二羽の鳥 製作三日目 その4
買い物を終わらせて、港の家の方に戻る。
すでにゴミは船から下ろし終わっており、インターネットで買った荷物が入った段ボールが車庫の中に出されていた。
「本当にいつも助かってます、両儀さん」
荷物を出して船の方に燃料補給をする為だろうか。摩周さんはドラム缶を台車に載せて船の方に移動させようとしていたが、僕がそう声をかけると笑った。
「いえいえ。仕事ですからお気になさらず」
確かに仕事ではある。
だが、よく気が付いてやってくれている。
すごく感謝しかない。
「燃料補給ですか?」
「ええ。エンジン回りの点検しておいたので。ついでに予備も満タンにしておこうと思いまして」
「すみません。お願いします」
そう言うと頭を下げるとインターネットの荷物の整理を始める。
一つ一つ開けて、荷物を詰め直していく。
これは必ずやっておかないと駄目な作業で、これで荷物の量を半分以下に出来るし、島から出るごみの量を減らすことにもなるからだ。
中には買ったことを忘れてしまっていたものがあったり、ああこれ来たかとか確認出来て結構楽しい。
で、ついでに買い物したものと一緒にいくつかの段ボールに振り分けていれていく。
よしっ。おわった~っ。
ふー。結構な荷物だな。
そんな事を思っていると摩周さんが帰ってきた。
「荷物はまとまりましたか?」
「はい。それで……」
「残った段ボールとゴミは片付けときますよ。では、荷物を船に載せましょう」
「いつもありがとうございます」
ドラム缶を下ろすと、代車に荷物を載せていく。
そしてある程度載せると船の方に移動させて積んでいく。
二人でやるとあっという間に終わった。
「では、残りを取ってきますので整理をしていてくださいね」
摩周さんはそう言うと台車を押して家の方に戻っていく。
残っている荷物を思い出し、あの量ならもう一回で台車に全部載るだろうから、言われたように船に残って船に載せた荷物を整理していく。
そして、整理が終わる頃に残りの荷物を載せた台車を摩周さんが押してくる。
「これで最後ですかな」
「はい。これで最後です」
二回目の荷物を船に載せていく。
そして、きちんと固定すると摩周さんは、船から港に移動した。
「では、次は来週になりますかな?」
「ええ。予定では、来週の同じ曜日になりますね」
そう言うと摩周さんはニコリと笑った。
「では、準備しておきますね」
そう言うと台車に残っていた袋をこっちに渡す。
「これは?」
「ああ、家内が作った漬物です。よかったら……」
「ああ。すみません。いつも」
「いえいえ。家内も楽しんで作っているので」
今度、何かお礼しないといけないな。
そんなことを思いながら、船のエンジンを始動する。
「では、またお願いします。あと、奥様にありがとうとお伝えください」
そう言って頭を下げる。
「伝えておきます。気を付けていってらっしゃい」
そう言われて、僕は笑って言う。
「はい、行ってきます」
島の方が本当の家なので、行ってきますというのはおかしいのかもしれないが、ついついそう毎回言ってしまう。
まぁ、いいか。
そう思って、船を動かしつつ摩周さんに手を振って港から出発したのだった。
海は穏やかで、予定通りの時間に島の方に辿り着く。
船を港に固定すると、桟橋をかけて荷物を慎重に港に下ろしていく。
気を付けないと海の中に落としたとかになりかねない。
なお、出発の時に台車は港に用意していたので、固定されたまま荷物を載せていき、ある程度荷物を載せると、固定を外して家の方に荷物を運ぶ。
海岸の方から番犬であり家族でもある愛犬のべーとクーが嬉しそうにこっちに走ってくる。
うんうん、かわいい奴め。
「どうだ?きちんと留守番できたか?」
そう言うと、二匹は問題ないとばかりにワンと吠えた。
しかし、飛びついたり、構って欲しいと身体を擦りつけたりはしない。
それは、荷物の搬入が遅くなればなるほど買い出しの時だけに食べれる特製犬ご飯が出るのが遅れると判っているからだ。
うんうん。賢いと言うか、食いしん坊と言うか……。現金な奴め。
そんな事を毎回思うが、まぁ、かわいいからいいか。
そんなことを思いつつ、軽く二匹の頭をなでてやる。
そして、家の鍵を開けて荷物を下ろすと、次の荷物を取りに船に戻る。
で、二往復して、荷物を家の中に入れ終わって一息ついたころには、6時近くになっていた。
だが、それで終わりではない。
事前に作っていた犬ご飯を用意する。
スジ肉と骨を煮込んだもので、スジ肉はトロトロになっている。
もちろん、丁寧にあく抜きはしている。
なんせ、スープやスジ肉は、自分の料理に使うからだ。
もっとも、犬にもやる為に、現時点では調味料はほとんど使っていない。
で、そのスジ肉と骨を犬用のプラスチック容器に入れる。
スープも入れておく。
そして、それを二匹の犬の前に置いた。
クーとベーはそれをがつがつと食べていく。
もちろん、尻尾をちぎれんばかりに振りながらだ。
うんうん、いい食べっぷりだ。
そんな事を思いつつ、自分の食事を用意して行く。
今日はラーメンだ。
いい出汁の出たスープがあるからね。
地元の近くにあるメーカーの棒ラーメンを二食分使って作っていく。
買い出しの時は、夕食は手軽に食べれるように載せる具材は準備している。
ぶ厚く切った焼き豚と紅ショウガ、茹でたもやしを乗せていく。
後は、摩周さんに貰った奥さん手作りの漬物(きゅうりの味噌漬け)を用意。
で、ご飯を用意していただきます。
まさに、ラーメンライスだ。
で、最後は、ラーメンのスープに、残ったご飯を入れて、ラーメンライスで奇麗に食べてしまう。
うまいっ。
出汁がいいとラーメンもよりうまくなるなぁ……。
そんな事を思いつつ、夕食を済ませたのであった。
そして、夕食後は、インターネットで購入したBDで映画を見る。
最近、映画紹介動画で紹介されていたやつで、気になって購入したのである。
依頼品も明日からは塗装の段階に入るし、インターネットで購入したものの整理は焦る必要の物はないので、明日からのんびりやっていく事にする。
そう言うわけで、ビールとつまみ片手に映画を楽しむ。
思った以上に面白いぞ、コレ。
気軽に見るつもりが、結構がっつり見てしまった。
まあ、それでもビールとつまみは、映画が終わる頃には空になっていたが。
で、その後は風呂に行った後、就寝となった。
普段より若干早い時間だが、偶にはいいか。
そんな事を思いつつ、眠りに入るのであった。