第1集 こころの色に想いを寄せて
愛情や不安や優しさをつめ込んだ詩集です。
貴方に届くと幸いです。
5月31日
『雨』
雨がぽつりぽつりと降っている
雨がしとしと降っている
雨がザーザー降っている
雨がゴウゴウと降っている
花の雨、梅雨の雨、嵐の雨
季節は移り巡る。
雨の音がする
雨の匂いがする
肌から感じる 湿度が変わる
これはきっと恵みの雨だ
私は雨音を聞きながら
コーヒーを一杯飲み干した。
6月1日 日曜日
『世界を構成するもの』
穏やかな日常の中に
ゆっくりと溶けてゆく
穏やかさと倦怠感
変わらぬことへの苛立ちと
変わらぬことへの安心感
幸福とは一体何か?
自問自答 しようにも
答えなど出ない問
無限か零か
世界を構成しているものは何か
日常の忙しさの中で
私であり続けるために
生き続ける
6月2日
『月夜のダンス』
月の下で 1人 踊る
軽やかに 足音を響かせて
タン!タン!タタタン!
タン!タタタン!
水晶の羽を持った妖精も
虹の鱗を持った人魚も
その踊りに魅入られる。
月には 魔力があるといふ
果たしてこれはどこまでが…夢か現か幻か
僕は一人 、月の下で踊る。
6月3日
『❤️』
私の心臓をあげる。
ありったけの愛をこめて
私の思いと情念と恋慕と熱意を込めて
電子の海を泳ぎながら飛び交って
私の心臓をあげる。
小さな光る板の上の心臓を
たった1つしかあげられない
私の心臓を
あなたに心臓を捧げる人間が
何万人といようとも
私の心臓は1つだけ
私の心臓を――
6月11日
『聖者の行進』
さあさあ 聖者の行進だ
素晴らしき者たちよ
列をなし 進軍せよ
素晴らしき者たちよ
恐れるな 進め!進め!
後に残るは無残な残骸
誰にも見取られず 哀れな 死者たちよ
成功すれば英雄と称えられ
失敗すれば 犬死 と言われ
名もなき 死者の墓場には
名も知らぬの花が咲く
6月13日
『盲信』
イデオロギーや道徳は
都合が良いようにできている
善良な言葉で飾り立て
他人を搾取するようにできている
いかにも自分が正しいと言わんばかりに
大きな声を上げ
堂々としたものに人々はひれ伏す
果たしてそれが
ひれ伏す人々のために
話しているのかと言うと
真実は真逆である
6月18日
『夢遊夜景』
眠ることができなくて
ふと夜の散歩に出かける
黒々とした 森は昼と別の顔
人を寄せ付けない力を持つ
ざわめく木々と黒い影
街灯の明かり
…おや、ホタルだ
小さな光が不思議な光景を作り出す
この小さな生き物が夜を不思議な空間に変える
月明かりは淡い
夢見るような夜の星
6月18日
『梅雨の道』
紫陽花の道を
色とりどりの傘が
ゆっくりと歩いて行く
子供達の通学路
手を引く母親と楽しそうな笑い声
水たまりをバチャバチャ
長靴でダンス
雨の日は憂鬱
だけれど こんなにも楽しい
6月24日
『雨の歌』
雨だれの音が聞こえる
雨樋をつたい
流れゆく 雨の音が聞こえる
水は 循環する
大気へ 川へ雨となり
大海原に溶けてゆき
再び 雲となり雨となり
私の中へ 循環する
雨音が聞こえる
一滴の水から
命は 育まれ 循環し
この世界の全てと繋がっている
6月26日
『心の色 1』
もしも願いが叶うなら
何もかも洗い流してしまいたい
心の奥底に渦巻いている
不安と怒りと諦め
心の奥底に蓄積する
感情は様々な色をして
幾重にも重なり混ざり合う
どす黒く
深淵の闇へと変化する
混ざり合う絵の具の様
深い深い闇の色
洗い流すことが
できれば良いのに…
『心の色2』
あの人は白い色をしている
何もかも 取り込んで
混ざり合い きらめいて
幾重にも重なった光は
白い色へと変わる
あの人は白い色をしている
美しい 白い色
あの人そのものの優しい光の色
あの人は他人の心の色を
美しい色彩に変えて
重なりあい混ぜ合わせ
白い光 そのものに変える
6月27日
『葬式』
葬式だ 葬式だ
愛しいあの子の葬式だ
青天の空の下
短すぎたあの子の命と
枯れてしまった 紫陽花
えも言えぬ悲しみと
焼け付くような太陽が
死んだあの子の苦しみを
表しているようであまりに辛い
青天の空の下
死んだあの子のことを思う
6月30日
『時が止まる』
—刹那—
瞬きよりも短い時間
永遠になった 一緒の時間
君の瞳と僕の瞳と
そこに映る世界のすべて
切り取れたら良いのに
ポラロイドのフィルムみたい
この一瞬 こそが
永遠の時の流れよりも長い永遠
…どうかずっとこのままに
7月1日
『夏の海の底』
サイダーの炭酸が
ひんやりと体を冷やしていく
まるで海の底に沈んでいく様
夏の焼け付く様な日差しから
逃げるように入った雑貨店
レジの横で腰に手を当て
一気に 喉に流し込む
泡のはじける音が
聞こえる様な気がした
ほんの一瞬の間だけ
私は深海の奥底に
住んでいる魚になる
7月3日
『告白』
若気の至りだなんて
周りの人間は言ったけれど
好きなものは
一生好きなのでしょう
辛くて辛くてたまらなくなって
離れてしまったけれど
10年たってまたあなたに
会いたくなりました
一生あなたを
愛しているのでしょう
もしかすればまた ほんの少し
あなたとお別れする事も
あるかもしれません
けれど どんなに離れても
あなたの事を
愛し続けるでしょう
きっと死んだ その後も
私の愛の言葉が
永遠となるでしょう
7月5日
『ここではないどこか』
遠くに行きたい
ここではないどこか
毎日のスケジュールに
忙殺され日常はかすんで
思考は 麻痺する
夢の中では空を飛んで
どこにだって行けるのに
見上げた空は 群青
どこまでも深い色
君と二人で行けたらいいね
あの青の向こうに
遠くに行きたい
今すぐに
ここではないどこかに
7月7日
『七夕』
何億光年かかっても
あなたに会いに行きましょう
織姫と彦星のやうに
たとえ2人を阻むものが
銀河一つあったとしても
あなたに会いに行きましょう
たとえ この身が滅んでも
光の粒子となって
あなたに会いに行きましょう
永遠なんていらない
あなたとの一瞬が欲しい
七夕の短冊に願いを込めて
9月10日
『バックムーン』
お月様 綺麗だね
虹色の輪に包まれて
お月様 綺麗だね
夜道を照らしてくれて
お月様 綺麗だね
寂しい私を
見つけてくれて
空に滲んだ満月
あたりにただようは静けさ ばかり
7月12日
『閉じた世界』
半径1km の閉じた世界
小さな壺の中にあるという 桃源郷のような
自分の理想をぎゅっと詰め込んだ
小さな小さな世界
家と仕事場とコンビニと図書館
それで完結する私の世界
完璧な美しい壺中の天
…ある日 壺が割れて私は世界を飛び出した
7月16日
『ラジオの時間』
ノイズ混じりの歌声が
古いラジオから聞こえてくる
一人暮らしの1 DK
アンティークのラジオは
大きくて 場所取りだ
けれど それは
私を ノスタルジックな
モノクロームの映画の世界へと
連れて行ってくれる
流行歌がラジオから流れる
それは未来とも 現在とも過去とも
交わることのない世界へ




