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転生先は量子の彼方!?次元を超えたハードライフ革命  作者: 成瀬アイ
[第一章]俺、データになりました!?
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第一章 二十三話「紋章」

書く予定のことが多すぎて新規の仲間が全然出てこない…

目の前の敵が消え去ったことで、静寂が戻った。しかし、その静けさは決して安堵をもたらすものではなかった。


「祭壇が崩れた今、この空間がどうなるか分からないわ…」


エリスは立ち上がり、手に持っていた古びた文書をじっと見つめた。彼女の手がわずかに震えているのが分かる。


「大丈夫か?」


俺は剣を地面に突き立て、ようやく立ち上がる。全身が鉛のように重いが、今はそれどころじゃない。


「ええ、私は平気。でも、この場所そのものが…」


エリスが指差す先には、ゆっくりと崩れていく壁の模様や、床のひび割れが広がっている。祭壇の光が消えた影響か、空間そのものが不安定になり始めたようだ。


「ここに留まるのは危険だな。」


俺は周囲を見渡しながら、次の行動を考える。この場所に秘められた謎はまだ多いが、今は生き延びることが最優先だ。


「でも、まだ何か残されているはずよ。これだけの仕掛けを作った者が、こんな簡単に放棄するなんて考えられない。」


エリスは頑なに先へ進むべきだと言う。その瞳には決意が宿っているが、同時にどこか不安げな色も見え隠れしていた。


「分かった。でも、あまり無理はするなよ。」


俺の言葉にエリスは小さく頷き、再び前を向いた。そして、俺たちは崩壊が進む空間を慎重に進み始めた。


道中、壁の至るところに刻まれた記号が目に入る。それらはすべて何かの意味を持っているようだったが、俺にはさっぱり解読できない。ただ、その配置や形状に一定の法則があることは素人目にも明らかだった。


「エリス、これ分かるか?」


俺が指差すと、彼女は足を止めて記号をじっと見つめた。


「…おそらく、空間の安定を保つための術式。だけど、今はほとんどが壊れてしまってるわ。」


「直せるか?」


「無理ね。これだけ複雑だと、一部を修復したところで全体が崩壊するだけよ。」


エリスの答えに、俺は無意識に拳を握った。このまま進むしか道はない。


やがて、俺たちは新たな広間へとたどり着いた。その場所はこれまでの場所とは異なり、異常なほど静かだった。広間の中央には一際大きな柱が立っており、そこには巨大な紋章が刻まれている。


「これが最後の仕掛け…?」


エリスが呟きながら柱に近づく。その周囲には複雑な線と模様が絡み合い、見るだけで目が回りそうだった。


「でも、この紋章…どこかで見たことがあるような…」


彼女が考え込む間に、俺は柱を取り囲む何かに気づいた。黒い霧だ。それは先ほど戦った敵とは違う、静かで冷たい気配を放っている。


「エリス、気をつけろ。その柱、ただの装飾じゃない…!」


俺が叫んだ瞬間、霧が一気に動き出した。それは柱から飛び出すと、広間全体を覆い尽くす勢いで渦を巻き始めた。


「しまった…罠だったのね!」


エリスが文書を手に取りながら後退するが、霧は俺たちを逃すつもりはないようだ。その中から現れたのは、漆黒の鎧を纏った騎士のような姿だった。


「また敵かよ…!」


俺は剣を構え、エリスの前に立つ。だが、相手の気配はこれまでとは桁違いだ。明らかにこれまでの守護者とは違う威圧感を感じる。


「この霧…奴の一部みたい。迂闊に攻撃したら逆に飲み込まれるかも。」


エリスの言葉に俺は慎重に相手を見極めるが、考える時間は与えられなかった。黒い騎士が剣を振りかざし、広間全体を震わせるような一撃を繰り出してきたのだ。


俺たちはその衝撃波を避けるのが精一杯だったが、エリスは何かに気づいたように柱を指差した。


「智也!あの柱の紋章、奴の力の源かもしれない!でも、直接触れるのは危険よ!」


「じゃあどうすればいいんだよ!」


「この文書を使えば…でも、時間が必要なの!」


「分かった。その間、奴を引き付ける!」


俺は全力で黒い騎士に向かっていった。だが、剣を振るうたびに奴の体が霧に変わり、攻撃をすり抜ける。そのたびに奴の剣が俺を追い詰める。


「くそっ、こいつどうすれば…!」


俺が焦り始めたその時、エリスが叫んだ。


「智也!奴を柱に近づけさせて!」


「柱に?」


「その近くで術を発動させるわ!でも、奴をそこに誘導しないと!」


俺はエリスの言葉を信じ、騎士を柱の方へ誘導するために動きを変えた。奴の剣が俺を狙い続ける中、俺はギリギリのところでかわしながら柱の近くへと駆け寄った。


騎士の一撃が柱の近くの床を砕き、石の破片が四方へ飛び散る。その中で俺はギリギリのタイミングで身を翻し、黒い騎士の攻撃をかわした。


「エリス、準備はどうだ!」


「もう少し…待って!」


振り返ると、エリスは古びた文書を広げ、紋章と同じ文様をなぞるように何かを呟いている。明らかに緊張した面持ちだが、手元の動きは一切ブレていない。


「分かった、できるだけ引き付ける!」


俺は気合を入れ直し、剣を再び握り直す。黒い騎士がこちらを睨むように視線を向けると、霧が再び渦巻き始め、空間全体が圧迫感で満たされた。


「こいつ、本気で俺を潰すつもりか…!」


奴が構えた漆黒の剣からは、何か禍々しい力が滲み出ていた。それが動いた瞬間、広間全体に闇が奔り、俺の周囲を襲ってきた。


避けるのではない、進むしかない。


俺はその場で踏み込んだ。黒い剣が間近で唸りを上げる中、俺は最小限の動きでかわし、逆に剣を突き出す。だが、またしても霧に変化した敵の体に攻撃はすり抜け、全くの無力化だった。


「くそっ、またかよ!」


黒い騎士の剣が反撃に転じる。振り下ろされる一撃を間一髪で受け止めると、その衝撃で腕が痺れ、剣を握る手がしびれるように震えた。


「このままじゃ持たない…!」


俺の頭の中で警鐘が鳴り響く。だが、奴が俺を追い詰めるごとに、柱の近くへと少しずつ誘導できているのは確かだった。


「エリス、急いでくれ!」


「あと少しよ!…紋章の線を繋ぎ直すのに時間がいるの!」


俺は息を整え、もう一度剣を構える。奴の動きを観察しながら、何か突破口がないか頭を巡らせた。


黒い霧が奴の体から漏れ出し、広間全体に漂っている。それが奴の力の一部であり、同時に弱点の鍵である可能性もある。


「霧…もしかして…!」


俺は閃いた。その霧はただの攻撃手段ではなく、奴の存在そのものを維持しているのではないか。もしそうなら、霧を消し去る方法を見つければ、奴を無力化できる可能性がある。


「エリス、霧を何とかできる方法はあるか!」


「霧…?確かにこの霧が奴の力の源になってる気がするわ。でも、それを完全に断つには、紋章を起動させる必要がある!」


「そのための時間を稼ぐんだな、分かった!」


俺は再び奴に向き直り、意図的に霧を操る奴の動きを誘導するように動いた。黒い騎士はその挑発に応じるように剣を振り下ろし、広間を震わせる。


「もっと近づけ…!」


俺はギリギリの間合いでかわしつつ、柱の側へと奴を誘導する。霧が広がるたびに息が詰まりそうになるが、足を止めるわけにはいかない。


ついに黒い騎士が柱の目の前に迫った。その瞬間、エリスが叫んだ。


「今よ!智也、伏せて!」


俺はその言葉に反射的に地面に身を投げ出した。次の瞬間、エリスの手から放たれた光が柱の紋章を駆け巡り、広間全体がまばゆい光で包まれた。


黒い霧が反応するように震え、渦巻いていた闇が柱へと吸い込まれていく。


「これで…終わりなのか?」


俺が立ち上がると、黒い騎士の姿は霧と共に消え去っていた。広間には静寂が戻り、柱の紋章は淡い光を放つだけになっていた。


エリスがゆっくりとこちらへ歩み寄る。彼女の表情には安堵と疲労が入り混じっていた。


「これで、この空間は安定したわ。でも、これが最後じゃない。」


「分かってるさ。まだ道は続いてる。」


俺たちは視線を交わしながら、次に進むべき方向を見定めた。

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