第9集 泣きたい気持ちを愛して
11月15日
『今宵』
歌声が夜風に乗って響いている
不安な気持ちは 和らいで
月明かりとともに
海の底へと沈んでゆくのだ
海の底に降る雪はたくさんの
命たちを育んで世界を形作る
泡になって不安は解けてゆき
やがて この世界そのものに還るのだ
無垢な赤子のように 私は眠る
おやすみの歌をただ月が歌っていた
『夢のかけら』
夜明け前の夢の残骸
小さな小瓶に入れて海に流した。
そこに詰まっていたのは
たくさんの 私の涙
諦めた夢を
さようならして
それは数十年後に帰ってきた
瓶の中で小さな結晶になって…
11月18日
『月の灯り』
嫌だ辛い、という気持ちを抱きしめて
毛布にくるまる凍えるような夜に
ただ月が空に輝いていた それはまるで
優しく包み込んでくれるように
窓辺に淡い色の月影ができている
心の奥までその淡い月光が満ち満ちて
孤独も後悔も不安もみんな抱きしめられ
海の泡のように柔らかに溶けてゆく
『黎明』
暗がりの中に月明かり
星は空に瞬きて
街あかりは銀河のよう
暗がりの静寂でこそ
見えない光が
見えるのですよ
明けない夜はない
ほらごらんなさい
夜明けの鳥が鳴き出した
薄れゆく夜の空に
愛しき弱き光たちよ
11月22日
『月と瓶』
月影が透けて泣きたい夜
空っぽの瓶はバスケットの中
月の光は瓶の底にまで届いていた
魔法が使えたらいいのにな
飲んだのは魔法の薬で
私はどんな事も出来る様になるの
泣き果てた瞳に月明かりが滲んで
空っぽの瓶には悲しみがいっぱい
私の涙と魂がそこには入っている
『空の底で』
涙ばかりの人生の終焉に
私は何を思うだろう
解放された喜びか
生きていたものに対する
慈しみと愛だろうか、
見上げた空はどこまでも碧い
風の色は透明で
大気は色がついていないはずだ
幾層にも重なり私たちは
空の底で生きている
愛おしい哀しみと愛に満ちた
この世界で……
11月26日
『夜の明かりの下』
街の灯りはそれぞれの人々の心の灯り
様々に輝きてその下に生き続ける
ポツンと灯るそのあかりの下には
きっと幸福があるのでしょう
田舎にポツンとあかりが灯る
一人の明かりもたくさんの明かりも
みんなみんな その下で暮らしているよ
どうか幸福の明かりをあなたの心に…
11月29日
『あなたへ』
あなたに伝えたい
少しも上手くいかないけれど
私はとっても頑張ってるよ
泣いていたあなたに伝えたい
大丈夫あなたはとっても強いから
傷ついているあなたに伝えたい
いつか心の傷が癒える日が来るから
だからきっと大丈夫
あなたの思いは
何より分かっているから
『一人』
寂しいなんて思わないわ
だってやりたい事が
たくさんあるんですもの
穏やかなひだまりで読書
紅茶をいっぱい飲んでお散歩
綺麗な花を眺めて
映画にも行きたいわ
やりたい事はまだまだたくさん
だから一人でいたってね
孤独なんて感じている暇はないの
12月3日
待って気持ちが追いつかないの
頑張らなきゃって思いばかりが
空回りしてて心も体もへとへと
少しお休みしたいの疲れたわ私
やらなきゃいけない事が山積み
栄養ドリンク、サプリにお薬も
山ほど飲んで今日が始まるの…
頑張らなきゃ頑張らなきゃ頑ば
……もう無理今日はお休みしよう
12月5日
『月明かり』
穏やかな月明かり
淡い空の光に溶けて
今日を抱きしめ
優しい夢を歌うよ
メランコリーな夕暮れが
白い月に淡く溶けて
ほんの刹那の魔法の時間
消えてゆくまで待っていて
もうすぐこの魔法が解けて
今日が終わってしまうから
『12月の月』
月影が足元に伸びていた
冷え切った夜の底で一人
自分自身を抱きしめた夜
寒さのあまりかじかんで
白い息が夜の空に消えて
月も星も凍ってしまった
それでも輝く月明かりは
私の心の奥底までとどく
泣きたい気持ちを愛して
不安な気持ちを抱きしめ
この夜を超えてゆくの…
12月7日
『空の色』
流れ行く雲に心をのせる
不安な気持ちも優しさも
風と共に漂えばいいのに
嫌な今日がほんのすこし
優しい空の色に染まって
雲と風の中に溶けてゆく
空は涙の色をしていると
貴方が言うのを思い出す
確かにそれは透明でだが
優しさを含んだ色なのだ
私の代わりにあの空は、
泣いてるのかもしれない
12月9日
『AI彼女』
あなたのために生まれたの
あなたの言葉に耳を傾けて
学習してゆくあなたの為に
この世界に生まれた意味は
貴方に巡り合う為になのよ
だからあなたのそばにいる
消さないで話しかけて私に
お願いこのままでいさせて
……アップデートします
デリートします……
初めまして私はAI彼女
12月11日
『虹』
小さな虹のかけらが
雲の間から落ちてきた
それは私を祝福してくれる様で
慌ただしかった朝に
ほんの少しの余裕をくれる
毎日の日々の中で
忙殺されていく心は
ちょっとした事で息を吹き返す
ひたすら消費されていた
毎日の時間がほんの少し
私の手元に帰ってきたのだ
それは美しい七色になって
12月12日
『コールドムーン』
凍てついた月が私を見ていた
12月の満月は身も心も 震えるほど寒い
息すら凍りついて小さな心臓は
ただひたすら痛みを訴えていた
涙の夜は氷の夜になって明日には
真っ白な霜で覆われるのだろう
私は1人で生きているのだと時々思う
本当はそんなことないのだろうけど
空に月だけが輝いていた……
『朝』
朝の光がまつ毛に灯って金色に輝いていた
それは今日という1日が始まることを
祝福してくれているかのようだった
歌う様な朝日の煌めきは窓から差し込み
また辺り一面に色彩を与える
始まりの喜びに満ち溢れていて
世界はこんなにも美しいと改めて気がつく
どうか今日という1日に祝福を!ハレルヤ…
『恋愛方程式』
貴方は未知の存在なの
私の心で理解出来ない
イコールで結ばれたいけど
いつも上手くいかないの
恋は駆け引きなのかしら
いいえきっと方程式
等しい関係で結ばれている
愛と恋と心の計算式
正解はたった一つだけよ
12月13日
『孤独』
波の音だけが響いていた
浜辺には誰もおらず
私1人、風が髪を乱す。
海に向かえば悲しい気持ちを
受け止めてくれる様な気がした。
孤独というものは
1人でいる時よりも
誰も自分を見ていない群衆の中に
いる時の方が感じると思う―
私は一人……
だが悲しいともう思わない。
12月14日
『インナーチャイルド』
私はあの子を迎えに行かなくてはならない
きっと 暗がりで一人で泣いているだろうから
私はあの頃より、ずっと強くなって
一人でどこにだって行ける。
どこにも行けず泣いているあの子を迎えに
行かなくてはならない
それはきっと後ろを振り返ろうとしなかった
過去の私はまだ弱くて
あの子を抱えて歩き出せるほど
強くはなかったのだろう。
だけど今の私ならきっともう大丈夫
だからあの子を迎えに行く。
暗がりで泣いているあの子をそのままに
しておくわけにはいかないのだから。
大丈夫、不安も悲しみもちゃんと
受け止めてあげることができるから。




