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始まりの扉
扉を開けると、少年がいた。
自分と同じくらいの少年が「待っていたよ」と
笑いながら、、目の前に立っていた。
「遅かったね。」
まるで知り合いに話しかけるように笑う少年を怪しみつつ、聞く。
「ここはどこなのか」と。
自分の部屋で、眠っていたはずなのに。目を開けるとここに立っていたのだ。
少年はゆっくりと答えだす。
「ここは図書館。君だけの君のために用意された図書館。」だと。
少年は話し続ける。
どんな本だって君が望むなら出すことができるよ。
悲しい話、幸せな話、美しい話、醜い話。
君は何が読みたい?僕が読んであげる。
少年はそう言って、一冊の本に手を伸ばした。
まるで、どれを選ぶのか見透かしていたように。