「○○タソ」と書かれることもあります。
名前全部を取ることが多いですが、2文字取る場合、1文字伸ばしの場合もあります。
■くるにゃん
くーにゃん、と共に、猫っぽかったりする可愛い女子を対象にこのように呼びます。
主に三人称です。
■くるきゅん
君のなまったもの。主にショタを対象として使用します。
■くるぴょん
2文字とってぴょんをつけます。主に女性に対して使用します。
■くるくる
2文字とって2回重ねます。
■くるぽん、くるっち、くるぴー、くるやん、くるちん、くるっぺ、くるまる
あだ名系。主に2文字とって、後ろに何かを付けます。
男女の傾向はありますが、あだ名として定着すると男女を問わない場合があります。
■くるりん
2文字とってりんを付けます。燐や凛です。
またある作品では女性の麒麟は麟を付けて呼ばれます。男性の麒麟は麒を付けます。
■くるきち
江戸っぽく、あだ名的に、2文字取ってキチを付けることもあります。
基地外と言う意味で「釣りキチ」のように使用する場合もあります。
■おくるさん
女子の名前におをつけて2文字取ります。
お化けや、古い言い回しのときに主に使用します。
「おくるさんや、おそいですぞ」
たまにですが、さんを付けない場合もあります。
■くるお、くるろう、くるた
よくある男性名「○男」「○郎」「○太」にならって、2文字取ってそのように呼ばれることもたまにあります。
■くるこ、あべみ
よくある女性名「○子」「○美」のように2文字取って呼ばれることもあります。
下の名前を取ることが多いですが、苗字を使うこともまれにあります。
■くるえもん
便利な道具を出したり、困ったときに助けてくる人は「えもん」をつけて呼ばれることがあります。
◆親族関連
■父系
「父」「母」「兄」「姉」「祖父」「祖母」「弟」「妹」「おじ」「おば」です。
主に、自分の親族を第三者にたいして三人称で紹介するときに使用します。
口語ではかしこまった言い方であり、わりとフォーマルなときに使用します。
「父親」「母親」も使用することがあります。
小説では「くるみ父」「安倍母」のように普通に使用されます。
二人称としてはほとんど使われません。「ああ父よ、何がしたいんだ」みたいに使用する場合も若干あります。
■お父さん系
一般的な呼び方です。一人称や三人称でも使用されます。
「お母さん」「お父さん」は普通の呼び方です。
「お兄さん」「お姉さん」「おばあさん」「おじいさん」は主に他人の年寄り、年上の呼称として使われます。自分の親族を呼ぶ場合は、育ちのいい家の人などが使用します。
■お父ちゃん系
「お父ちゃん」「お母ちゃん」は田舎くさいイメージがあります。
「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」「おばあちゃん」「おじいちゃん」は、親しみを込めて、親族および他人にも使用します。
「おじちゃん」「おばちゃん」は、子供か田舎くさいか、あるいは関西圏の「おばちゃん」を指します。
■お父様系
「お父様」「お母様」「おばあ様」「おじい様」は、金持ちの家のイメージがあります。またや目上の人や客の親族を呼ぶときは様づけする傾向が強いです。
「お兄様」「お姉様」は、金持ちや育ちのいい家の兄弟などです。
「お姉様」は名門の女子校生や、百合カップルの年上を呼ぶときに使用します。
「おじさま」「おばさま」は金持ちか育ちがいいか、または中年の親代わりの人を呼ぶのに使います。
■父さん系
「父さん」「母さん」は、「お父さん」より若干ぞんざいな言い方です。
「兄さん」「姉さん」「ばあさん」「じいさん」は、ややぞんざいな言い方ですが親しみを込めて、親族および他人にも使用します。
「兄さん」「あねさん」「姐さん」は、ガラが悪い人たちが先輩を呼ぶのにも使用されます。
「ばあさん」「じいさん」はガラが悪い人たちが他人を呼ぶのに使用します。
「おばさん」「おじさん」は親族、赤の他人とわず、中年の人の呼称として使用されます。
■父ちゃん系
「父ちゃん」「母ちゃん」は田舎くさいイメージがあります。
「兄ちゃん」「姉ちゃん」「ばあちゃん」「じいちゃん」は、ややぞんざいな言い方ですが親しみを込めて、親族および他人にも使用します。
「兄ちゃん」「姉ちゃん」はガラが悪い人たちが他人を呼ぶのにも使用されます。
「ばあちゃん」「じいちゃん」とガラが悪い人たちが呼ぶときは、親しみを込めて使用します。
■パパ系
「パパ」「ママ」は幼稚語とされることもありますし、女子高校生なども使用することがあります。
また「ママ」には「銀座のママ」のように、パブだかバーの女性店主を指すこともあります。
「パパ」には、実父のほか援助交際の相手などを指すことがあります。
赤ちゃんを育てている親を指して「パパママ相談」のように呼ぶこともあります。
「ニーニ」「ネーネ」「ジージ」「バーバ」は幼稚語です。
■父上系
「父上」「母上」「兄上」「姉上」「叔父上」「伯父上」「小父上」同「おば上」。
「御」が頭につくこともあります。後ろに「様」を付けることはあります。
時代劇や騎士・王家のなどで二人称および三人称として使用します。
■親父、おやじ、御袋、おふくろ
おやじはかなりぞんざいな言い方です。他人の中年以上の男性を指すことも多いです。
職人などを親しみを込めて言う場合と、中高生などが汚いいやなおじさんを指す場合があります。
「おふくろさん」は母親とはいうものの、お婆さんを指すことが多いです。
「あんちゃん」は「兄ちゃん」と書きますが「にいちゃん」にしか読めないので、ひらがな推奨です。
他人の青年や、弟、妹が兄をそう呼ぶこともあります。
■おとん、おかん
関西圏で使用することがある呼び方です。おやじ、おふくろに近いものです。
主に男性が使用するようです。
「おじさん」は「おっちゃん」で「おばさん」は「おばちゃん」です。
蔑称は「おっさん」「おばはん」で、さん付けはやや蔑称よりか距離が遠く感じるようです。
■とと様
「とと様」「かか様」「あにさん」「あねさん」「じじ」「ばば」のようです。
古い感じの言い方です。
◆その他
日本語には「和語」と呼ばれるものより、熟語を中心にしたセリフ回しをすると、硬いイメージにすることができます。貴族や学がある者、そして長年生きてきた「のじゃ」系のキャラクターに適しています。
例は「お昼ご飯を食べる」→「昼食をとる」、「学校へ行く」→「登校する」のような感じです。
また、外来語などを使用せずに「心臓」→「心の臓」「アルバイト」→「軽い仕事」のように使用する言葉に少し注意すると、よりそれらしさが高まります。
関西弁で使用されるような形容詞のウ音便を使用することで、ミヤビな感じを演出することもできます。
「それとってたもう。早う菓子が食いたいのじゃ」
「おぬしの事は好きなのじゃ。もっとくっついてほしいのじゃ」
カタカナを用いたり、漢字をわざとひらがなにすることで、片言やバカっぽさなど表すテクニックもあります。
また語尾に小さい文字や「~」「♪」「-」などをつけることでもキャラクターの個性を出すことができます。
ひらがな部分をカタカナにした場合、外来語をひらがなで書く流派もあります。また現代仮名遣いでもカタカナの場合は「は」や「へ」を発音通りに「ワ」「エ」で書く流派もいます。
「オレタチハ、ろぼっとダ」
「ワレワレハ、ウチュウジンデス」
「あたしら、ちょうアタマわるいかんじぃ~」
以上、セリフのキャラ付け考察でした。