2 イン魔女 ナナミ
13日の金曜日。 今年は2回。 9月と12月。
本命の9月15日までは、今までの「もしもシリーズ」の手直しバージョンです。
前回に引き続き、今回の話に出演?している魔女や魔法使いのお姉さん達も、連載中の登場人物と同じ名前だったり、姿形も一緒ですが、一応「別人」です ・・・ ???
イン魔女 ナナミ ・・・ お誘いって何? -2
ナナミは、ゆたかの家から自分の家に帰ってきた。
ナナミは真面目な性格で、大学で情報処理関係、IT関係の学部を卒業していた。
就職しようと思っていたので、色々な会社の就職試験を受け、学業優秀・面接完璧だったので、沢山内定をもらった。
ただ、母親の代わりに日本の魔女会議に出席した時、デジタル化した魔女システムの必要性を感じて、会議の席で提案をしてみた。
どうせ、おば様魔女達の反対で、否決されると思っていたら、賛成多数で採用されてしまった。
幹部のおば様魔女達は、時代の流れに敏感で、デジタル化した魔女システムの必要性を感じていたのである。
パソコンは苦手のおば様達だったが、スマホをいじるのは好きだったのである。
それまでは、システムとは名ばかりの、結果的に「紙」を主体にしたやり方で、膨大なデータを管理するのが大変だった。
膨大な魔女の機密資料のペパーレス化を図ろうと、人間が行っているISO等を研究していたのである。
丁度、アメリカ合衆国の魔女が、デジタル魔法システムを作ったという情報を得ていた。
ナナミは英語が堪能である。
会議に出席していたおば様魔女達の全員一致で、ナナミが担当者になってしまったのである。
言い出しっぺがやらされる ・・・ 社会の常である?
それに会議に出席していたのはおば様魔女ばかりで、取り敢えず、魔女の国際会議で情報を収集して、日本版のデジタル魔法システムを構築する事とした。
就職が内定していたナナミであったが、母親からの推しもあり、就職の内定を断り、デジタル魔法システム日本版の担当者となってしまった。
魔女は、ある方法で魔女会議やレク?の費用を稼いでいた。
暴力団の上納金。
政治家の賄賂。
その他、非合法の儲け ・・・
それらから、金を巻き上げるのである。
全てではなく、微妙に多く ・・・
みんな非合法で儲けたお金なので、沢山無くなれば騒ぎになるが、微妙だと分からないのである。
結構な金額なのにシッカリした資料を残さないので、多少?減っても分からなくなってしまうのです。
まして、魔法を使ってかすめ取るので、人間達はお手上げ状態なのである。
そんなお金を魔女達に「お小遣い」として一定額配り、残りで会議やレクに使っていたのである。
魔女の為に働く魔女も何人かいて、そこから給料が支払われていた。
まあ、「魔女会社」に就職して働いている感じである。
その中の一人として、ナナミは選ばれたのである。
「自薦」は出来ない、全て「他薦」である。
優秀で、魔女みんなの為に、命を惜しまない者でなければならないからである。
何故なら、魔女である事が人間に知られる事は、魔女にとって致命傷になるからである。
昔から、異端の者は迫害された。
勿論、魔女も一緒である。
火あぶりにされた女性も多かった。
ただ、危険を事前に察知して魔女は皆、逃げ切ったので、捕まったのは森で暮らしていた普通の人間のおばあさんだったのです。
たまに若い女性もいたが、権力者が横恋慕して振られた腹いせに、魔女に仕立てられて殺された可哀想な女の子だったのである。
今の時代なら、魔女の能力を使おうと考える悪い奴らに「兵器」や「スパイ」として都合良く利用されかねない。
そんな訳で、ナナミの就職先?が決まったのである。
ナナミは魔女の日本代表の静岡の魔女と、国際魔女会議に出席する為、イギリスに出掛けた。
折角なので、飛行機で行ってみた。
思いっ切り、時間が掛かり、尚且つお金も掛かった。
お金は非合法のお金を少し多めに使えば済む話だったが、ケチってエコノミークラスにしたので、身体のあちこちが痛くなり二人とも治癒魔法のお世話になった。
日本代表の静岡の魔女とナナミは、次からは指を鳴らして魔法で移動する方法を選ぶことにした。
二人ともケチなので、ビジネスクラスにしようなどとは思いもしなかった。
基本、魔女や魔法使いはケチで、慎ましい生活をしている ・・・ 目立つことを嫌うのである。
ただでさえ美人でスタイルが良いので、目立ちたくないのである。
過去の経験から、目立つことで、迫害に繋がる事を恐れるからである。
国際会議での議題は、デジタル魔法システムだった。
日本代表とナナミは、暫定版と言われているデジタル魔法システムの開発者であるアメリカ合衆国代表とコンタクトを取った。
魔女は人種差別や利己主義的な事はしない。
そんな事をすれば、魔女の間に軋轢が生じて、最後は先人から続いている平穏な生活が破滅するからである。
魔女は、自分達だけでなく仲間の魔女も守るのである。
そうやって、人間達に魔女の存在を知らせないように暮らしてきたのである。
デジタル魔法システムの暫定版のCDが、出席した全ての国の魔女に配られた。
操作方法や、簡単な説明も開示された。
ナナミがした質問は素晴らしく、アメリカ合衆国代表からアメリカの家に招待された。
アメリカ合衆国代表の家に行く日取りを決め、日本代表とナナミは日本に帰ってきた。
勿論、帰りは魔法で帰って来たのである。
真面目な二人はキャンセルした交通費を、魔女の預金にチャンと戻したのである ・・・ 呆れるほど真面目である?
アメリカ合衆国代表の家に招待された事を聞いたナナミの母親はこう言った。
「確か、アメリカ合衆国代表からも「お誘い」が来てたわよね? 」
ナナミは答える前に、姉のひろみが口を挟んだ。
「ナナミはもう、決めた人がいるんだって。」
母親。
「え~? 誰なの? 」
ナナミ。
「ナイショ! 」
ひろみ。
「言っちゃおうかな~ ・・・ 」
ナナミ。
「おねえちゃん! ぶっ殺すよ! 」
ナナミの目がマジだった。
親に対しても、結婚相手の名前を言わないのが魔女の掟である。
親に言う時は、実際に相手を連れてこなければいけないのである。
母親。
「人種くらいは良いじゃない? 」
ナナミ。
「それだけだよ ・・・ 日本人。」
母親。
「え~~~? 折角英語も喋れるし、アメリカ合衆国代表からも「お誘い」が来てたのに。」
ひろみ。
「折角、アメリカ合衆国代表のトコに行くんだから、直接「お誘い」の相手に会ってきたら? 」
ナナミ。
「アメリカ合衆国代表の家に行くんだから、多分、会うことになると思うよ。」
ひろみ、余計な事を言う。
「アメリカ合衆国まで行くんだから、日本人の方は止めて、アメリカ人にしなさいよ。」
ナナミが文句を言おうとする前に、母親が言った。
「そうしなさいよ。 そうすれば、ナナミもアメリカ合衆国の国籍を取って、将来はアメリカ合衆国代表になれるわよ。」
ひろみ。
「ナナミなら絶対成れるわよ。 何てたって、二番目に生まれた魔女なんだから。」
母親。
「そうよ。 魔女の世界の頂点に立てるのよ。」
ナナミ、二人の意見に呆れかえって、サッサとお風呂に入って寝てしまった。
アメリカ合衆国代表の家はカリフォルニアにあった。
以前、日本の魔女代表と一緒に行ったイギリスに比べれば、飛行機に乗っている時間は短いのだが、ナナミはケチである。
ビジネスクラスなど、乗るつもりはなく、何時間もエコノミークラスの椅子に座っている事を考えたら、飛行機で行くのは止めた。
アメリカ合衆国代表は空港まで迎えに来ると言ったので、ナナミは魔法の力で空港の人通りのない通路に現れた。
そのままでは密入国になってしまうのだが、気にしなかった。
一応、パスポートは持っていたので、アメリカ合衆国代表と空港で会ったとき、入国審査の手続きをしてもらった ・・・ 勿論、魔法で ・・・
アメリカ合衆国代表は、車で迎えに来ていた。
シボレーコルベットのコンバーチブルという車で、二人乗りだった。
最新の車ではないが、お金持ちの乗る車である。
お金持ちほど、1台の車を長く使う。
下取りに出して新しい車にすぐ乗り換える事などせずに乗り潰すのである。
走り出す前に、電動で屋根がオープンになった。
カリフォルニアは天気が良く、快適にアメリカ合衆国代表の家に到着した。
プール付きの大邸宅である。
魔女が悪いことをして得たのではなく、旦那さんが会社経営者でお金持ちだった。
アメリカ合衆国代表のメアリー曰く、真面目な旦那さんで、潰れる一歩手前の親の会社を復興させ、今の地位にいるのだとか ・・・
ゲストを呼んで宿泊させることもあるようで、沢山客室があった。
客室は全てバストイレ付きで、シャワーがメインなのだが浴槽があった。
どこでも好きな部屋を選べと言われて、一番景色の良い部屋を選んだ。
お金持ちの家ほど高いところに建っている。
人より高い場所に住みたいのであろう。
メアリーの家族と夕食を一緒に食べた。
お手伝いの人は、必要な時だけお願いするようで、家族みんなで料理を作ったり、片付けもみんなでやった。
メアリーには子供が二人。
女の子と男の子。
勿論、女の子は魔女である。
デジタル魔法システムは、女の子のスーザンが母親メアリーと開発したという。
仲良しの家族である。
こんな家庭も良いな、、と思ってしまった。
しかし、「お勧め」の時のメアリーの息子、トムの言葉を思い出した ・・・ イエローキャブ
トム個人の考えなのか、白人の中にある人種差別の意識なのかは分からなかった。
ナナミはスーザンにマンツーマンで、デジタル魔法システムを教えて貰った。
彼女もナナミと一緒で、就職はせず魔女の為の仕事をしていた ・・・ 一種の就職であるが ・・・
同じ環境の二人なので、直ぐに仲良くなったが、スーザンはスパルタであった。
ナナミは負けず嫌いなので、厳しいスーザンに負けないで、デジタル魔法システムを覚えた。
ナナミは1週間の滞在期間で、ほぼ、全てをマスターした。
折角、カリフォルニアに来たのに、散歩する以外はお勉強の毎日だった。
1週間が過ぎ、スーザンの運転で空港に行き、ナナミは飛行機ではなく魔法で日本に帰ってきた。
カリフォルニアに行ったので、真っ黒に日焼けして帰ってくると思った母親と姉は、色白のままのナナミに驚いた。
「カリフォルニアまで行って、何をしてたの?」
「デジタル魔法システムの勉強。 難しかったけど、楽しかったわ。」
くそ真面目なナナミに、ただ呆れる母親と姉だった。
実は、何も無かった訳ではなかった ・・・ その時の事はナナミが酔っ払って、覚えていないだけだった ・・・
初日は普通にお食事するだけだったが、ナナミがお酒が好きだと知ったスーザンは、父親の買っておいたウイスキーを夕食の時に出した。
最初は遠慮していたナナミだったが、色々な種類のウイスキーに我を忘れる様になった。
1週間のうち最初の4日間で、デジタル魔法システムのレクチャーが終了し、5日目は一日中メアリーとスーザンの母娘が出掛けたので自習だった。
二人の帰りが遅くなったので、夕食はトムと二人で食べることとなった。
アメリカの家庭の常で、冷蔵庫にタップリと食材があったので、ナナミが適当に作ったが、どうみても酒の肴が多かった。
酒の肴がテーブルの上に並んだのをみて、トムがスコットランド、日本、そして米国のウイスキーの瓶を並べた。
全て未開封の有名な銘柄ばかりだった。
二人で、ウイスキーを飲みながら色々食べたが、当然、飲む方の量が勝っており、男とはいえトムは、体質的?にアルコールに強いナナミには敵わなかった。
トムはスコットランド、日本、バーボンをハイボールでグラスに2杯ずつ飲んで、意識が無くなった。
ナナミはトムと同じだけ飲んだが何ともなく、残ったウイスキーを全て飲み干し、酒の肴も平らげて、片付けも終わらせてから寝た。
勿論、トムを魔法でトムの寝室に運んだ。
自分の部屋で、ナナミは綺麗に身体を洗って、浅いのが残念だったがバスタブにお湯を溜めてノンビリ浸かってから寝たのである。
夜中にトムはトイレに起きた。
トムは、リビングの様に豪華なダイニングルールで寝込んでしまっていたのを思いだした ・・・ 自分の家なので、豪華だとは思っていないのだろうが ・・・
トイレの後ダイニングに行くと、綺麗に片付いていた。
片付けられたウイスキーの瓶を見ると、全て空になっており、いつの間にかもう1本追加されたバーボンウイスキーも空になっていた。
トムは、ダイニングで眠ってしまった後のことを覚えていなかったので不思議に思ったが、母親や姉の場合は魔法を使うのでいつもの事だった。
ナナミはもう寝たのかなと、ナナミの寝室に行ってみた。
毎日、もしかしたらと思って、コッソリとナナミの部屋に入ろうと思っていたが、いつもシッカリ施錠されていた。
今日も駄目かなと思ったが、母親も姉もいない。
父親はアメリカ合衆国を飛び回っていて、今日は帰ってこない。
トムは、3種類のウイスキーを2杯ずつ飲んだ。
トムがそのまま眠ってしまうくらい十分に多い量なのだが、ナナミが飲んだ量はそんなものではない。
今日のチャンスを逃してなるものか! ナナミを自分のものにするのは今日しかないと思ったのである。
そう言えば、母親に「ナナミは物凄い魔女」で、トムが一緒になってくれれば嬉しいと言っていたのを思い出した。
今夜ナナミをヤッテしまえば、ナナミは自分のものとなり、母親や姉も喜んでくれるだろうと考えたのである。
ただ、トムは魔法を使えない ・・・ ナナミの部屋の鍵が開いているのが最初の条件である。
トムは祈る様に、ナナミの部屋の扉のハンドルを動かした。
アッサリと、扉が開いた。
ナナミが酔っ払っていなければ、扉は開かなかったのに ・・・
トムが部屋に入ると、電気が点けっぱなしだった。
お蔭で、寝ているナナミをシッカリ見る事が出来た。
ダホっとした上着にジーンズをはいているナナミだったが、スタイルが良いのはよく分かった。
そして、美人である。
ベッドで寝ているナナミの顔は、物凄く可愛かった。
思わず、トムは着ているものを全て脱ぎ去った。
いくら真面目なナナミでも、ヤッテしまえば自分のものになると、変な確信があった。
トムはナナミの唇にキスしようと近付いた。
残念ながら、ナナミが寝返りを打って成功しなかった。
トムは、ナナミに掛かった掛け布団をはぎ取った。
真面目なナナミはパジャマを着ていた。
いくら酔っ払っていたとは言え、掛け布団をはぎ取られたナナミは目が覚めた。
目の前にトムの裸体があった。
ナナミは、例の夢の中だと思った。
「ウフフフフ ・・・ 」と笑いながら、ナナミはベッドから立ち上がった。
トムはドキドキし過ぎて、動けなかった。
しかし、近付くナナミの手を取って自分のアレを握らせた。
夢の中だと思っているナナミは、トムのアレをしごきだした。
暫くすると、少し違うように感じてきた。
いつもの蝋燭の匂いがしないのである。
代わりにナナミの鼻に感じたのは、トムのアソコの臭いだった ・・・ 「匂い」ではなく「臭い」だった。
米国人、シャワーだけでゴシゴシ洗わない。
それに欧米人、ナニをする時に、男や女のアソコの臭いで興奮するという。
残念ながら、ナナミはそういう趣味はなく、キツい臭いは嫌いだった。
まして、トムは風呂に、いや、シャワーを浴びていなかった。
欧米人はシャワーを浴びて、バスタブに洗剤を入れて泡立て、体を浸してそのままタオルで拭くだけの事が多い。
ゴシゴシと身体を洗わない ・・・ それに、トムは酔っぱらってそのまま寝てしまった。
そんな訳で、トムのアレは些かネバついている様であった。
それでも、夢だと思っているナナミは、トムのアソコをもてあそんだ。
我慢が出来なくなったトムは、ナナミの着ているものを脱がし始めた。
パジャマの上 ・・・ その下はスポーツブラだった。
トムは少し引き気味になったが、バインバインの大きいオッパイに気持ちは高揚した。
トムは、パジャマの下を脱がした。
そこには ・・・ そこには、あの、木綿のデカパンが現れた。
流石に、トムの気持ちは萎えた。
気持ちが萎えても、木綿のデカパンを脱がしてしまえば、そこにはパラダイスが広がっているのだが、あまりの驚きにトムはデカパンに手を掛けられなかった。
初日に会った時の素敵に決まったパンツスーツの中身が、こんなデカパンだとは思わなかったのである。
木綿のデカパンは巣鴨の洋品店で買ったもので、米国に勉強に行ってくると聞いたお店のおばさんが、とげぬき地蔵尊のお札を縫い込んだものである。
ナナミは、アメリカ合衆国に行く為の下着をおばさんの店に買いに来たが、おばさんは心配性で、お店にナナミを待たせ、お寺に行ってお札をもらってきて縫い付けたのである。
おばさんが「御影」と呼ばれる紙のお札を手に入れ、延命地蔵である地蔵菩薩にお参りをした。
そこで、おばさんはガタイの良い男とすれ違った。
その男がゆたかだった。
ゆたかは巣鴨の近くの現場に打ち合わせで来ていた。
いつもはそのまま会社に帰るのだが、今日はこのお寺に寄ってみた。
萬頂山高岩寺。
そこの地蔵菩薩で、昔から「とげ抜き地蔵」と親しみを込めて呼ばれている地蔵尊である。
ここのお札は紙で出来ており、例え縫い針を間違って飲み込んでも、その後飲み込んだ「御影」に刺さって、吐き出すことが出来ると言う。
夜になってゆたかが寝ると、二日に一回はナナミが夢に現れた。
いつも、ナナミがゆたかにしがみつく様に眠るだけなのだが、 ナナミがゆたかと一緒でないと眠られなくなってしまった所為である。
昨日の夢の中で、ナナミがゆたかに言った ・・・ 勿論、ゆたかには「ナナミ」という名前やナナミの「顔」は分からないのであるが ・・・
「明後日から暫く来れなくなるの ・・・ でも、アメリカ合衆国から帰って来たら、必ずあなたに会いに来るから ・・・ 」
そうナナミが言ったのを、ゆたかは覚えていたのである。
お賽銭をお札にすると、神様や仏様に自分が来た事が聞こえないらしいので、お賽銭は硬貨の方が良いらしい。
ゆたかはお賽銭に500円 + 50円 + 5円 の555円を入れてお願いした。
「名前は分からないけど、いつも夢に出てくる素敵な女の子が、無事に俺の夢の中に戻って来れますように ・・・ 」
そう、ゆたかがお願いした帰りに、洋品店のおばさんとすれ違ったのである。
おばさんのお賽銭は、いつもは10円や5円だったが、奮発してゆたかと同じ555円を賽銭箱に入れた。
そして、おばさんはお願いした。
「無事にあの子が日本に帰って来れますように。 間違えても外国人の奥さんになったりして、日本に戻ってこないなんてないように。」
おばさんはナナミが好きだった、 そしてお得意さんでもあった。
外国人の奥さんになったら、もう、ナナミと会えなくなると思ったのである。
とげぬき地蔵尊の「御影」を縫い込んだ木綿のデカパンは、ナナミにトムを近づけなかった。
折角、ナナミに弄られて大きくなったトムのアレは萎んでいった。
アメリカ合衆国の建国は1775年。
萬頂山高岩寺が立てられたのは1596年 (慶長元年) ・・・ 歴史のレベルが違うのである。
まして、大きく太いトムのアレとはいえ、出来上がって?から25年も経っていないのである。
霊験灼なとげぬき地蔵尊の「御影」のまえでは、相手にならなかったのである。
とげぬき地蔵尊の「御影」の前では、トムのアレは「とげ」ほどの効果もないのであった。
因みに「御影」は紙であるが、一緒に洗濯すると、溶けた「御影」がまとわりつき、1週間ほど効果が持続する ・・・?
また、トムのあれは大きい方なのだが、ゆたかのアレはもっと大きく太く、ゆたかのアレの方がナナミのお気に入り?なのである。
ナナミはまだ夢の中だと思っているので、もう一度しごいて大きくしようと思ったが、自分の手が臭いのに気が付いた。
まして、少しトムのアレを触った所為で、自分の手が粘ついていた。
それに、トムのアレに近付いたので、その臭いの元が、トムのアレだと気付いたのである。
夢の中なら、蝋燭の匂いで他の臭いは感じないが、現実では、「臭い」ものは「臭い」のである。
ましてナナミは、その当時、かなりの「潔癖症」だった。
ナナミは、自分の手の臭いを嗅いだら、気絶しそうだった。
本当に嫌そ~~うな顔をしてしまった。
トムは「御影」の力だけでなく、ナナミに嫌われたショックで、壁に手をつきながら、やっとの思いで部屋からいなくなった。
ナナミはトイレと洗面とバスタブがひとつになった、無駄に広いバスルームの洗面で一生懸命手を洗った。
ついでにアルコール消毒もして、洗い終わった後、何度も手の臭いを確認してしまった。
バスルームと部屋を区切っているのが透明のガラスで、施錠しないでバスルームに入っていたら、トムに見られてしまうところだった。
今夜、ナナミは施錠し忘れてバスルームにいたが、その頃トムは酔っ払って眠っていたのである。
トムがその時にナナミの部屋に来ていれば、状況はどうなっていたのかわからない ・・・
打ち拉がれたトムは、自分の部屋のベッドで、大きな身体を丸めて泣きながら眠っていたらしい。
そう、日本に帰る時の空港に向かう車の中で、大笑いのスーザンに聞かされた。
道理で次の日の朝、朝食を一緒に食べていてもナナミと目を合わせてくれなかったのである。
もしトムが、木綿のデカパンやとげぬき地蔵尊の「御影」に負けなかったら ・・・ そして寝込んでしまって、タイミングを外さなかったら ・・・
そうしたら、ナナミはそのままアメリカ合衆国の魔女になっていたかもしれない。
何故なら、初めてヤッタ相手が、魔女の夫に決まるからである。
因みに、ナナミの首から下がった「青い石」は、ナナミの相手を決める為にあるのではない。
ナナミと、ナナミの夫となった男を守るのが「青い石」の定めなので、今回は出番がなかったのである。
そんなこんなで、アメリカ合衆国に行っても、観光も何もしなかった真面目なナナミは、日本に帰ってきて、本格的にデジタル魔法システム日本版の作成に着手したのである。
後日、ナナミは母親だけには「お誘い」のデータを記入したノートを見せた。
母親からはこう言われた。
「絶対に他の人には見せてはいけないよ!」
「はい! 」
ナナミは姉たちに見せた事は言わなかった。
「それと、男のアレを小さいとか、実際に言っちゃ駄目よ!」
「なんで? 全部測って、細かく長さや太さも記録しておいたけど ・・・ 」
「男のアレを小さいと言っちゃうと、逆に自分のアソコが大きくて「ガバ○○」だって言ってる様なものなのよ。」
「え? ・・・ 」
「おかあさんも見たことはないんだけど、昔、深夜番組があったの。 「11時午後」ってタイトルだったかな?」
「ふ~~ん。」
「それの司会をしてたビッグ・ブリッジっていう人が言って有名になった話なんだって。」
「なんて言ったの? 」
「よく、女の人があの男のアレは小さいとか言うけど、そんな女は男達からしたら、アソコが大きくてガバ○○だって言ってるのと同じだって。」
「え? じゃあ、アジアの男達が小さいって思ったのは、私のアソコが大きいってことなの?」
「さ、さあ? 」
おかあさん、返答に困ってしまった。
「ナナミは、身体が大きいからアソコモ大きいのよ。」
慰めにも何にもなっていない ・・・
「え~~~~ ・・・ 身長だけだよ。」
「オッパイも大きいでしょう? 」
「う、うん ・・・ 」
そこで、おかあさんは言った。
「でも、締め付けたらイチャッたでしょう? 」
「そ、そうね。 みんな、イチャッたわ。」
「ほ、ほら、大丈夫よ。」
「うん。 でも、みんな、早かったわ ・・・ で、でも、夢の中の話だからね。 ・・・ 」
「でも~~~~ 、、、最初の人だけは、頑張ってくれたわ。 」
ナナミ、うっとりする ・・・ 。
「最初の男の人、ナナミと相性が良いのね? おかあさんは、その人でいいわよ。」
そう言ったおかあさん、チョット残念そう ・・・
「そうよ。 全てが最高だったの。 デジタル魔法システム日本版の目途がついたら、あの人のところに行って、一緒になっちゃうんだ。」
「アメリカ合衆国代表の方が良かったのに ・・・ 」
おかあさん、ボソっと呟いた。
「おかあさん、 まだ、そんなこと言ってるの? 私のパジャマを脱がしただけで、駄目になっちゃう様な男だよ。」
「え? もしかして、ナナミはアメリカにあのデカパン持ってったの?」
「うん。 あれしかパンツ、持ってないもん。」
「中学とか、高校の時には、もっと可愛い小さいのも持ってたじゃないの? 」
「ああ、 あれ? あれは中学の体育の時間前に着替えをしてた後、学校帰りに登喜子にランジェリーショップに連れていかれて、買ったヤツよ。」
「登喜子ちゃん? 」
「登喜子ったら、格好悪いってうるさくてさ~。 仕方がないから、体育の授業がある日の為用に買ったのよ。」
「それをアメリカ合衆国に持っていけば良かったのに ・・・ 」
「体育の授業があるのは高校までだったし、大学は登喜子と学部が違ったから、 あのパンツはとっくに捨てたわ。」
「チっ! 」とおかあさんは言って、悔しそうだった。
「それと、私のお気に入りのお店は巣鴨の洋品店で、中学の頃からだから、私、10年以上のお得意さんなんだよ。」
「ぶ、ブラの方は? 」
「スポブラって言うのかな? そのお店で取り寄せてもらっているの。」
「そ、それについては、ひろみと相談するわ。」
「なんの相談するの? あたしは、あの木綿のパンツ、好きなんだけど ・・・ 」
「そんなのを履いてると、一番最初の男の人にも嫌われちゃうわよ。」
「そ、そんな事、ないもん! 」
ナナミ、強気である。
実際に、ナナミがゆたかと一緒になってからのナナミの普段使いの下着は、木綿のデカパンである。
ゆたかは実質本位で、まわりではなく中身が問題で、ナナミ自身を好きなのである ・・・ 多少?、「ダサいな」とは思うのだが ・・・
ナナミがゆたかと大人になってから出会った時は、ナナミは母親や姉に騙され、超ミニのワンピースを着せられ、パンツも布の少ない小さいものだった。
母親と姉にデカパンを全て隠されたからである。
だから、この物語の最初の頃にある様に、アウトレットに行って、下着を買ったのである。
ナナミとしては、巣鴨のお店に行きたかったのだけど ・・・・・・