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四刀流の最強配信者 ~やり込んだVRゲームの設定が現実世界に反映されたので、廃止予定だった戦闘職で無双します~  作者: 木塚 麻弥
第2章 世界を翔る最強配信者

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第070話

 

 出雲大社に来るのは初めてだった。


 清原さんはやらなくても問題ないと言ってたけど、神様の所に行くのだからってことで正式な手順で本殿まで参拝しておく。せっかくだからね。


 もともと神とかお化けとか信じない方だった。でも神様がいるって聞いた後なので、参拝することでなんか本当にパワーを貰えた気がする。



「雫石様、こちらです」

「はい」


 清原さんの後について本殿の裏へ向かう。


 境内で配布されていたパンフレットによると、素鵞社(そがのやしろ)ってのがあるらしい。ヤマタノオロチ退治で有名なスサノオノミコトが祀られている社だそうだ。


 この辺り、なんとなく師匠の気配に近いものを感じる。


「ここから先は神職でも足を踏み入れられません。雫石様おひとりで進んでいただくことになります」


 社の裏にある山に入れと言われた。


「えっと、ダンジョンの入口みたいなものがあるんですか?」


「申し訳ありませんが、私もそこまでは……。什造先生は『とにかく進め』と。そう仰られていました」


 全部説明してくれないの、師匠っぽいなぁ。


「分かりました。とりあえず行ってきます」


「お気を付けて」


 清原さんはこの近くのホテルで待機してくれるとのこと。


 いきなり神様のとこに行くのかな?

 それともダンジョンに入る感じ?


 どちらにせよ1週間以内に帰ってこないと、マズいことになるらしい。


 食料とかも清原さんから渡された忍飯しかないし、GPSで財閥に居場所がバレるからスマホは取り上げられていて玲奈と連絡が取れない。


 なるべく早く終わらせて帰りたいな。


 そんなことを考えながら歩いて行くと、地面にダンジョンの入口が見えた。


 黒い水たまりのような感じで、先が見えない。この感じ、FWOではイベント用の隠しダンジョンに似てる。第3等級設定だったから今の俺でも中に入れるはず。


 ちなみにここは日本の神の力が影響して、内部は強制配信されないらしい。


「さぁ、強化クエスト行きますか!」


 俺はダンジョンの中に飛び込んだ。



 ──***──

 

 お、おかしい……。


 モンスターが強すぎる。

 第3等級でこんなに苦戦するなんて。


 出てくるモンスターはFWOのイベント用地下ダンジョンと同じなのに、体力が異常に高くなってる。素早さもこれまでの敵とは段違いだ。攻撃は全て回避しているから攻撃力がどうなっているのか分からないけど、当たったらヤバそう。


 全てのモンスターが女神が操っていたウンディーネ級の強さになってる。


 なるべく戦闘を避けて進んでいるけど、かなりマズい状況だった。



「……配信されてないらしいし、力を使っちゃおうかな」


 忍者の力を使わないとマジで無理。

 こんなところで死ねない!


 てことで──



「闘気解放!!」


 高校生の筋力量で生み出せる力に抑えていた枷を解放した。思考力や反射速度も上昇している。


 ちなみに闘気開放はFWOの時、ボス戦で本気を出す時に使っていた掛け声。オーラが溢れ出るエフェクトを同時に発動することで『それっぽさ』が演出できる。


 気合を入れるためにカッコいい掛け声がないか配信時に募集して、良さげなのがコレだった。当時はゲームだったから忍者の力なんて使ってなかったけど。


 でも今は師匠との修行以来、久しぶりに力を解放した。


 身体が軽い。

 思考が早い。

 敵の動きが全て分かる。


 さっきまで強いと思っていたモンスターたちを容易く倒せるようになった。


 これならいける!


 

 次々に現れる敵を薙ぎ倒していく。

 もう逃げ隠れは必要ない。


 このダンジョンを踏破するまでの最短ルートは覚えている。


 ボス部屋までの道をただ突き進む。

 たまにはこーゆーのもありだな!



 中ボスがいる部屋までたどり着いた。


 そのままの勢いで、そこにいた大百足(おおむかで)を一瞬で轢き殺す。



 このイベント用地下ダンジョンは、プレイヤーが住んでいる地域によって出現モンスターが異なる仕様だった。日本のサーバーにアクセスしているプレイヤーの前には、日本神話に出てくるようなバケモノが現れる。


 だからラスボスは、日本神話でお馴染みのアイツ。



 ボス部屋に入ると龍の咆哮のような叫び声が響いた。


 奥からモンスターが現れる。

 ひとつの胴体に八つの首と尾。


 これまで戦ってきたどんなダンジョンボスより巨大な姿は、まるで山が動いているようだと言われていた。ゲームだった頃のFWOでは、8人でのマルチプレイが推奨される高難易度コンテンツ。


 ヤマタノオロチだ。



「相変わらずでっけーな」


 ソロで倒すのにはかなり苦戦した。

 

 そう言えばコイツ、特殊アイテムで少し弱体化させることも可能だったな。


 ゲーム内で購入可能な酒をこの場で使用することで、ヤマタノオロチの攻撃速度が低下するというギミックがあるんだ。それは多分、今回も有効なはず。


 地下ダンジョンで最初に遭遇したモンスターの種類から、ラスボスがコイツであることは分かっていた。


「でも俺、未成年だからお酒は買えないんだよね」


 だから強引に行かせてもらう。


 飛び上がり、ヤマタノオロチの頭のひとつに乗る。


「おっと、暴れるなって」


 マニピュレータに持たせた剣を頭に突き刺し、姿勢を安定させた。体勢は良い感じだけど、痛みでヤマタノオロチが暴れて足場が安定しない。


 他の頭が俺を狙ってくる。


 その攻撃を避けつつ、直前まで乗っていた頭と胴体を繋ぐ首を回転しながら切り刻んでいく。


「切断しちゃうと再生するから、ダメージ与えるだけな」

 

 それが一番大事。


 8つの首から連撃を喰らうのが嫌で、海外から日本のサーバーにアクセスして遊んでいた外国人FWOプレイヤーの多くは頭を切断しようとしてしまう。


 でも頭部を切断するとヤマタノオロチは首を再生する。その際にダメージも回復するっていう鬼畜仕様だった。何がヤバいって、こいつの首が千切れるギリギリまで攻撃しないと体力を削り切れないんだ。


 最大までダメージ入れた首にうっかり追撃して首を落としちゃうと、また完全回復した首に一から攻撃を入れていくことになる。これがマジでダルい。


 イベント用の高難易度モンスターだから、絶対に討伐しなきゃいけないわけじゃない。討伐を諦めるプレイヤーも多かった。


 でも俺は神様に会うために、コイツを倒さなきゃならない。


 

 だから斬って斬って斬りまくる。


 全身に裂傷を与えていく。


 途中、目を潰して鼻を抉った。


 確かピット器官と、あともうひとつ鼻の代わりになる感覚器官があったはず。名前は覚えてないけど場所は分かる。それらを8つの頭分、全て潰しておいた。


 あとは暴れ回る首と尾を避けつつ、体力を削るだけ。


 まぁ、それが大変なんだけど……。


 こんだけ頑張るなら配信したかったな。でもそしたら闘気解放できないから、もっと時間かかっただろうな。


 そんなことを考えつつも攻撃を続ける。


 

 堅牢な胴体部分に守られていたコアが露出してきた。


「これで! 終わりだっ!!」


 コアの破壊に成功した。


 巨体が倒れ、動かなくなる。



「つかれたぁぁあ!」


 割と本気で戦ったのに、ここまで苦戦するとは思わなかった。


 普通の人なら8人でパーティー組んだとしても、第8等級ダンジョンの装備が無いと厳しいんじゃないかな。


 なんとかノーダメで討伐できたから良しとしよう。


「おっ。レア泥あるじゃん。ラッキー!」


 イベント用、かつ高難易度のボスということで、レアドロップと言っても良い装備が手に入る確率はそこそこ高い。


 ヤマタノオロチの尾があった部分に、1本の剣が落ちていた。


 強化すれば第10級ダンジョン以降でも活躍できる神剣、天叢雲剣あめのむらくものつるぎだ。


 FWOでは世界各国の神話に倣った神剣がゲットできるけど、日本最強の神剣は間違いなくコレ。


 これが手に入っただけでも今日ここに来た価値はあるな。だけどこの後、神様から貰える力もどんなものか楽しみだ。



 俺は天叢雲剣をアイテムボックスに収納し、ボス部屋の奥にある扉から先に進むことにした。

 

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i889366
マガポケにて連載中!
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