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四刀流の最強配信者 ~やり込んだVRゲームの設定が現実世界に反映されたので、廃止予定だった戦闘職で無双します~  作者: 木塚 麻弥
第4部 女神 vs 最強配信者

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143/143

第143話

 

 女神の六刀と俺の四刀がぶつかり合う。


 手数では負けている分、回転などを駆使して効率よく受けるしかない。ただ俺も責められてばっかりじゃない。強気で攻めに転じることで、神剣の威力を恐れている女神に複数の刀で防御させ、数的有利を作り出す。


「流石ね、颯君。私の方が手数多いのに、守ってばっかり」


「いえ。女神様ちゃんこそ、その精度でマニピュレータを制御できているのは素晴らしいです。しかも俺の倍の数を。後はもっと効率よく動かせるようになれば……。どうです、ハヤテ式四刀流推進室に入りませんか?」


 マニピュレータを俺と同様レベルで使いこなしているのをみて、つい勧誘してしまった。世界を滅茶苦茶にした敵だってことは分かっているけど、俺はどうしても憎み切れないんだよなぁ。


「お誘いありがと。颯君が私に勝てたら考えてあげる」


「あなたに勝たなきゃいけない理由がもうひとつ増えました」


「でも私の方が勝ちたい気持ちは強い!」


 女神のマニピュレータが後方に下げられ、光の溜めを作り始めた。

 

 これは何かヤバい気がする。


「くらいなさい。女神様ちゃんビーム改!!」


 射出口を絞られ、先程とは明らかに威力も速度も違うビームが向かってくる。


 ここで使うしかない。


「四刀流奥義、”朧”」


 マニピュレータの超高速稼働と、天叢雲剣あめのむらくものつるぎの力でビームを弾き飛ばす。


「朧を使ったわね。さっき颯君の疲労を回復させてあげた時、あなたの脳の疲労も確認したの。そして私は知っちゃった。君が四刀流の奥義って言ってる技は、1日に3回の使用が限界。ねぇ、そうでしょ?」


「……正解です」


 回復時に疲労度で奥義の使用回数制限を把握するとかズルいだろ。まさかそのために金竜オウルディアと戦った後、俺に挑戦状を送ったのか? 完全に罠じゃん。


 でもまぁ、そーゆーのも含めて俺に本気(ガチ)で勝ちに来てるってことか。


「後2回、奏でも颯でも。金竜と戦った時に使った朧&奏でも。私は受けきってみせる。絶対にコアは破壊させない。私は今日、君に勝つの!」


「俺も負けません!」


 

 その後、10分近く刀を打ち付け合った。

 戦闘に対する集中力も上がってる。

 彼女の成長を感じ取っていた。


 神様だから、体力は無尽蔵なんだろうか?

 だとしたら俺の方がヤバいな。


 そんなことを考えていると、俺から距離を取った女神が右手を掲げた。

 

「私が近接戦闘形態だから離れてもいいって判断したね? それは間違いだよ。ギガントグラブ!」


 女神が右手を巨大化させて俺を潰しに来た。これは第9等級、地のダンジョンのラスボスである巨人の大技。


 失敗したな。ちょっとだけ休憩したくて距離を取るのを許してしまった。


 たぶん誘われてるんだろうけど、あえて乗ってやるか。


「四刀流奥義、"颯"!!」


 巨大な手に沿って風が流れるよう、"颯"で攻撃する。


「いいいったぁぁぁいぃ」


 大ダメージを与えることが出来た。


 本来は巨人が自身の腕を更に巨大化させて掴みかかってくる技なんだけど、生み出された腕に攻撃しても女神にダメージ入るんだ。ならこれ、欠陥技じゃん。


「そちらこそ失策でしたね。六刀流だけでずっと戦ってた方が良いのでは?」


「ふ、ふん。颯君に奥義のふたつ目を使わせられたんだから。こ、これでいいもん」


 強がっている。

 きっと体力はかなり削っている。


 ゲームのウリエルならもう3回は倒したくらいのダメージを入れているはず。


 体力にも結構バフかけてるなぁ。


 後はコアに直接攻撃できれば勝てる。

 しかしそれがなかなか難しい。


「そのコアを守ってる防御膜、どうしたら解けるかそろそろ教えてくれません?」


 女神の額にあるコアは強固なシールドで守られていて、俺がいくら攻撃しても全く無傷だった。


 普通のダンジョンボスならコアへの攻撃は良いダメージソースになるのに。


「え、シールド? ……あっ!!」


 何やら女神があたふたしていた。


「ご、ごめんね。颯君にいきなりコアを狙われて負けちゃったら嫌だから、戦闘開始して5分は絶対防御のシールドで守るつもりだったの。5分でシールドは消す予定だったんだけど、その。忘れてた」


「そ、そうでしたか」


 あっぶねー!!


 聞かなきゃ絶対に勝てないところだった。


 とりあえず無理ゲー設定にしてないってことだし、素直に非を認めて謝ってくれたから許してやろう。


「それじゃ気を取り直して。こっからは集中的にコアをねらいます」


「あっ! ちょ、まって。もう私、体力が──」


 おいおい、ボスが自分の残り体力をバラすなよ。


 悪いけど宣言通り本気でコアを狙いに行く。


「ひっ!?」


 ただ腕を交差してコアを守ろうとする女神を見て、いけるという確信をもった。だから俺の方に油断が産まれてしまった。


「こないでぇぇぇ!!」


 女神から強い光が放たれた。


 あ、ヤバい。

 直感でわかる。


 この光は俺の肉体を消滅させる。


 神剣でも防げない。

 人間の反応速度じゃダメだ。


 終わった。

 こんな終わり方か。


 死ぬってどんな感じかな。

 玲奈が復活させてくれると思うけど。


 ……この光で死んでも蘇生薬は効果あるよな?



 時間がギュッと圧縮され、まだ思考ができる。


 光がゆっくりと近づいてきている。


 これが死に瀕した時、周りがスローモーションに見えるっていうアレか。


 ごめん、玲奈。

 俺、負けちゃった。


 ふと玲奈の言葉が頭をよぎる。


『現実ではハヤテが最強なの』


『あなたは誰にも負けない。最強だって、私が信じてるから』


『ハヤテの場合、忍者の力も訓練の成果でしょ? チートなんかじゃないよね』


『お願い。絶対無事に帰ってきてね』



 俺は多くの人に四刀流を使って欲しくて忍の力を使ってない。


 でもそうか。

 忍の技も俺の力なんだよな。


 ここで負けたら、玲奈が信じる最強の俺じゃなくなる。


 てことで女神様ちゃん。

 マジでごめん!



 忍の修行で身につけた闘気とアマテラス様からもらった神力を解放し、全力で肉体を強化する。


 女神から放たれたオーラで吹き飛ばされそうになる身体を強引にその場に止め、逆に彼女へ向かい前進する。



「ハヤテ式四刀流、四連大回転斬り!!」



 攻撃力を最大まで強化した天叢雲剣によるコアへの正確無比な連撃。


 コアが破壊される音が響いた。



「う、うそ……。私。まけちゃったの?」


 ウリエルが大粒の涙を流す。


 その身体が光となって消えていった。

 後には長い金髪の美女が残った。


 これが女神様ちゃんの本当の姿みたい。


 彼女が落ち着くまで、少し待った。



「あーあ。負けちゃった」


「今、この様子って世界に配信されてます?」


「え、どうだろ。……ううん。コアが割れた衝撃で、配信止まっちゃった。今なら再開もできるけど、勝利宣言しとく?」

 

「いえ。実はおれ、ずっと隠してた力を使ったんです。四刀流の普及のために、誰かに見られている状態では絶対に使わないって決めていた力を。それを最後に使ってしまったので、今回は女神様ちゃんの勝利です」


 配信では俺が勝ったように見えただろう。あとでSNSとかで発信して負けたことを報告しないとな。


 玲奈には、忍の力を使っても良いって条件なら勝てたよって報告しよう。それで許してくれるといいなぁ。


「もう、なによそれ。なんか釈然としないけど、初めて颯君に勝てたってことなら不思議と悪い気はしないわ」


「えっと、確か負けたら俺の家に神殿を作って毎日お祈りすればいいんでしたっけ。神殿のデザインとかにご希望はありますか?」


「冗談で言っただけだからしなくても良いよ。どうせ私はもう消えちゃうから」


「えっ!?」


 女神の身体もウリエルの様に光になり始めていた。


「今回はボスとの同期率を100%にしてた。どうしても君に勝ちたかったからね」


「そんな…。それで消えても良いんですか? 神様のスケールのことなんで良く分かんないですけど」


「存在が消えるのは私だって嫌。でも私はこの世界でたくさんの人が困難に立ち向かう姿を見れた。すっごく満足してる。特に颯君、君は素晴らしかった」


 恍惚とした表情を見せる女神様ちゃん。

 幸せそうだった。


 神様って、こーゆー存在なんだ。


「そうだ。消えちゃう前に一応、教えといてあげる。定春って、颯君の知り合いでしょ?」


「えぇ。そうです」


「私がこの世界でダンジョンを出現させるのに、彼に協力してもらっていたの」


「そうだったんですね」


 女神から彼の名前が出たのはそういうことか。


「私が力をあげて定春を私の眷族にしたから、私の消滅で彼も一緒に消える」


「そんな!? じゃ、じゃあ俺が定春さんを」


「誤解しないで。私が今回消えるのは、定春の願いを叶えるため。彼もその結果自分の存在が消えることを承諾してる」


「……すみません。意味が分かりません」


「定春はこの世界の人間の脳に、並列での処理がしやすくなるようなシステムの導入を願った。そのシステムを上手く運用すれば、颯君みたいに四刀流を使いこなせる人も増えるだろうって」


 それは嬉しい。けど、それだけのために自分が消えることを選ぶなんて。


「彼ね。世界中の人が脳波で上手にマニピュレータを制御できるようになれば、医療や災害の現場でたくさんの人を救えるようになるっていって、ずっと研究してたみたい。でもそれに限界を感じて、神の力に頼った。私はその見返りとして協力してもらっていたの」


 結果としてふたりの望みは叶えられた。

 定春さんも満足そうに消えていったらしい。


「私はもう消えるけど、この世界をちょっと良くしようと頑張った岡部 定春って人がいたことは覚えておいてほしい」


「忘れませんよ。定春さんも、女神様ちゃんのことも」


「ふふっ。嬉しいな」


 彼女の身体が、全て光になって消えた。

 


 楽しかったよ。

 いつかまた遊ぼうね、颯君。



 そんな声が、微かに聞こえた。




 四刀流の最強配信者  ─完─





──────────────────


【あとがき】


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

これにて完結です。


本作品は講談社より書籍化しています。

書籍1巻(Kラノベブックス)

漫画1~5巻(KCマガジン)


漫画は全6巻になるみたいです。 

良い感じでまとまっていますので、是非ご購入ください!!


ではまた、別の作品でお会いしましょう。

 

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i889366
マガポケにて連載中!

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
完結お疲れ様でした。 正直、あまりにもいきなりだったので後日譚をお願いしたいです⋯
完結お疲れ様です。 一つ質問なんですが、女神が消えるとダンジョンはどうなるのでしょうか?このまま残り続けて新たな資源確保の収入源になるのでしょうか?また、資源確保の収入源になるなら女神がいない状態でど…
感想一覧
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