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月下の一群

カメラ小僧

作者: 濱野乱

無人駅でカメラのシャッターを切る。


カメラ小僧。


あずき色の電車が遠のいていく。菜の花が燃え盛る日。


君は故郷を離れたね。夢を追いたいからって。


その後どうだい。夢は食べられたかい。蒔かないと種は芽吹かないとか語っちゃって、実は、居酒屋のキッチンで賄い料理を犬のように頬張る君の横顔が、目に浮かびます。


僕は君に二つ嘘をつきました。

本当は僕、電車が好きじゃないんだよ。

電車を撮る振りして、君のパンチラを狙っていたんだよ。


本当は僕、君の夢を応援してたわけじゃないんだよ。

君が男関係こじらせちゃって、借金作って泣きながらこの街に帰ってくる妄想をオカズにしていたんだよ。


最低だろ。


でも君はなかなか帰ってこない。

テレビで君に似た人をよく見かけるけど、多分、他人の空似だろうね。


そろそろ電車が来る時間かな。

多分、君は乗ってないだろうけど、僕はカメラを向けて待ち構える。


有給は取れそうかい。

取れたらでいいけど、たまの休みくらいは故郷で過ごすのも悪くないんじゃない。


待ってるから。

カメラ小僧。

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