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北の戦乱 序の章

 魔法王国アキュア首都ロマの王宮ではいつもの活気は失せて、国王の崩御により、王宮は黒一色で包まれいた。王宮の官吏も黒いローブを纏っている。

 王の玉座の下で4人の騎士がが円卓についていた。この4人は聖騎士と呼ばれ、この国の政治、軍事を司っている。


「次の王はいつ見つかる。」

 白髪の騎士が重々しい雰囲気で問いかけた。

「下級士官まで聖選を行ったが、まだ見つかっていない。次は、町民、一兵卒になった。」

 黒衣のローブを纏う魔術師は苦々しく答えた。

 円卓で会議をしているが、まとまっていないことが伺える。

 聖選とは、この国では国王選びが特殊であり、初代国王の遺した魔導書を読むことができたものが国王となる慣例がある。書の内容は初代の残した魔法、薬品、技術の全てが記されおり、文字には特殊な魔法が使われおり、初代の願いを叶える力の持ち主にのみ読めるようになっている。

「聖騎士から臨時で国王を置くのはどうだろうか。」

「それは初代からの継承を蔑ろにすることだ。民の賛同を得られない。」

「しかし、空位では他国がこちらへの態度を強める一方ではないか。」

「他国から軍事的にも政治的にもなめられないようにするために、我ら聖騎士がいるのだ。王の問題だけではない。」

「いずれにしろ王の発見が急務だ。聖選の範囲を広めるべきではないか。」

「うむ。民間や魔法学校にも聖選を広げてみるとしよう。」

 聖騎士たちは意見の対立はあるが、国を考えて会議を重ねていたが、一向に成果が出てこないまま月日が流れた。


魔法学校アカデミア

1学年のバネット、レイナ、ディード、アグリッパは廊下で立たされていた。

理由はバネット達の魔法実験中にディードが魔法を暴発させて実験室をめちゃくちゃにしたからだ。

「ディード、あんたのせいでこうなったのよ。先生に土下座してらっしゃいよ。」

「うるせい、レイナ。お前が俺に渡す魔法瓶間違えたのが原因だろうが。」

「まあまあふたりとも…」

「ふひひ、バネットも大変だ」

 やんちゃで全力のディードとツンとしたレイナ、その間に入るバネット、傍観するアグリッパ。

魔法学校の問題児4人と言われてるが、仲はとても良く問題を起こしては一緒に怒られて、次の日には一緒に遊ぶ。そんな仲であった。

「声が大きいです! 二人とも。」

 バネットが間に入ると大体のことがおさまるのであった。


 講義が終わって、校長室へ4人は呼ばれることとなった。

「魔法実験で実験室を吹き飛ばしたというが、誤りはないか?」

「校長先生、違うんです…魔法書の書いてある通りにやったら暴発して…。」

「ふむ、どのような魔法かな。」

「汚臭を花の香りに変える魔法です。」

「やってみたまえ。」

「え?」

「どうなるか見ているからやってみたまえ。」

 老人とは思えない校長の眼光に蹴落とされてしまう。

「「わ、わかりました。」」

 レイナは魔法瓶を出して汚臭を出した。バネットとアグリッパは魔法陣を書いた。ディードは魔力を込めた。

 強烈な閃光と爆発が起きたが、今回は実験室のようにはならなかった。

 透明な壁のようなものが魔法陣にあった。

 バネットが目をパチクリさせて呟くと校長先生は嬉しそうに笑い始めた。

「ハハハ、それは汚臭を爆発させる魔法じゃ。おそらくはダミーの魔法書を使ったんじゃろ。」

「危なかったの〜」

「笑い事じゃないっつーの…」

 悪態をつくレイナを尻目に、ディードは呆然としている。

「好奇心は学びにとって最も大切なことだが、危険は必ず考えて行動するようにしなければならんぞ。よいかね。」

「「「「はい!」」」」

「さて、面白いことが見れたついでに諸君は聖選って知っておるかな?」

「聖選!?魔法王を決めるっていうあれですか?」

 急にアグリッパが食い入るように聞き返した。

「うむ、聖選の魔導書が実はこの学校に来ておっての〜何かの縁じゃ。読んでみんか?」

「わかりました!」

 ノリノリのアグリッパとうなだれたままの2人を連れたバネットたちは校長先生につき、警備がかなり厳重な部屋に入った。部屋の中央には例の魔導書が置かれていた。

「誰から読むかね?」

「はい!」

 アグリッパがいつもより元気に前に出てきた。

 本に手をやるとバチンと音が鳴り、本に触れなかった。

「だめだ…。」

 さっきまでの元気が消え、いつもの雰囲気に戻っていた。

「次は俺だ。」

 ディードが前に出て触ろうとするがバチンと音が鳴ってさわれなかった。」

「次はあたしね。」

 レイナが前に出て本に手を伸ばした。

 レイナの手が弾かれることはなく、本を触ることができた。

 そのまま本を開くが、レイナの顔は曇った。

「読めないわ…。」

 レイナは本を置くと、不満そうに下がった。

「さわれても読めないのが普通じゃ。」

「最後はバネットね。さ、いってきな。」

「うん。」

 バネットが本に手を伸ばすと本が金色に輝いた。

 ―え?これは。他の人たちは何も反応していない。自分にしか見えていない?

 本を開くと文字が動き出して文章に変わっていった。

 序文にはこう書かれていた。

 ―親愛なる後継者よ。我の意志と魔法をここに記した。これを継承し、創造せよ。

「読めます…」

「なんと!?」「え!?」

 その場にいる人が驚き、本を覗くが誰も読むことができなかった。

「バネット、よくお聞き。今ならここにいる人以外はこのことを知らない。魔法王にならなくてもいい。でも、一度なってしまったらもう下りることはできない。どうするかね?」

 校長先生の表情は固く、そして重い言葉だった。

 ――私は……


 それから数日が経ち、この日のことは国中に知れ渡り、バネットは魔法王国女王として即位することが決まった。この日が魔法王国の歯車が大きく動いた日であった。


 その陰で苦々しくそれを見ている者がいた。ガルディレアである。

 ――魔法王が誕生してしまったか……もう少し遅ければ魔法王に自らなって戦乱へと導くという手筈であったが。これで内側からの崩壊は無くなったということは次なる手は……国の軍事、政治に関わる聖騎士か。

 考えがまとまるとニヤリと不気味な笑みを浮かべて、闇に消えていった。


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モチベ上がりますのでよろしくお願いします。

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